第二十話 森ノ征服者
森の中そこで対峙する少女と一匹の魔物。
既に同種の魔物の死体が二匹。
グルルルッ
魔物は少女へ大きな敵意を向け威嚇する。
少女は悠然として剣を構える。
両者が地を蹴り距離を詰める。
「はぁ!」
少女は森狼の首を刎ね戦闘が終わる。
「ふぅ。終わった」
少女は額の汗を拭う仕草をし鹿の解体を再開する。
どうやら森狼は解体中の鹿の血の匂いにつられたみたいだった。
「よし、帰りましょうか」
少女は鹿の肉や皮をアイテムボックスへしまいそう呟き帰路に就く。
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「ヨル。すまない私のせいで」
「仕方ない。結果は変わらない、俺一人生きたところで意味はない」
「幸いサラは森へ行っている。気づいてくれれば良いのだが」
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何かがおかしい。
村の雰囲気がいつもと違うしみんなが居ない。
私はそう思いながら村全体が見える小高い丘へ向かう。
「あの黒づくめの三人組は…?」
村の広場に村人全員が拘束されて集められている。
そこには村人の前には三人の黒づくめの者がいる。
もしかして、帝国の人間?
「ヨルさんまで…私一人じゃ、どうにも出来ない」
サラはヨルを捕らえた三人との実力差が分かるくらいには愚か者ではない。
さらには街に行き助けを求めることしか出来ない。
「クソッ!待っていてお爺様、村のみんな」
私は助けに行きたいと言う想いを押し殺し街へと走り出した。
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「ヨナ殿!」
駆け出したヨナを追いかけるように宰相が部屋の外に出るがヨナの姿はもうなく部屋の中へまた戻る。
「ガルドよ軍を動かせるか?」
王は右後方に待機しているこの国の軍を指揮する軍将へ問う。
「もう手配は済ませております。いつでも」
「これよりローウェン帝国と戦争を行う!!」
王は高らかに宣言する。
それに宰相たちは跪く。
「「「は!」」」
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サラは森の中を走り街に向かっている。
しかしその足は覚束ず体力の限界を物語っている。
みんなが危険なのに!
動け!
うごけ!
それでも動かない足を無理矢理動かしている。
街までは少なくとも歩いて5日走っても3日と半日はかかるだろう。
私がどれだけ強化魔法を使おうが丸1日は走らないといけない。
「ここは…」
いきなり森の茂みを抜けた森を抜けたのかと思ったがそこは池があるだけの拓けた場所。
昔、ヨナと来たなぁ…
「そういえば!」
私はおもむろに靴を脱ぎ出し素足を池につける。
足が光に包まれ足の疲れが取れていく。
そして水を飲み体力を回復する。
「あの頃は楽しかったなぁ」
何も考えずただ淡々とヨナと遊ぶ日々を過ごす。
「……」
流れる雲を見上げ青い空を見る…
ガサガサッ
ドゴーンッ
荒々しく木々が揺れ終いには木が倒れる程音が聞こえる。
「嘘よね…」
不幸と言うものは一度不幸が訪れればついでにと言わんばかりに不幸が立て続けにやってくる。
オークのようなその体は四メートルをゆうに超え、身体の大半は筋肉でできている。
額には大きく発達した漆黒のツノ。
その目に正気はなく醜くい姿。
彼女の目の前には村の文献に古くから伝わる森ノ征服者がそこに居た。
「サラ無事でいてくれ!」




