第二十一話 森ノ守護者
なにこの化け物…
ただのオークじゃない。
私はその異質な雰囲気と姿を見て尋常なオークではない事を悟る。
逃げなくちゃ…
私の脳は身体へ命令を出す。
しかし身体は言うことを聞かず身体中の筋肉は微塵も動かない。
サラの身体が動かないのは森ノ征服者の[威圧]というスキルが作用しているためである。
[威圧]
自身よりも格下の者へ恐怖を与えるスキル。
圧倒的に実力差があると[威圧]だけで失神することもある。
頬を汗が伝う。
森ノ征服者はゆっくりと足を進め私に近づく…
『耳長族の娘よ』
頭の中に野太い声が響く。
声の主は…
サラは顔を上げて森ノ征服者を顔を見る。
森ノ征服者はゆっくりと頷きサラの顔を見る。
「な、なんでしょうか?」
魔物の中には稀に他種族とコミュニケーションを取るために[念話]を使う者が居る。
『我の森は今危機に陥っている。人間の軍勢がこの国との戦争の為にこの森を足がかりにしようとしている』
ローウェン帝国はエーギル共和国を落とす為に確実にこの森を通るだろう。
この森にいる動物や魔物達は何の意味もなく虐殺され森の生態系が破壊される。
『そんな事は森の主たる私が許さない。しかし直接的に私が表に出れば今の軍勢に勝利したところでこの森はこの国に危険視され滅ぼされるだろう』
森ノ征服者が表立ってローウェン帝国に抵抗して例え勝利しても今度はエーギル共和国がこの森を危険視し軍をまた送り込んでくる。
『私の眠りは300年に一度しか醒めない。よって常にこの森を守る事は不可能だ』
森ノ征服者は常に存在している訳ではなく、強大な力を秘めるその身体は数日起きているだけで何百年もの休息を必要とするようだ。
『そこでお主へ頼みたい。お主へ力を与えるその代わり私が眠っている間この森を護ってくれぬか?』
私には力が無い、だから村のみんなも守れない。
そんな私が森の守護を?
できるわけがない。
ヨナなら…
なんて言うだろう…
サラは暗い表情は意を決した表情に変わる。
「…」
サラは頭を下げる。
「私はその申し出を断らせてもらいます」
『お主の村を救いたくないのか?』
私は首を横に振り否定する。
「村を救いたいです。でも私には森を守護するなんて事は荷が重すぎます」
『そうか。残念だな』
「…提案があります」




