甘い誘惑
2人で交互に書く物語なので文体が変わる恐れあり
「どうされました...?」
彼女は不思議そうに顔を覗き込んできた。
私がぼーっとしていたからだろう。
「い、いえっ...ぜひ案内お願いします」
「はい〜!」
彼女はご機嫌な様子で目的の場所まで案内してくれた。
私はここぞとばかりに彼女のネームプレートを見た。
[山岡 鈴香]
ヤマオカ...スズカ...?
よし、覚えた。
「こちらですぅ〜」
目的のコーナーにたどり着くと、まるで私の趣向を理解しているかのようなコーナーだった。
無添加の犬用純石鹸
添加物無しのクッキー
その他諸々...
「!!」
私がびっくりしていると
「やっぱりそうですよね〜。お客様、こちらのコーナーお探しだとおもったんですよ〜。」
「どうしてわかったんですか!?」
ほんとに驚いた。
これはほんとにもう運命かもしれないとまで思った。
「だって...服からは柔軟剤の匂いもしない自然な感じですし、髪の毛も自然なものつかってますよね?すごく環境のこと考えている方だとおもったんです。
この仕事してると、匂いにも敏感になるし、なるべく動植物に優しくいたいと思うようになったので自然とそういう所に目がいくんですよね〜...。不快にさせてしまったらごめんなさい。」
「そ、そうだったんですね。」
素直に彼女の観察力に感心した。
私は彼女への尊敬なのか恋心なのかわからないが、気分が高揚して思ったより色んな物を買ってしまった。
「3万2千円になります〜」
ペット用品は元々高いが、1度の買い物でここまで使うのは久しぶりだ。
だが不思議と後悔はなかった。
「ありがとうございました〜」
私は店を出て帰路に着いた。
犬達は早く帰りたそうにしている。
「.....お客様〜!!!」
後ろから声が聞こえてきた。振り返ると山岡さんが息を切らしておいかけてきている。
「どうされました?」
「あの〜迷惑でなければなんですけど...」
山岡さんは1枚の紙を手渡してきた。
「ナチュラル...思考同好会...?」
「はい!
実は私もお家ではナチュラルクリーニングをしていて、自然について寄り添った活動をしているんです!
色んな仲間も出来ますし、良かったら集まりに参加してみません?丁度明日の夕方から会合があるんです〜!一番下に私の連絡先書いてます!」
「ぜひ!!」
自分でもびっくりしたが、すぐに返事をしていた。