第十九話 約束
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「ダラン村長!」
ある朝、私の家に一人の青年が血相を変え上がり込んできた。
「落ち着け。どうした?」
私は冷静に話を聞こうとする。
「ローウェン帝国の旗を持った騎士達がこの村に向かってきてる!」
「何!?」
私は急いで上着を羽織り外に出る。
広場には村人が集結していた。
私は立ち台へ登り状況を説明する。
「聞いた者もおるかも知れんがこの村にローウェンの軍が近づいて来ている。女、子供を優先的に避難させる…5分で村を出る。その間に荷物を詰めるように」
「やっぱりあの悪魔が関係してるのかしら?」
「絶対あの悪魔のせいだ!」
「追い出された腹いせに呪いをかけてったんだ!」
村人達はヨナのせいだと騒ぎ始める。
「お主ら黙らんか!今は一刻を争う事態!!そんなことを言っとる暇はない!!」
騒がしかった村の住民はダランの怒鳴り声でその場を離れ村を出る準備を始める。
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「60人程、15分ほどあれば制圧可能かと」
木の影から村を見下ろす女。
『そうか、ではお前ら3人で制圧を頼む私達も30分程でそちらに着く。住民は危害を最小限に』
「はい」
女達の通信が終わる。
「行くぞ」
リーダーの女。
「了解」
忠実な部下。
「はいよ〜」
へらへらとした者。
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「ヨル」
「何だ?ダランよ」
私は隣に立ち村の様子を観察している青年に話しかける。
「お主の息子がこの村を出て1週間…やはり醜い者たちだな私も含めて」
私は先程の村人達の言葉を聞き、自虐気味にぼやく。
「そうだな」
「1つ聞きたいんだが」
「何だ?」
ヨルは腕を組み直す。
「十数年前私達はお主ら親子を殺そうとした。その時お主は私達を皆殺しにする事も出来た」
「そうだな」
「それまでにこの村はお主らに世話になっていた。何故にこんなにも傲慢な私達を殺さなかった?」
「小さい頃に約束した、同族は殺さないと」
ヨルは何かを懐かしむように言う。
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「ヨルくん」
「なに?ルナ姉ちゃん」
少年と手を繋ぐ歳20にならない女性。
少年はえらく女性に懐いている様子だ。
また女性も自分の息子の様な弟の様な少年に微笑みかける。
「ヨルくんに私以外のお友達ができたら絶対にその人達を傷つけちゃダメよ?」
「なんで?」
「なんでって?うふふ」
天使のような笑顔で話を続ける。
「お友達とは仲良しの方がいいでしょ?」
「うーん。別にルナ姉ちゃんがいるしお友達なんか要らない」
「それは私が居たらの話。私の方が大人だから私が先に死ぬの。その後ヨルくん一人じゃ寂しいでしょ?」
「で、でも」
「でもは無し。約束しよう?」
そう言って女性は右手の小指を立てる。
「わ、分かったよ」
少年は不服そうに右手の小指を立てる。
そう言って二人は指切りをする…
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「きゃー!!」
村の広場の方から悲鳴が聞こえる。
ダランと私は広場へ走り出す。
「何事だ!?…!?」
広場に着くと全身黒づくめの三人組が次々と村人を襲い倒されていく。
様子を見る限り村人達は息をしており殺されるのではなく気絶させられているようだ。
「ヨル!」
「分かっている」
「すまぬ」
私は三人組に向かって弓を放つ。
その矢は一直線に三人の頭部に向かって行く。
「やったか?」
ダランは三人組を仕留めたと思い安堵の表情を浮かべる。
「いや」
私は短く否定する。
ダランの表情には焦りという感情が浮き出る。
目の前の三人組は姿を消し私の放った矢は地面へと刺さった。
そして。
「あ、動かないでねぇ。動いちゃうと死んじゃうよ〜?」
ダランの首には刃が向けられていた。
「貴様。良い腕を持っているな武器を捨て、抵抗するな。さすれば命は助かる」
「何が目的だ?お前らは帝国の人間か?」
私は弓を引く。
「武器を下ろせ、無駄な殺生は好まん」
黒づくめの女は言う。
ダランの首に血が滲む。
「ヨルよ私は良い殺るんだ」
「おじちゃんカッコイイ」
ダランは覚悟した表情をしている。
「早くおろせ、この者が死んでも良いのか?」
私はダランと目を合わせる。
ダランは静かに目を瞑る。
私の引く手に力が入りさらに強く弓を引く。
そして…
「懸命な判断だ」
私は弓を地へ落とした。




