第十一話 準決勝
順々と試合は進んで行き。
闘技場には準々決勝ぐらいには一般の人達でいっぱいになっていた。
一方で僕は準決勝の場まで順調に駒を進めた。
「さぁ、準決勝!残ったのは!?今年入団の特別出場期待のルーキー。タメル・ロン!」
「続いて王都騎士団の頭脳。頭も切れ戦闘の実力もピカイチこんなに完璧な騎士がいていいのだろうか!?王都騎士団副団長アラン!」
「そして謎の乱入者!?その実力はこれまでの対戦相手を圧倒している!ヨナぁぁぁあ!」
実況の選手紹介は盛り上がり。
観客席からも盛り上がりが聞こえる。
それにしても昼ぐらいからすごい人だな。
「最後の4人目は!!弱冠17歳にして我ら騎士団を総括する、天才!王都騎士団団長。シルク・ラルナ!!」
ん?
おいおい、待て待て今までシルクさんは試合に参加してないぞ?
シードって事か?
「準決勝一試合目は…」
そう言って実況は各名前が書いてある玉を箱からランダムに引き出す。
「えーと副団長アラン対……」
副団長さんとシルクさんは強そうだからタメル・ロンさんと当たりたいな…
そんな事を思いながらドキドキと緊張感が走る。
「…謎の少年ヨナぁぁあ!!」
うわ…
『お前悪運強いよな』
否めない…
「二人は入場準備をお願いします」
アナウンスがかかり、僕は準備をする。
5分後
「選手の入場です」
「東側から入場するのは、王都騎士団の頭脳にして圧倒的武力を誇る王都一のイケメン騎士アラン様!!」
「きゃー!アラン様〜」
「こっち見て〜」
観客席の女性陣達からは黄色い歓声が。
「悔しいけどあれはかっこいいな…」
「流石にあればなぁ」
男達は嫉妬交じりの諦めの声が聞こえる。
アランさんは観客に手を振り歓声に答える。
すごく場慣れしてる感。
「西側から入場する、本大会の番狂わせ!あのエーギル王国の美しき双姫とシルク団長が認めた男!ヨナぁぁあ!」
「よし!」
僕は気合を入れて会場入りする。
「がんばれ坊主!!」
「がんばれ〜!新入り〜!」
「ヨナ!副団長に勝てよ〜!!」
「俺に勝ったお前ならアランさんにも勝てるぞ!」
一般の観客や騎士団の団員さんは僕に声援を送ってくれる。
でも…
「アラン様〜あんなちんちくりんに負けないで!」
「可哀想だけどアラン様がんばって〜!」
アランさんのファンの皆さんからは冷たい声が聞こえてくる…
と言うかいつから新入りになったんだよ!
「ヨナ様!がんばって勝ってください!!」
「ヨナなら勝てる。がんばれ。」
クレア様とエミル様からも声援をもらう。
僕は声援をもらった方々に頭をペコペコと下げる。
「よし!みんなも応援してくれているし、がんばろう!」
僕は中央まで足を進める。
「こんにちは。ヨナ君よろしくね」
アランさんは手を差し伸べ握手を求めてくる。
「こ、こんにちはアランさん。よろしくお願いします」
僕はその手を両手で握り返し挨拶する。
「そんなに緊張しないでよ。お互いにがんばろうね!」
なんだかすごく爽やかで人が良さそうな人だ。
「はい!ありがとうございます!」
「正直僕はシルク団長をどうこうとかどうでも良いんだけどね…あ!そうだ」
アランさんはわざとらしく何かを思いついた様な仕草をとる。
「もし、僕がヨナ君に勝ったら団長のお願い事は君にあげるから是非君にうちの団員になってほしい!」
なんで、この人達は僕を騎士団に入れたがるんだろうか?
「なんで?という顔をしているね。それは簡単だよ。君は強いしなにより努力家だ今までの試合を見ていたら、君が経験してきたであろう戦闘技術、剣筋何もかもがうちの団員の手本になる」
シルクさんが僕を勧誘する理由も同じなんだろうか?
「はぁ…な、なるほど」
「まるでうちの団長みたいだ、団長が必死になって君を勧誘したい気持ちがわかるよ。でどうだい?」
確かに、僕も騎士団の皆さんと剣技を磨く事には興味がある。
それに騎士になれば安定した俸給が得られる。
でも、不安もある。
騎士団には人族しかいない、種族差別。
この国は法によって種族差別は禁忌とされているが昔の名残で少なからず今もある。
「分かりました…僕が負ければ騎士団に入団します」
「そう来なくちゃ」
「両者定位置へ…それでは試合を始めます」
アランさんの今までの試合を見ているとアランさんは開始と同時にすごいスピードで突っ込んでくる。
「それでは…両者構え!…」
アランさんと僕は腰にそえられた剣を抜く。
「…………始め!!」
開始のゴングが大きく鳴る。
アランさんは開始のゴングと同時に地を蹴り、とてつもないスピードで突っ込んでくる。
上段から構えられた剣は僕を捉えて振り下ろされる。
「グッ!」
スピードと訳のわからないぐらいの馬鹿力。
僕は何とかアランの剣を受け止める。
「ヨナ君本当にズゴイね!僕の一撃を止めるなんて。これを止めたのはシルク団長ぐらいだよ」
そう、今までアランさんはこの一撃で試合を終わらせて来ている。
僕はアランの剣を受け止めるのに精一杯。
「ハッ!」
僕は足を踏ん張り体でなんとか剣を返す。
アランさんは後ろにステップを二つ。
僕も後ろに下がり少し距離を取る。
アランさんは僕からの反撃をわざと待っているようだ。
なら。
僕は走り出し、剣を下段に構える。
アランさんが剣の射程に入るとわざと大きく上の方へ振りかぶる。
そして剣を振るう。
もちろん剣は止められるが、僕はアランさんの横腹に蹴りを入れる…
よし!
僕は蹴りが綺麗に決まると思ったが、アランさんは軽く僕の蹴りを足で受け止めた。
「ヨナ君少し僕を舐めすぎじゃないか?」
アランさんは笑いながら話しかけてくる。
「そんな、フェイント見え見えだよ」
そう言ってアランさんは剣を振り上げる。
僕はとっさに剣で攻撃を受ける。
くそッ!!
僕の横腹に大きい衝撃が来る。
僕と同じフェイントをアランさんはかけた。
僕の体は会場の壁まで吹き飛ばされ叩きつけられる。
ドゴーンッ!!
「ヨナ君もう終わりかい?」
アランさんは僕が吹き飛ばされた方へゆっくりと歩いてくる。
いててて。
壁は大きく抉られていた。
すごいなぁ、どんな強さで蹴られたんだろう僕。
『お前なにしてんねん。あんな戦闘狂はよ倒してまわんかい』
そんな簡単に言われても…強いよ?
僕は剣を杖に立ち上がる。
「よし。本気で行くか!」
「おいおい、流石にやりすぎじゃないか?」
「副団長本気っぽいね〜」
「死んだんじゃね?」
観客席からは心配する声が上がる。
ヨナが壁に打ち付けられ、砂埃が舞い、ヨナの容体はわからない。
砂埃から何かが常人が見て捉えられないスピードで飛び出す。
そしてそれはアランへとぶつかる。
「ヨナ君やっぱりやるね!今のはギリギリだったよ」
「そうですか」
アランへぶつかったのはヨナだった。
二人は剣をぶつけ火花が飛び散っている。
先程とは違い、アランが押されている状態だ。
「アランさん、本気で行きます」
「そう来なくちゃ!」
二人は剣が一度離れる。
そして目にも止まらない、スピードで走り出す。
この会場で二人の戦いを捉えられているのは少数だろう。
見えてない人からすれば色々な所から火花だけが飛び散っているのが見える。
「すげー」
「おい、なんか見えるか?」
「いや、何にも」
「二人はどこに?」
「わかんねぇよ」
「はぁはぁ、ヨナ君やっぱりすごいね」
アランは息を切らしながら話しかける。
「アランさんもすごいですよ」
ヨナは息も切らさず答える。
二人の顔は同じ笑顔だ。
『この戦闘狂共が。はよ終わらせろって』
そうだねそろそろ。
「はぁはぁ、そろそろ終わりにしようか」
「ちょうど僕もそう思ってました」
両者、後方へ飛び距離を取る。
呼吸を整え様子を伺う…
そして…動き出した。
一瞬の出来事…
「僕の負けだ…」
そう言ってアランさんは気絶した。
「何が…」
「……」
勝敗は決した。
会場は静寂に包まれる…
「しょ、勝者!ヨナ!」
そう言って審判は僕の手を取り掲げる。
次の瞬間、静寂に包まれた会場が沸き立つ。
「うぉおおお!」
「すげー!あの副団長に勝ったぞ!?」
「アランさまぁああ!!」
「なんて奴だ!やりやがった!!」
会場は大いに盛り上がる。
しかし、今の戦いをしっかりと見ていた者の反応は違う。
「なんだ今の?どう言うことだ…」
彼女は17歳にしてこの国の騎士団の団長を任せられる、正真正銘の強者、天才、この国の最高峰…その彼女が見たのは。
「アランの動きは見えたが…」
「君は一体…」




