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ロボットとドライブデート 序

 夏真っ盛りです。


 夏休みに入ったチャーリーは家にいる……かと思いきや、部活に道場にと忙しく過ごしています。チャーリーとケンが通っている、かつてメアリーが師範を務めていた道場に、テッドも通い出したそうです。


 そして大きな変化がありました。エディーがアルバイトを始めたのです。


「家事はD2が頑張ってくれてるし、少し自由になるお金を増やしたくてさ」


とエディーは言っていました。アルバイト先はケイスケさんの古い友人のキンジョーさんの料理店です。


「飲食店なら帽子を被ったままとはいかないでしょう、どうしているんです? 」


と尋ねたら


「カツラを買ったんだ」


と新たな変装姿を見せてくれました。


 黒髪のカツラを被るとかなり印象が変わります。なんというかケイスケさんに似ていることがよくわかりますし、チャーリーとの血の繋がりも改めて感じます。美形はなんでも似合いますね。非人間的な要素が削られる分、こちらの姿の方がキャーキャーと騒がれそうな気がします。


「耳はどうしているんです? 」


と尋ねると、エディーは太めのヘアバンドをつけました。カツラの長い前髪を上げて清潔感を保ち、ついでに耳も隠してしまうお手軽アイテムです。


「なるほど。似合ってますよ」


「ありがとう。まあ厨房を手伝っているから、あまりお客さんとは会わないんだけどね」


エディーは朝早くから夕方まで週三日、出かけるようになりました。


 そして季節を問わずケイスケさんは忙しそうです。少し夏バテ気味でしたので、久しぶりのお休みの日に流しそうめんを用意してみました。成長期のチャーリーがかっさらってしまっていたので、そうめんを流すという趣向を楽しんでいただけたかは不明ですが、そうめん自体は


「美味しいね」


とおっしゃっていました。ちなみにチャーリーには別に冷やしゃぶを食べさせておきました。成長期の胃袋は底なしで、どこか胃腸がおかしいんじゃないかと思うほどよく食べます。エディーが持って帰ってくるまかないには、大いに助けられています。


 そんなある日、アルバイトから帰宅したエディーにお誘いを受けました。


「D2今度の火曜日、僕とドライブに付き合ってくれない? 」


火曜日はエディーがシフトに入っていない日です。


「かまいませんが、チャーリーやケイスケさんは誘わなくて良いのですか? 」


「……実はチャーリーぐらいの年頃の子どもは、父兄が車を出してキャンプに行って遊んだり、友達と家族ぐるみの付き合いをしたりするらしいんだけど、今までそういうのできなかったからさ。機会を作ってあげたいんだけど、予行練習しておこうと思って」


「まあ。それはいい考えですわ」


と言ったのですが。


「エディー、本当に免許持っているんですよね」


「持ってるよ。さっき免許証見せたでしょ」


当日、ハンドルにかじりつくような姿勢でエディーが言いました。


「はい。ですがエディー、その運転姿勢はダメです。背もたれに背中をつけてください」


「わ、わかった」


エディーに予行練習をする頭があってよかったです。そうでなかったら、大変な事になるところでした。


 ちなみに私たち人型ロボットは、定期的に機能点検を受け、アプリをダウンロードすれば車を運転することができます。私はこんなこともあろうかと、アプリをダウンロード済みです。超高性能ロボットですから。帰りは私が運転しましょうかね……。


「エディー、そろそろウィンカーつけてください。次左折です」


「は、はい」


危なっかしいですがなんとか曲がります。その前の交差点では、危うく道のど真ん中で渡れなくなるところでしたが。


「エディー、免許取得したの何歳ですか? 」


「十八歳」


王国で免許がとれる最低年齢です。とりあえず取得したのでしょうか?


「最後に運転したのいつですか? 」


「十八歳……デス」


「今まで運転していた様子はありませんでしたが、なぜ免許を取得したんです? 」


「それは……メアリーさんの送迎で使うかと思って。ほら、最後は病院と家を行ったり来たりしてたからさ。結局使わなかったけど」


「すみません」


「謝んないでよ」


私たちは王都外周を走る高速道路に乗って、海の見える展望台を目指しました。

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