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ボーダーライン  作者: 甘味 パフ
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プロローグ

近代化が進んだ魔法の世界。

人間は人智を超えた力を持ち、強大な力を持つが故に社会的格差が生まれた。

弱者は虐げられ、日々どこかで悲劇が起きる。

盗み、殺し、自殺、そしてテロ。

いつの日か弱者の救済を目指した集団は今や暴力のみに頼り、自分たちの都合しか(かえり)みぬ暴徒に堕ちてしまった。

守るべきものを守るために力が求められるこの世界で、力を持たない誰かのために命を()した者たちがいた。

弱者を守る最後の砦、そう、その者たちこそ”ボーダーライン”




東側にあるから東国(とうこく)。そんな適当に名前をつけたのは一体誰なのだろうか。そんなことを考えながら黒野(くろの) (じん)はバイクで走っていた。

時刻は21時を回ったが、活気は衰えることはなく、夜空の星が(かす)むほど明るい光が街を照らす。

ここは東国の中心地東浜(ひがしはま)。夜を知らぬ街。そして外面だけの光に覆われた闇を包み隠す街である。


迅が所属する警備会社ボーダーラインの本部から依頼主のいるホテルに辿り着くまで、バイクで15分かかった。

駐車スペースにバイクを止めてヘルメットを脱いだ迅は、1度手に着た黒い革手袋を脱ぎ、髪を整える。

ヘルメットでボサついた黒髪も変な癖がつくこともなく元に戻る。

バイクの右側面に装着された武器を外し、右腰のベルトに装着し直す。ボーダーラインの武装研究部が作成した迅専用のオーダーメイドだ。

この世界においては誰しもが何かしらの武器や戦う手段を持っており、武装しているからといって法律違反になることはない。もちろん例外もある訳だが。

ホテルの入口を抜け、ロビーの受付に行くまでに黒スーツの下に着たワイシャツの(えり)を正し、少し緩めていたネクタイもキッチリと締め直す。ここまでやれば完璧な仕事モードだ。

ホテルの受付に辿り着いた迅は胸ポケットから警察手帳に似たものを取り出す。


「こんばんわ。自分は警備会社ボーダーラインの特殊工作部所属、黒野 迅です。依頼主の方から話は聞いてると思いますが、確認をお願いしてもよろしいですか?」


「はい、承知しております。ではこちらで身分証明書のスキャンをさせていただきます。機械の上にかざしてください。」


迅は受付に置かれた機械にさっき出した警察手帳に似たものをかざす。すると、電子音とともに機械が緑色に光り承認を示した。

この警察手帳に似たものはパスカードと言い、身分証明書の代わりになるものだ。どこにでも普及しているパスカード承認機械に対応していて、どちらも”魔法”が組み込まれているため偽造することは至難の業だ。


「ありがとうございます。確認が完了しました。お客様は最上階70階のスイートルームにいらっしゃります。」


「なるほど、1番上ですか……お忙しいところありがとうございました。」


依頼主のいる場所を確認した迅は受付を離れ、エレベーターに乗り込む。

エレベーターが着くまでの間、迅は今回の依頼内容を振り返る。


(依頼主は46歳の独身男性。名前は原田(はらだ)慎一(しんいち)。職業は投資家。依頼内容は今日の夜から明日の昼までの護衛任務。警備部ではなく、特殊工作部に依頼が回ってきたことを考えれば相当に重要な取引でもあるんだろうな、それを嗅ぎつけられた可能性も大きいだろう。初の単独任務、気合い入れていかないとな。)


迅は去年ボーダーラインに入社したばかりの新人だ。この1年は上司や同僚との合同任務で基本を学び、今日が初めての単独任務になる。

そうこう考えているうちにいつの間にか70階に到着する。

70階に降りると広めの空間があり、正面のドアにはボディーガードが2人立っている。


「どうも、警備会社ボーダーライン特殊工作部所属の黒野です。身分証明書を出してもよろしいですか?」


「話は伺っています。その場から動かず、身分証明書を出してください。」


ボディーガード2人は妙な動きをとれば即座に射殺するという姿勢を示すため、持っていたサブマシンガンの銃口を迅へと向ける。

相手が身分を偽っていないか確認をとれるまでは、こうして警戒するのは当然の行動だ。

迅は早すぎず、遅すぎずのスピードで胸ポケットからパスカードを取り出す。それを顔の横の辺りまで持ってきて、右手も反対側に持ってきて何もないことを示す。


「そのままでお願いします。」


迅から見て右手に立っているボディーガードの目が赤く光る。初級魔法の偽造看破だ。簡単な魔法なので少し魔法学をかじれば大抵の人間は使えるようになる魔法だ。


「確認できました。どうぞ、お入りください。」


迅の身分証明書が偽造でないことを確認したボディーガードは銃口を下ろし、ドアを開ける。

2人の間を通り抜け部屋に入る。

中にいたのは原田 慎一と(おぼ)しき人物1人だけだった。ソファに腰掛けた小太りの中年は迅を見ると疑り深い視線を向ける。


「………君がボーダーラインから来た護衛かね?随分と若いようだが……」


「はい、黒野 迅といいます。これより原田様の身辺警護にあたらせていただきます。若輩者(じゃくはいもの)ですが、どうかご安心ください。こう見えても腕には自信があります。」


「仕方あるまい……頼んだぞ黒野君。」


納得のいかなそうな依頼主をまえに特にこれといった感情は見せず、淡々と挨拶を交わす。

この仕事をしていれば、気に食わない人間を守らなければいけないことがあるのは迅もこの1年でよく分かっている。その経験から冷静に物事を見ることができるのだ。

そんなことはさておき、迅は早速依頼内容の確認を始める。


「……では、護衛は予定通り明日の13時までというこで、なにか問題はありますか?」


「いや、特にない。スケジュールを渡しておく、どれも外せない用事だ。」


原田はソファの前のテーブルに1枚の紙を置いた。1行目は就寝から始まり、本格的な内容は2日目から書き込まれている。

10時からは重要人との会談と書かれており、大方これが護衛を依頼した理由だろう。


「承知しました。それでは何かあればすぐに対応できるようにこの部屋で待機させていただき…………ッーー!!!!」


迅が異変を感じたのと部屋が爆発に包まれたのは、ほぼ同時だった。

どうも!甘いの大好き甘味です!

まだまだ未熟者の甘党ですが、ぜひ暖かい目で見守っていただければと思います!

何か問題点等ありました場合はいつでもお知らせください!

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