第17話第二次町防衛戦4
遅くなりすいません。書いている途中で気になる記事を見つけてしまい急遽書いているのを削除して書き直していました。
やっぱりこれは必要だなと思ったので後悔はしていません!笑
それではどうぞ
アヤト視点
事前に準備をしていたおかげで順調に防衛できていたが変異個体が呼んだ増援がやばかった。
「お前ら!固まるなよ!頭上に注意して何人かで押さえ込め!」
どこでかき集めたのかここらでは少ないはずの中位である大猿が15体も現れており何体かはタンク役としてプレイヤーを抑え、他の大猿は岩を何度も何度も投げ込んできた。
「くそっ流石に何体もはきつい!あぶっ」
その状況で俺は三体の大猿から囲まれて集中攻撃を受けていた。
前回俺が大猿を各個撃破していたことを変異個体が覚えていたのか最初から複数体で襲ってきて、俺はステータスでは負けているのでいまいち攻めきれずに防戦一方になっていた。
ダメージをあえて受け〈窮地一牙〉の強化倍率を上げることも考えたが今は〔脱皮〕も使ってしまっているので下手をしたら終わるので避けたり防いだりするしかない。
一体にかかりきりになれば他の大猿が攻撃してくるだろうし、かと言ってこのままこう着状態になったら他のプレイヤーがどんどん減っていくだろう。
確実とは言えないが当てたら倒す方法はある。だがそれに当たるかも何体に当たるかもわからない状況だ。
何かこの状況を変えるためのきっかけが欲しい。
この包囲を崩せるようなきっかけが来てくれると今のジリ貧な状態も変わってくるかもしれないという淡い期待が頭を掠める。
そしてそれはある意味では叶えられた。
ソレが来たことで今の戦況が変わるのは確かだろう。
森から白い体毛に顔には赤い模様のようなものがある大猿が飛び出した。それを見たプレイヤーたちはそれが今回の一連の襲撃の首謀者というのがすぐに分かった。
「...おいあれがそうだろ。見たことがなくてもわかる。何か異質な感覚がする。何よりそいつが来てから他の魔物の動きが変わった。」
そうなのだ。今まではある種の野生の生物特有の無軌道さを持って暴れていた魔物たちが今では遠距離攻撃をしているプレイヤーの集まっているところに岩を投げてこちらの火力を潰したりといった戦略性を持って行動し始めたのだ。
変異個体〈扇動魔 アジック〉とエンカウントしました。
「ちょうどよくアナウンスも鳴りやがって、くそっ」
魔物たちは勝利が近づいてきているのが分かったのか更に勢いを増して攻撃をしてきているのを見て俺は後の事を残っているプレイヤーに任せることにした。
「ガイさん!大猿の近くにいるやつを離れさせるようにしてくれ!」
俺はガイさんに通話を繋げると相手が何か言う前にそれだけ言い通話を切った。
すると今まで大猿と戦っていたプレイヤーたちが一目散に町の方に逃げ始めた。大猿たちもいきなり今まで戦っていた相手が全員引くのは予想外だったのか呆気に取られた様子で撤退していくプレイヤーたちを見ていた。
「追撃されるのも覚悟していたけど結構いけるもんだな....それじゃあ逝くかな。」
戸惑っていた様子の魔物たちだったが次第に一人だけ撤退していなかった俺に視線が集まってくるのが感じられた。
魔物たちは数体で抑えていた俺のことを覚えていたのか警戒している様子だったが、俺を囲むように仲間の大猿が移動すると楽に勝てると思ったのか警戒した様子もなく無遠慮に近づいてきた。
「アヤト⁈大丈夫なのか?どうにかする方法があると言うから下がったがお前は囲まれてるじゃないか⁈」
たしかにここから暴れたとしても流石にリンチされて終わりだ。だがわざわざみんなを下がらせてから一人残って何も策がありませんってのは流石にないだろう。
「あーガイさん。自爆アリって知ってます?巣が敵に襲われたときに爆発して自分と引き換えに敵に毒を浴びせて殺したり弱らせたりするアリなんですけど。」
「自爆...アリだと?.....まさか、ゴーレムが出る山には.....。」
ガイさんの返事を聞きながら俺は体をスライムのものに変身して〔巨大化〕してかなり接近していた大猿を絡めとり体に密着させる。
「そうなんですよ。あそこの山のちょっと奥に行ってゴーレム狩りをしている時にですね偶然アリの巣穴を見つけちゃって、その時は行かなかったんですけどこの前ソロで行ったら結構奥まで行けちゃいましてそこでコレにやられてしまいまして。」
いや、でもあれはずるいだろ。一本道の狭い通路で前と後ろから自爆アリが押し寄せてきて一斉に爆発するのは無いわ。地味に確実に殺すための場所に誘き寄せられていた気がするし、いいアイテムは取れなかったし。いやでもこれは俺にとってはいいものだったけど。
「...‼︎お前の種族の特性は確か対象のスキルを使えるもの...マジか⁈」
おお、流石に今から俺が何するつもりかはわかるよな。
巻き添えをなくすためにわざわざプレイヤーを下げさせたんだし。
「これで俺は終わりですけど大猿も倒せるはずです。それじゃあ後は頼みましたよガイさん。〔自爆〕。」
大猿を絡めとっていた体がギチギチと収縮していく。大猿の体も鈍い音がしていくと同時に俺のスライムの体の中央にある核とも言えるものが光出す。
「狙っていたわけじゃ無いけどやっぱりラスボスには爆発が必要だと思うんだよな〜。あとで野ーライフに自慢しよ。」
光が一際強くなったと思った時、俺の体からマナが溢れ出し爆発した。
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