201X年11月
201X年 11月 スタートライン
僕らは、大学生であって大学生では無かった。
僕らは、まだ高校生でしか無かった。
なーんてね、改めて観るとよく分かる、この日空きコマ中に行われたプレゼン発表で感じたものが。
この発表は、夏季休暇中インターンに行った同学科の先輩ら数名による報告会で、僕らはそこで2回生の方が1回生の頃からインターンへ行っていた事に驚きを覚えた。
まだ早いだろう⋯⋯。3年生のしかいい所は行けないから。
これは普通では無くて、何も知らない僕達の言い訳でしか無かった。
僕らは、まだスタートラインにすら立っていなかった。僕らはまだ何も行動していない。
勉強とサークルと遊び、バイト。
この半年僕らがしていたのは、高校生と同じ暮らしだった。
この日から僕らは少し、大学生へと近づいたと思う。
興味のあるゼミへ見学へ行ったり、ボランティア活動をしたり、企業、資格への関心、知識を高め始めた。
僕らの道は同じではなく、この先見る道が未来の僕らとも違う事を念頭に僕らは、手分けして調べた。
パーティーとは言えないが、友達の部屋で互いに興味のある方面を調べ、少しでも他の友達が興味のあ理想な部署があればついでにそこもと、情報を積み重ねて行った。
高校生の頃は語るしか無かったものが、今は少しだけ現実味を帯びたものとして僕らの手で肉付けし実体へと⋯⋯。
目の前の光が乱雑に反射し視界を覆う、俺は目を擦った。
「見たかったなぁ⋯⋯一緒に。」
手を伝い、指を伝う何も移さない真っ黒な雫は、冷たい床で跳ねる。床は汚物とでも認識したのか飲み干してはくれなかった。
視線を戻すと既に11月も終わりに差し掛かっていた。
白い息を吐きながら笑い合う姿、一日がとても短く感じる2人っきりの放課後、何ら特別でもなかったごく普通な日。
でも、そんな日でも僕は覚えている。細部まで。
「なぁ、早く次行こうぜ。感傷に浸るのもいいけどさ、俺が見たいのはこれじゃない。なぁ、おーい⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯。
はぁ、暇人め⋯⋯。」