進んでいますよ
異世界ファンタジー日刊ランキングで80位になっておりました。
まさか100位以内に入れる日が来るとは思っておりませんでした。これも皆様のおかげであります。ありがとうございます。ブクマ、評価、感想、誤字脱字報告も毎度ありがとうございます。とても感謝であります。
さて、早朝の日課ですね。
樽は4つ。良い感じですね。聞いた話だと、薬草探しの代わりになるようで、小遣い稼ぎになるようですよ。
スライムは見間違えすることはないですし、基本的に害がないですからね。見つけやすいですし。
大きさは結構あるので片手間で持ってくることはできませんが、駆け出しや街民にとっては楽にできる仕事の1つになるでしょうか。
茶色も3体ほどいました。
厩舎、雑草山、生ゴミそれぞれのスライムを一旦取り込み、また分けていきます。
スキルが上がりましたからね。これで全スライムが最新のスキル構成になりましたよ。
厩舎、雑草山分からは雑草玉を作るので、分裂効率はあまりよくありませんね。
生ゴミ分は今のところスライム玉を作っていないので、全部スライムの栄養になっています。こちらはかなり良い成績です。
おそらく、生ゴミからも畑の栄養になるスライム玉は作れると思うのですが、雑草玉でも今のところ十分ですからね。それよりも数を増やすのに注力したいところです。
それぞれの増えたスライムを合わせると、なんと60匹近く増えていますよ。
ついに100匹を超えますか。
お祝いですかね? このまま100が200、200が400になるのが理想ですけれど。それだけ増やすための餌がありませんね。
ままならないと思うべきか、世の中うまくできていると感心するべきことか。
ちなみにスライムは生きるだけなら特に餌を必要としません。経済的で大変よいですね。
「ん? ああ、上限ですか」
スライムから拒否を感じました。<ストック>もついに上限が来たようです。
先にストックから分けて、外に出ていた分を回収する事で対処しました。
いつ上限に届くんだと思っていたら、ここできますか。許容量が大きいように感じますが、100匹が分裂したらもう200ですからね。
今後は<ストック>のレベルにも注意を払っていく必要があります。
経験値のやりくりにそろそろ頭を悩ませ始めるかもしれません。
ただまあ、あくまで白に一度に集める時の上限でしかありませんからね。一度取り込んだスライムの制御には苦労してないので助かります。
「少し存在感が増しましたか?」
ストック100に達した白スライムをぐにぐに揉み込みます。
うーん。変わらない気がしますね。少なくとも戦闘能力はまだ高いとはいえないでしょう。スライム100匹ですからね。
木の棒で叩き回ればすぐ殲滅させられる程度でしょう。
<吸収>のレベルは上がってきましたから、数で囲んだらいけなくもありませんかね。
まあスライムの数の確認はこんなところですか。
今日は畑にも用事があるのです。
しばらく放置していた、わたくしに割り当てられた畑に来ます。まだ雑草が処理しきれていない場所があります。
「行きなさい」
10匹ほど向かわせます。
そろそろできるでしょう。スライムによる畑の雑草処理、リベンジですよ。
スライムには雑草の土から出た部分だけを処理してもらいます。
チヨ様が言うには、それで雑草は光合成ができなくて死に、根が土の小さな生き物に食べられて、それもまた栄養になるのだそうです。
ぐぐったと言っておりました。とても自慢気でしてたので、すごいことなのでしょう。
チヨ様の知識にはいつも驚かされますね。時短にもなる気がします。言われた通りにしてみましょう。
これが上手くいけば雑草抜きの仕事をスライムに任せられるようになりますね。
◇
畑の隅に土スライムを置きます。
「では、土を掘ってみなさい」
もそもそと動き出す土スライム。
しばらく観察します。新しいスライムですからね。
具体的なスキルの性能を確認したいですね。
そのため、朝の訓練も時間を少々削っています。
……掘った土が上に来て埋まっていってますね。
もしかして土スライムの数が少ないのは、土に埋まっているからなのでは?
ありえそうですね。
気を取り直して次です。
「では<抽出>してみてください」
土が取り込まれて玉が吐き出されました。
ふむ。まあ予想通り土のスライム玉ですね。
利用価値は……。
ううん。土は土ですからねぇ。
栄養を抜き取ることもできるかもしれませんが、それにしても、栄養のスライム玉は畑に与えるのが今のところの利用方法です。
土から栄養を抜き取っても、利用方法が思いつきません。
保留ですね。
「次、<吸収>してみてください」
土が取り込まれて、しゅわしゅわとし始めます。
本来の土スライムよりも、<吸収>のレベルがあがっていますからね。
増やすならやはり<吸収>ですか……。
しかし、そのために土を消費するわけにはいきませんね。限りがありますし、ゴミとして出ませんから……。
「生ゴミの処理はできますかね」
肯定の雰囲気。
いけますか。
あなたたち、存外なんでも行けますね。
色が違う意味、ありますかね? まあ使えるスキルの違いはありますか。
緑は沢山いますからね。生ゴミ担当を土にしますか。
緑にはしばらく死地に向かって貰いましょう。
「では、土を作ってみて下さい」
吐き出されるように土が作られていきます。
ペースはまあ、微々たるものですね。
今後に期待ということで。
◇
「スライムが100匹を超えました」
お父様の眉が上がります。
「もうそんなに増えたのか」
「はい。ギルドからのスライムも来ますし、ゴミ処理が思いのほかスライムを増やすのに有用なようです」
「そうか」
例によって、わたくしは執務室に来ています。
「厩舎から出るゴミと、厨房から出るゴミは問題なく処理できました。糞尿については今しばらく時間をいただけると」
「ふむ、それだけでもかなりの余裕に繋がるだろう」
アントンが羊皮紙をお父様に渡します。
お父様の考えがまとまるまで、待ちます。
さあ、白、クッキーですよ。
チヨ様のものとは比べられませんが、これでも中々に高級品でありますよ。
ありがたく頂きなさい。
相変わらずぶんぶんと歓喜するスライム。
配慮はできるようで、いつもの鳴き声をあげておりません。
お利口ですね。大変よろしいですよ。
「街のゴミを引き受けられそうか?」
お父様が顔を上げてわたくしを見ています。
「どういった物が出ますか?」
「畑から出る物は今のところそのまま焼かれるだろう。雑草玉とやらの価値が認められれば集める予算を出せる。厩舎からのものも同様だ。となると生ゴミだな。街にスペースを作り、そこに集めることとする。かなり予算が浮くことになるだろう。何か問題はあるか?」
「問題、となるかはわかりかねますが、スライムはかなりのペースで増えることがわかっています。定期的に……できれば毎日回収したいところですね」
わたくしとしては回収のために街へ出られると嬉しいですが、お父様としては難しい所でしょうね。
「ふむ……増えるペースを調整することは?」
「できますね」
経験値にすれば良いだけですからね。数の調整自体は問題ありません。
「ただ、それでも回収は定期的にしたいです。この子に定期的に戻すことで強くなるのです」
わたくしは頭にクッキーを生やしてご機嫌な白を抱えて見せます。
経験値にすることで無駄はでませんが、白に戻さないと回収できませんからね。
生ゴミを処理して得られる経験値はおそらく相当な量になるでしょう。是非とも定期的に回収したいところです。
「これまでゴミの搬出に使っていた荷車をスライムの輸送に使う。お前のスライムは大人しいか?」
「はい。指示も出せます」
「では、こちらから出すスライムと、収集場から出すスライムを入れ替えるようにできるか? それなら毎日の回収が叶うであろう」
分裂はいつの間にかしていますし、一時的にでもスライムの数が数倍に膨れ上がりますからね。入れ替え搬入出なら現場の管理も楽でしょう。
それならわたくしが街に出る必要はありませんね。少し残念な気持ちもありますが、しかたありません。
「なるほど。現場より数を指定していただければ、その数を用意できるでしょう」
「では、現場を管理する者を定めて即、動くことにする」
「よろしくおねがいいたします」
これでさらにスライムの育成が進みますね。
最近はよくお父様とお話をしています。お仕事関係ばかりですが、それでも嬉しく思います。スライムのおかげですね。
よりいっそう頑張ることにしましょう。