第12話『種族間戦争(TW1)』1-3
なぜかこの頃夕方に寝てしまう....
次からは上位者の戦いです。
ブックマークして下さっている方、ありがとうございます。
今回してやってもいいよという人はよろしくお願いします。それではどうぞ
ルークside
何だこの狼の威圧感は...。
ルークはこのような威圧感を出す魔物を一体だけ知っていた。
遺跡暴走の際に、人類種の国に現れた小鬼の英雄だ。人類種が何度もゴブリンの集落を襲ったのが原因でゴブリンたちが願ったゴブリンの守護者。あれとよく似た威圧感を目の前の狼からも感じた。
(どういうことだ⁈さっき言葉を話していたということはアレはプレイヤーのはずだろう⁈なぜプレイヤーが変異個体になっているんだ⁈
.....まて、あのプレイヤーは〔変身〕と言った。ということは僕の聖剣召喚のような固有ということか⁈)
あまりの状況の急展開に思考がついてこずにルークは突っ立ったままになっていた。そしてハッと気を取り直して狼のいた方向を見ようとするがもうすでにそこに狼はいなかった。これはまずいと思いルークはとっさに前に体を投げ出すように転がった。すると頭のギリギリ上を狼の爪が通り過ぎていた。
(とりあえず落ち着け...デュランダルの制限時間も残りすこしだ...だから確実に仕留める!)
・・・・・
アヤトside
結構うまくこのハッタリが効いているなと思いながら俺は黒髪の剣士の死角に回り込み爪で攻撃する。
相手はギリギリで躱しつつも動揺している様子が抜けきれていない。
でもこの形態、実はハリボテ何だよねー。
まず複体魔の複体は変身する時に十分な質量が有れば全身丸ごと変身できたのだ。
なぜこれがいけると思ったからというとノラのスライムを吸収して〔粘体〕というスキルを手に入れて使ってみたときに全身が変身したのだ。スライムには質量の制限というものがない。大きくなりたいときは水分量に応じて大きくなれるし、その水を体内に圧縮して貯めることで小さくもなれるからだ。なので俺が〔粘体〕を使ったときも全身が変身した。ということは質量をもっと上げれば、本来の体よりも大きいやつに変身できるのではないかと考えた。そして3人でアシッドスライムを狩り、俺が吸収して実験した結果、孤高の狼に変身することができたというわけなのだ。
だから相手が威圧感を感じている理由は、さっきバッサリ切られて大ダメージをくらったことで発動した〈窮地一牙〉が高倍率で発動したことで威圧感がでてステータスが高くなったと勘違いしているのだろう。それで俺がすべきなのは小さいダメージを貰いながらステータスの倍率を高めて相手を倒すことだろう。
なので相手が混乱しているうちに倒していきたかったのだが.....もう復活したようだ。相手からは次で決めるという意思がビンビンに伝わってくるようだ。と考えていると相手のデュランダルが光りはじめた。
相手も気づいたらしく静かに突進の構えをとった。
俺も相手をするように姿勢を低くして機を見計らう。
そして、お互いに弾けるように飛び出して相手は突きの構えを俺は爪でなぎ払う構えをとった。そしてお互いの攻撃がぶつかったように見えた。お互いに背を向けた次の瞬間、俺はスライム形態で黒髪の剣士の体を包んでいた。
なんてことはないぶつかる瞬間に変身をといてスライムのスキル〔粘体〕発動して剣にワザと斬られ、相手が剣を振り切ったときに相手の全身をスライムの体の中に入れて窒息させるだけだ。
周りを見るとマイはとっくに僧侶の女の子を倒しておりタンクの顔に張り付いており、ちょうどポリゴンになっているところだった。野ーライフはタンクを抑えるのに使っていたスケルトンたちを魔法使いの女の子の周囲に配置させ、相手が撃った魔法を相殺し、スケルトンで圧殺しているところだった。
なんでこんなにみんな戦闘方法がエグいんだろう。と俺はちょっと悲しくなった。あ、おいおい出ちゃダメだよ。戻りましょうねー。
黒髪の剣士を出さないように体の中央を乱回転させることで平衡感覚を失わせる。注意して見るとなぜかデュランダルを持っていなかったので単純に制限時間があるのかその他にも消える条件とかがあるのかとかが気になるところだ。
全員がポリゴンになったところで俺たちは他の魔物がいる部屋まで退避する。これで人類種側に襲われたら目も当てられん。
そう思っていると入り口の方からまだ、遠くだと思うが爆発音が響いてきた。とりあえず2人の顔を見ると2人とも「逃げよう」という顔をしていたので俺たちは走って逃げることにした。
俺たちより多くの戦争をしているNPCには流石に勝てる気がしない。
そう思いながら走って奥に向かっていると下に続く階段を見つけた。
「よし、階段を見つけたな。うんじゃ後ろの人類種が来る前にいくか!」
「そうだね。早くしないと結構やばいよ。」
「後ろ結構な勢いで来てるわよ!急いで!」
マイが焦った様子で急かしてくるので後ろを見てみると4人組のパーティーが凄い勢いで進んでくるのが見える。
「本当にヤバいな!イクゾーーーーー。」
そう言って俺たちは下の階段を駆け下りた。