第二十七話 「やぁ」
村まであと数分。みんなは無事なのだろうか。
うっ、焦げ臭い。
『なんや村のもん一人もおらんな』
周りを見渡す。
『敵襲に気づいて急いで逃げようとした感じやな』
そうだね。
家屋が少し荒れているが血痕や死体なんかが見当たらないとなると、ここで交戦した訳ではなく慌てて逃げ支度をしたと考えれる。
「行き先は…」
僕はよくみんなが集まっていた広場の方へ足を運ぶ。
ん?
『ここで一回捕まったみたいやな」
広場の地面には腕を縛っていたであろう魔法で強化された縄が切れて落ちていた。
『なんとか逃げ出したみたいやな』
でも、ここでも交戦した形跡はないみたい。大勢の足跡が森の方へ続いている。
〔サーチ〕
僕はサーチを使って逃げ遅れた人が居ないか確認する…人が三人。あとは…
『帝国側に何かトラブルが起こった。と考えた方がええな…例えば第三勢力』
グオァアーー!!
『アレやな』
だね。
広場を外れ少し進んだ所に全身黒づくめの者達とソイツは交戦していた。
『強き者よ』
脳内に野太い声が響く。
彼は三人相手の交戦中にもかかわらず僕の存在に気づき〔念話〕を送ってきた。
『ほぉ。征服者か』
征服者?
『魔物とはまた別の生物その種族の頂点に位置する生物のことや。で、その征服者がなんでこんな中級悪魔と戦っとるんや?』
やっぱりあの三人悪魔なのか。
『なんや分かったったんか』
うん。何となくね、匂いが独特と言うか、見た目は人間なのに匂いが自分に近いものを感じたからね。
でも何で悪魔が地上の争いに?
『お主らも悪魔なのか?何かが違うように感じるが、今はどうでも良いことだ。お主らもこの村を助けにきたのだろう』
僕達もと言うことは貴方も?
『そうだ。今私はこの村のサラという娘と協力関係にある』
サラが!?
『この村を此奴らから守るかわりに今後このような者達から私の森を守る事に協力するという契約だ』
なるほど…
『先程此奴らの仲間が森の中へ娘達を追跡しに向かった。ここは私が請け負うお主は早く行ってやれ。もう交戦は始まっている』
なんだって!
分かりました。ありがとうございます!
僕は静かに頭を下げ森の中を捜索範囲を広げ〔サーチ〕する。
……
「いた!」
『どうやらほんまに交戦は始まってるみたいやな』
森の中の少しひらけた場所で中央の一定数の人を取り囲むように人が散らばっている。
が、取り囲んでいる人の反応が次々と消えていく。
『ヨルやな』
早く向かおう!
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『何やコイツは?』
飛行魔法でサラ達の所へ向かっている途中リリムが異変を感じた。
『おい。ヨナ悪魔召喚や』
悪魔召喚?
『そうや、通常上級悪魔が中級、下級悪魔を戦力として呼び出す儀式や…でもおかしい。儂が感じ取る限りでは術者が中級悪魔で呼び出されたんが上級悪魔や』
何で立場が逆に?
『よぉ分からん。けど召喚された上級悪魔なんか変や』
変?
『なんかが混じっとる。ほんで通常の悪魔よりバカみたいに魔力が高い……急げ!ヨルが倒せる相手とちゃう!』
僕はスピードを限界まで加速させていく。
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「離れろ!!」
おじいさまが離れるように私達に叫ぶが、私の目の前が真っ白に光る。
「ウッ!!?」
「もう遅いですよ。ふふ。全反射」
ドゴォオォオオンッッ!!
途轍もない爆発音が響いた。そして周りから音が無くなった。
どうやら鼓膜が破れたみたい。
爆風はサラの髪を激しく乱れさせ熱風が吹き荒れる。
「……」
でもそれ以外感覚はなく大爆発に巻き込まれたはずなのに。痛みさえ感じない。
その状況に違和感を感じた私は目を開いた…
「!!!!??」
私は今すごく驚いている顔をしているだろう。自分でも分かるくらい目を見開いている。
「やぁ、サラ」
耳が聞こえなくてもなんて言ってるか分かる…
「『やぁ』じゃないわよ!」




