無色
命はきっと無色なのではないだろうか。
見えないから無色なのではない。
命を有する者によって、それは千差万別に姿形を変え、時に醜く、時に美しい色や芳香を醸し出す。
命は変わる。
そう、それはある時は軽くちっぽけであり、またある時は何ものにも代え難いものである。
生きるが故に命は異なり、時に交わり、時に別れいつまでも同じ色を見せることはない。
しかしながら、命が最も鮮やかな色を見せる時は常に、他者に求められる時であろう。
他者に必要とされたい。
認められたい。
それは生きるが故に、万人が有するイド。
人は一人では生きていけないというのもまた、無意識に他者を欲しているからであろう。
生き甲斐を持ってこそ、人は人らしく『生きて』いるように思える。
そして、生き甲斐に満たされた状態を人は、幸福と呼ぶ。