異世界に行っても魔法が無かったので、魔法を1から作りましょう!(やりますよね?)
雑となっております。
私の名前は宮間栗霧。
ちょっと待ってね……………。
OK。
私の名前はクルミ。
超健康でピチピチ15歳の美少女!
ちょっと待ってね……………。
金?白?銀?ぃや?金かなぁ……………肌は……………あんまり変わらないかな。
OK。
あー。あー。
こんなもんかな。
いつもよりきれいでいい感じ。
改めてOK。
私の名前は……………言ったっけ?
「これでお願いします」
私は完成したモデルで転生所のカウンターに行った。そこにはダル気な態度で座っている天使がいる。でも黒髪だし、天使の輪はないし、服装スーツだし、この人以外に人の気配はないし。
「あ?ああ。了解」
椅子から動きもせず私の姿を一瞬確認しただけで「早く行け」と言わんばかりに手を振る天使。
彼?彼女?
性格はよく分からなかった。
「……………ありがとうございました」
「……………そう」
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
「……………?」
「ほら、早く行けよ」
「え?」
「いやいや早く……………なにも言ってなかったか」
天使は頭をボリボリかきながら服を直している。
「ここ右行って、そしたら大きな輪、転生輪あるから。そこくぐってくれれば、行けるから」
「どこにです?」
「異世界」
ついに!私の夢!そう異世界!
「ああ。あんたの漫画にあったような理想の、ね」
「じゃあ王子様とか」
「国による」
「誰にも縛られない生活も」
「義務教育なんてない」
「じゃあ魔法も?」
「あー」
天使の歯切れが急に悪くなる。
「確かに一番好きそうだよね。借りた漫画にもたくさんあったし」
言い忘れてきたけこの人、私の異世界転生担当者。
あの日私は部屋で菓子パンを食べていた。そしたら異世界パン祭り応募用シールってものが入ってたから、興味本位で部屋の隅に貼ってみた。
ーその晩ー
いつものようにお部屋で寝ていると、突然ドサドサっと大きな音が鳴った。
「りゅぇ?」
寝ぼけ眼で辺りを見回すと、倒れた本棚に座って私の本を読んでいるあの天使がいた。
「だりぇ?」
朝が弱いのは本当に困る。
「ああ。これお前のか。いやー。最近のセカイはすごいな。こんな面白い本があるなんて」
そう言いながらもどんどん読み進めている。
私は言葉もでない。
「面白い。あっ、そういえば君?このシールで呼んだの?」
天使は私が貼ったシールを無造作に剥がして私に見せてくる。
「まあs」
「じゃあ行こうか」
「……………は?」
そうして今に至る。そうして私の前には大きな大きな輪がある。下に落下する代物で、輪自体も禍々しい見た目で、輪の空間全体が奇妙に渦巻いている。
「ほら着いたよ」
「なんか……………大きいですね」
「早く行けー」
私は足蹴りで輪の中に押された。
「あっ」
「言い忘れてたけど、魔法。ある訳ないでしょー。そんな異世界的な事」
「えーーーー」
「あとかっこいい王子様もいないから、期待しない方がいいよー」
「魔法も王子様もいないのぉぉー!いいよー!どっちも私が作るからぁぁぁ!」