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神様のおでまし  作者: 東雲しの
98/100

誠心誠意捧げよ3

「まったく犬も食わぬと言うヤツか?」


 天の大神様は神山に再び来臨され、神泉でまったりとされている大神様に言われた。


「事がひと段落ついた故、其方はのんびりであるな?」


「お陰様で大役を終えました」


「ふん、束の間であろうがな……。私への〝借り〟はきちんと覚えておけよ」


 神泉を愛でるに格好の場所に、四阿を作らせて毎日の様に、神泉と今が盛りの梅の花を愛でられている。


「今日は天照を、お連れかと思っておりましたが?」


「はん。()()はトロい其方を、急かしただけである」


「今日は気分も良いので、そう言う事と致しておきましょう……」


「真である」


 天の大神様はムキになって言われた。

 ムキになっているという事は、嘘を言われている事が多い、天照に〝貸し〟について談判したものの、相手にされなかったのだろう。


()()は、其方に遠慮を致したのだ」


「遠慮ではございません。どちらが正しいかを、判断致しただけにすぎません」


「あの時其方は()()だったのだ、私が手を差し伸べてやるのは、当然であろう?」


「また、その様な言い方を……」


「う、うるさい!私は()()が気に入っておるのだ」


 天の大神様は〝しまった〟というお顔を作られている。


「どうやら頻繁にお行きの様で?」


「中の原は実に面白い」


 そう言われると、みことが淹れた美味しい珈琲を召し上がった。

 現世に、多くの神使達が駆り出されて行っている、その中には赤獺も居るので、みことは珈琲豆と、それを淹れる為の一式を買って来て貰い、大神様にお淹れしているのだ。

 それを今日は、神泉と青孤自慢の梅花を、愛でながら堪能されている。


「しかしながら、先代の遺恨やら何やらがいろいろ絡み合って、其方は()()に懸想致すは仕方ないとして、如何してあのような者を……と思うたが、よくよく考えてみれば、()()は、実に愛いヤツである」


()()は私の〝物〟にございます」


 大神様は天の大神様を、睨め付けて言われた。


「故に私は欲しくなるのであろう?」


「決してお譲り致しません」


「それは如何であろう?また、其方は()()の所為で、激怒するやもしれん」


「それでも()()()だけは、嫌でございます」


「それは、その時()()に聞くと致そう」


 天の大神様は、薄ら笑いを浮かべて言われた。

 それを大神様は、蔑視された。


「そう言えば其方の神使の嫁が、先代の遺恨の謂れとなった鬼女の〝質〟でできておったを、知っておったのか?」


「は?何の事にございましょう?」


「やはり……全く察しておらなんだか?」


「何やら異様な〝もの〟を持っておるは、気づいておりましたが、別に大した〝もの〟ではありませなんだ故……」


「気にも止めておらなんだか?……故に、私は其方が無理を致しておると読んだのだ。先代の遺恨を解らぬ筈はないからな……。仮令惚けておってもだ……惚けて……」


 天の大神様は、力を入れて仰った。


「して、その鬼女の〝質〟は如何なさいました?」


「皮を剥いで、野晒しの刑に決まっておろう?」


 大神様は呆れた様に、天の大神様を 見つめられた。


「流石のご判断にございます」


「うむ。故にあの者には、もはや鬼女の〝質〟は無い故、全てを許してやれ」


「もはや先代の遺恨は、消え失せております。仰せの通りに……」


「うむ……」


 天の大神様は頷かれると、大神様を再びご覧になられた。


「此度は其方に沢山貸しを作ってやった」


「はい」


「故にいつか、それを返してもらおうか」


「は?」


「貸しは貸しである」


「はい。決して忘れは致しません。必ずやお返しを致します」


「その言葉を忘れるで無いぞ」


「無論にございます」


「ならば、早速であるが……」


「は?」


 大神様は、天の大神様のご気性を知り過ぎている為に、真顔を作ってお顔をご覧になられた。





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