第二十九話
「〔ロックビート〕!!」
〔ロックビート〕
魔力によって岩の塊を生み出し対象へ射出する。周囲の岩を動かすことも可能とする。
僕の生み出した巨大な岩は上級悪魔に衝突する。
「ぐぐぐぐかガァガァガァ!」
岩は上級悪魔もろとも飛んでいき、そのまま地面へと落下。
「グギャガャギギギ!!」
岩と上級悪魔は地が破れる程勢いよく地面へ叩きつけられる。
「クソッが!!」
ドラコは今までの余裕が嘘かのように表情と言葉にに焦りが現れる。
ここまでの地位に登り詰めるまでに私がどれだけの犠牲を払ったことか!
こんな所であの様なエルフのガキに!!
「グギャギャググ!!」
上級悪魔は僕が生み出した岩の下敷きになりバタバタともがいている。
「このポンコツが!早くあのガキを始末しなさい!」
「グギャギャガガガァァガァ!!」
ドスーンッ!!
上級悪魔は何とか岩を体の上から退かし起き上がる。
「そうですその調子です。さぁやっておしまいなさい」
中級悪魔は上級悪魔に指示を出すが…
『なんや動きが止まったぞ』
さっきの攻撃が効いたのかな?
『もし仮に上級悪魔があれぐらいの攻撃を受けたとして、へこたれる可能性はゼロやな』
全く効いてないって事?
『あの機械がほんまに上級悪魔と同じステータスを持つならな』
「どうしたのですかっ!!?早く始末しなさい!!」
中級悪魔がそう言うと上級悪魔はゆっくりと歩き出した。
僕は戦闘態勢に入る。
上級悪魔が地にめり込むくらいの踏み込みをする。
『くるぞ!!』
うん!
上級悪魔の攻撃は…
「かはっ!」
僕に当たるのではなく…
『なんや?』
「な、ぜ?」
中級悪魔の腹を抉っていた。
「オマエ、ヨワいイらナい」
上級悪魔は拙い言葉で中級悪魔の問いに答える。
中級悪魔の腹を貫いていた上級悪魔の長い爪はそのまま上部へ引き上げられ中級悪魔の上半身を三分割にしてしまう…
酷い死に方だ。
僕はああなりたくないな。
「オマエ」
上級悪魔は中級悪魔を貫いた爪をこちらに向け話す。
「オマエ、はツヨい、がハンパ」
「それはどうも。ハンパ?」
『混血のことか?」
あーなるほど。
「それがどうかした?」
「ナゼ、ヨワいモノタちノミカタする?」
「それは…」
僕はサラや父さん、ダランさん村のみんなの方を振り返る…
「…それは家族だからだよ」
僕は笑顔でそう言った。
「オマエ、マチがッテる。ヨワイモのシヌ」
「僕はそう思わないよ」
「ナラ、オまエはテキ、シネ」
上級悪魔は再び地を蹴り今度こそ僕の方へ向かってくる。
上級悪魔は長い爪を先程と同様腹を貫こうとする。
僕はそこへ〔魔障壁〕を発動させようとするが。
『あかん!ヨナ避けろ!』
爪は〔魔障壁〕を貫き粉砕する。
やっぱり下級魔法じゃ上級悪魔の攻撃は防げないか。
『ヨナこれ使え』
リリムがそう言うと僕の腰に重みを感じる。
これは?刀?
僕の腰には禍々しい鞘の刀が差してある。
『儂のや、つまりお前の物でもある』
そうこうしている間に上級悪魔の追撃がくる。
僕は咄嗟に刀を抜く。
上級悪魔は先程よりも明らかに速いスピードで爪を僕の頭部から振り下ろす。
『特質か…』
特質?
『悪魔一体一体が一つだけ持ってる特殊な能力のことや。コイツはスピードが上がるってだけやから、そないに強くはない』
分かった。
『それより攻撃防げよ』
僕は受け流す様に刀を爪に当てようとする…が刀がいきなり重くなり…
カーンッ!!
あぶね!
上級悪魔の爪は僕から外れたが刀が数ミリと言う単位で僕の小指を掠めていた…
『いまのは?』
「ヨナ!そいつは何個も特質を持ってるから気をつけて!!」
サラが叫ぶ。
『特質を何個も?どういうことや…』
「〔ロックビート〕!」
僕は〔ロックビート〕発動しさっきと同じ様に上級悪魔に衝突…するが。
「オナじ、コうゲキ、キカなイ」
岩は木っ端微塵に砕け散った。
『加重力に高質化…ほんまに特質を何個も…ヨナ気をつけろコイツは王都の女団長とは比にならんくらい強い』
分かってるよ。
「オマエ、マリョクだケ、ソンナニツヨクナカッタ、ヨワい、シネ」
そう言うと上級悪魔は少しうずくまる様な体制になる…数秒…上級悪魔の体全体が赤黒く光る。
「ッッウウォゴゴォォゴコグググォォオオオオ!!!!!」
「なっ!なに?」
上級悪魔の醜い巨体はだんだんと小さくなっていき、コウモリのような翼は龍翼の様に変わり、ゴツゴツとした硬質な体表は褐色肌に禍々しい赤色の紋様が入り、人族の様に柔肌。頭部は山羊の様な獣という面影もなく人族に近い顔立ちになっていく。
そして3本に枝分かれしていた尾が4本に変わった。
そんな見た目の変化よりも変わったのが…
「魔力がさっきとは桁違い…」
『魔人化…』
予約掲載をしたはずだったのですが反映されてなかったみたいです…




