第十八話 戦争?
「どうしていきなりそうなるんですか!?」
僕は身を前のめりにして王様に言う。
「なに、簡単。シルクにも勝つ実力を持ち、歳も娘達と同じ。それにその整った容姿、私の娘の婿に相応しいじゃないか」
王様が饒舌に説明する。
そんな理由で…
「クレア様とエミル様の気持ちはどうするんですか?彼女達が嫌と言えば?」
「それは嫌がる訳がないだろう?」
王様は少し表情を歪ませ言う。
『なんか他に理由があるぞ』
そうだね。
「この話は断らせてもらいます。失礼します」
そう言って僕が立とうとする…
「ちょ、ちょっと待ってくれヨナ殿」
「なんでしょうか?」
「な、何が不満だ?あの子達と婚約すれば将来は王族だぞ?金も権力も手に入る」
『これだけ必死になってヨナを止める理由がなんかある。なんやろな?』
「不満ですか。不満ならありますよ?」
「貴様!王へ向かってなんと言う態度!」
護衛が僕のの悪態に声を上げ、剣を抜こうと手をかける。
「よいのだ、口出しするな。ヨナ殿、私ができる事なら協力しよう。なんでも言ってくれ」
護衛を王は手で制し僕と話を続ける。
「何が目的ですか?」
僕は単刀直入に聞く。
「も、目的とは?」
王様は明らかに動揺する。
「大事な娘を見ず知らずの僕に差し出してまで僕を引き止める理由です。何故嘘をつくんですか?」
「………」
王様は黙り込む。
「実は…うちの護衛隊でヨナ殿の魔法を見た者がおってな…」
「え?」
もしかして、魔法の練習をしている時に見られてた?
「下級魔法で山を一つ消したと報告が来た」
「そ、それは」
僕の頬を汗が伝う。
「いや、山を消した事を咎めることはないのだが。そんな人物を他国に渡ってほしくないと思ってな…特にローウェン帝国には」
『やったなお前…あれだけ[サーチ]で人がおらんか確かめろって言うたのに』
いや、だって!
あんな山奥に人なんかいないと思うじゃん!
「そこでヨナ殿には爵位を持ってもらい、娘達の婿に来てもらいたかったんだ…すまない」
そう言って王様が頭を下げる。
…これって僕が悪い?
『お前が悪いな』
…
………
……………
「すみませんでした!」
僕はそう言って頭をテーブルに叩きつける勢いで頭を下げる。
どう説明しようか…
『あの女はヨナに惚れとるからええけど。流石に人族の王に悪魔って事はバラすのはまずいなぁ』
「じ、実は僕はハイエルフでして」
僕は咄嗟に嘘をつく。
「なるほど。それでそれだけの実力を…」
王様は納得した様な表情をし何か考え込むよう顎に手を当てる。
「僕はこの国が好きですし他国に移住する気もましてや敵対する気なんて毛頭無いですから」
「そう言ってもらえると助かる…本当は娘達にも自分の気持ちを優先してもらいたいのでな」
そう言って安心した表情をする王様。
謁見の場での差別への意識と言い、今の娘思いな所とか本当にいい王様だなぁ。
コンコンッ!!
大きく荒々しく扉がノックされる。
「誰だ?」
宰相さんが誰かと問うが返事はない。
バンッ!
荒く扉が開かれる。
「はぁ、はぁ。失礼します!!」
入ってきたのは息が上がっている騎士だった。
「慌ててどうした?レオル」
宰相が騎士へ問いかける。
騎士は膝をつき報告を始める。
「報告します。西の隣国ローウェン帝国から3万の軍勢が攻め込んで来ていると報告がありました!」
「「なに!?」」
王と宰相は声を上げる。
西…
「敵軍の現状位置は?」
宰相が聞く。
「偵察隊の報告では後15分程で国境付近のエルフの村へ到着するそうです」
もしかして…
「村の規模は?避難は?」
「村は人口が70程で小さく避難は…まだ出来ていません」
「チッ」
宰相は悔しそうに舌打ちをする。
「村の名前を聞いても?」
僕は静かに村の名前を聞く。
「カルネ村と言うそうです」
「ヨナ殿!?」
僕はカルネ村と聞いた瞬間立ち上がり部屋を出て行く。
「お願いだからみんな無事でいてくれ!」




