第五話
部活動生は部活で能力を見るとして帰宅部の観察を先に。と計画し、四限目が終わり、昼休みとなる。いつも、文之は購買でパンを買ってくる。
そう、文之はパン派であった。ご飯は食べるとしたら夜食ぐらいである。
「ん?」
文之は自分の机から、綺麗に畳まれた二つ折りの紙が入れられてる事に気付く。
しかし周りの反応がおかしい。と気付いた文之は思考を高速回転して考える。
「(注目を浴びてるから、かなり人気か悪名高い者からの手紙......というか、アイツしか居ない。表で関わるなと言ったはずだが......?いや本人がバレバレの状態で他の奴に見られた可能性?有り得る。有り得るぞ。クラスメイトはアイツをマスコットの様に餌やりしたり、なんか献上品を上げるものも多い。そして、憧れるものも多いため、人の目が注目する。その目が俺に向いたら?......俺の人生が崩壊するぞ!?人避けの術も使えなくなる。コレはヤバいぞ!?しかも巻物のストックも切れたまんまだ。詰んだ?いや、ここは......)」
まるで一秒が数分間のように経過し、文之の考えが決まった。
「ふぅ......」
机にちょこんと出た紙をしれっと押し、座る。
それで普通にパンを食べた。そして......寝る。
現実逃避。ではなく、後で寝ぼけた振りをして捨てる。これぞ、圧倒的鈍感力。
『キーンコーンカーンコーン』
「......ああ、次の教科の教科書出さないと......」
文之は教科書とノート、二つ折りの紙を一緒に取り出す。
そして、ダイレクトに......
「ふぁあ......」
眠そうな声と共に『ぐしゃり』、そう音を立て、紙は文之の肘により、不規則に折り目を付けてゴミと化させた。後、眠りの体制に入った。
「すぅ......」
そして、そこで先生に起こされず、五限目が終わった。
未だ、文之の紙を気にしていたクラスメイト達の中で二人や一人、ある事に気付いていただろう。
それは文之が完全に寝る体勢に入っていても、席を横切った先生が何も言わなかったことだ。
あの校内で噂の色々と面倒臭い数学教師が文之に何も言わなかった。それは明らかな違和感。しかしそれに大体のクラスメイトは気付いていない。
文之は眠そうに立ち上がり、グシャグシャとなった紙を丸めて、フラフラとゴミ箱にホールイン。ギリギリでゴミ箱の縁に当たり、中へ入る。
そして、また席へと戻る。それから何も起こらず平凡な日常を終えた。と思うだろう。
下校時間になってすぐ、屋上から鈴の音が聞こえた。
瞬時に窓から外に出て、駆け上がり、屋上にふわりと着地する。すると文之はカーラの後ろ姿が目に入った。
するとカーラが振り向く。
「フミユキ!アレはどうゆー事デス!!」
「ここで素直に書いちまうと厄介になるぞ。政府に利用価値がある人間は引き抜かれるか、反政府組織と取り合って、殺し合いだぞ?」
「ちーと!チートしたいデ〜ス!!ムソーしたいデ〜ス!!ラノベしゅじんこーのようにイキリたいデ〜ス〜!」
「お前、それが目的かよ!というか......お前の異能戦闘向けじゃないよな」
「ソレは暗黙のリョーカイデース。」
「いや、分からん。」
フミユキはカーラに背を向け、フェンスに近寄る。
「そんだけなら、帰るぞ。今日は忙しいんだ」
「何を行ってるんデス?やってる行動はタダのボッチにしか見えませんデスヨ?」
「ボッチ言うな。ボッチ。」
「せーろんじゃないデス?」
「俺はあえて極力、人に関わないようにしてんだよ。」
「オー、コレが新のボッチーデス。」
「勝手に言ってろ。」
そう言って、文之は飛び降りて、そっから印を組んで透明化からの地面に着地。土煙だけが辺りに漂う。
そっからの高速移動。しかし、それはカーラには見えていた。まあ、見えるだけである。
それで職員室に侵入。しかし例のモノは見つからない。
「(もうかれこれ、一時間ぐらい探したはずだぞ?)」
しかし、無ければあそこに行くしかない。
この学校の最も偉い人間......理事長室。それから次の校長室に向かってみるとしよう。そう文之は決めたのだった。