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神様のおでまし  作者: 東雲しの
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誠心誠意捧げよ

カコーンは随分進み、この分で行くと青孤のポポンと、対等に張り合える屋敷になりそうだ。

だけど大神様は、まだお会いくださらない。


「あれは未だに、ぐすぐす致しておるのか」


天の大神様が神山にご来臨され、みことの前に現れて、それはそれは意地悪く言われた。


「お姉君様……」


みことは女神様のその美しいお顔を、久しぶりに見つめた。

その瞳はお姉君様の美しさで、キラキラと輝いた。


「お久しぶりです」


「何が〝お久しぶりです〟だ」


お姉君様は、吐き捨てる様に言われた。


「全くあれは何にしてもグズでいかん。……ならば私がもろうて行く事と致すが、其方どうだ?」


「えーどうだ?と言われても……」


「何をぐずぐず申しておる?彼方はいいぞ」


大神様は天を指して言われた。


「彼方にはアマテラスがおるぞアマテラスが……」


「ええ!アマテラス様ですか?」


みことの目が輝く。

流石のみことだって知っている、物凄く有名な神様だ。


「因みにお姉君様と、アマテラス様はどちらがお綺麗で?」


「それは私に決まっておろう?」


「そ、そうですよねー。美の女神様ですもんね、日本のヴィーナス」


「では、参ろう」


「え?」


「彼方である」


天を指して言われた。


「天国ですか?でも、閻魔様に此処に居ていいと、お許しを頂きました」


「天国ではない。高の原にある宮殿に連れて行ってやる」


「宮殿ですか?彼方には宮殿があるんですか?」


「当たり前である。アマテラスのおる、宮殿で共に暮らすと致そう」


「ええ?そう言われても……」


みことは、突然の女神様のお言葉に躊躇した。


「よい。ならば其方を私の妃と致す故了承せよ」


大神様は、飴で釣ろうとでもするかの様に言われる。


「妃ですか?ちょ、ちょっとお待ちください。天界っていうか、神様は同性同士に凄く寛大なんですね。流石に女神様とは……。ガールズラブ?違う違う……。薔薇?百合?白百合?……女神様のお妃様になっちゃうのかい?」


みことは大神様の真意すら、理解できずに困惑する。

アマテラス様には物凄く興味を惹かれるが、女神様の妃になって良いものかどうか解らない。


「何をグチグチと。私は実態がない故、男神にもなれるのだ。そう思うて見てみよ。あれより絶対に好男子である」


「そういうもんなんですか?……」


みことは目を、皿の様にして女神様を見た。


「ああ、全然ダメなんですけど?」


「は?」


「いくら念じても、女神様は女神様です。凄く凄く綺麗な男神様を想像しても、お姉君様は女神様にしか見えません」


大きく首を振って言った。


「其方……」


「 いいかげんになさいませ」


天の大神様が何かを言おうとした所に、大神様が騒ぎを聞きつけてやって来られた。

さもあらん、天の大神様がご来臨なされ、何かをされれば大神様しかお相手はできない。


「大神よ、良い所へ来た。其方が要らぬというなら、私がもろうて行くがよいか?」


相変わらずのご調子で、大神様をご覧になられている。


「アマテラスが参ればよしと致しますが、貴方様にだけは嫌でございます」


大神様も相変わらずのご様子だ。

天の大神様はそのご様子に意地悪く、そして楽しげな表情をお浮かべになった。


「其方は昔からケチであったな」


「そうではありません。貴方様はなんでも、私の物を欲しがられるのです」


「ならばよいではないか?」


「今まで何一つとして、差し上げた事はありません」


「故にケチと申すのだ。おうよ、わかった。アマテラスを連れて参るとしよう。ならよいな?」


「アマテラスが納得致せばですが……」


「うっ!以前ボコったからな……。よい、今回()()に貸しを作ったからな、この時の為の貸しである」


嘲る様に言われる。


「ならば、アマテラスを此処へお連れください。それからに致しましょう」


「ほう?解った。嘘をつくでないぞ」


「ご随意に……」


「これは面白い。解った、今連れて来る故待っておれ」


天の大神様はニヤリと笑われると、姿をお消しになられた。


「其方はあのお方まで、(そそのか)しておるのか?」


大神様は天を見上げながら、みことに言われた。


「えっ?意味が解りません。なんでお姉君様があんな事言うのか?……って、神様って女同士OKなんですね?マジ進歩的……」


「女同士、女神同士というは聞いた事がないが?」


「そ、そうですよねー?じゃあ、お姉君様が進歩的なんだ……」


「みことよ、其方は如何致したいのだ?」


「…………」


大神様は、みことを直視されて言われた。

久々に見る大神様は、後光が差して見えた。


「閻魔に私の醜態を晒し此処におって、如何したいのだ?私に如何しろというのだ?」


後光を差しながら、苦渋の表情を作られている。


「アマテラス様の所にやってください」


「……………」


「あのお方の妃になって、宮殿に住みます」


「あのお方は嫌だ」


悲痛な声で言われる。

聞いているみことが、悲しくなって涙が溜まって後光が見えない。


「だったら、私は今何を願っているのか、お考えください」


みことも悲鳴の様な声で言った。


「いくら考えても解らぬから、だから聞いておるのだ」


「だったら……あの時の様にお読みください」


「…………」


「私の心中を読めるんですよね?」


「ああ、読める。読めて如何なった?其方を手放し地上の者達を沢山葬りやった。火山を幾つも噴火させ、山を砕き地を割った。あの程度で済んだはあれと海神が手を緩めたからだ。それに合わせた神々がいたからだ。それでも私は尚も、お前の大事な者達を殺した」


「七人じゃ鎮まらずに九人亡くなりました。その中には鈴音ちゃんまでいました……」


みことの目から涙がポロポロ溢れた。


「……でも、鈴音ちゃんは今鹿静さんと、神山で幸せに暮らしてます。他の八人も閻魔様によって好きなように選ばせてもらえ、生まれ変わった者は幸せに……。極楽浄土で〝極楽極楽〟って暮らしてるのが、私の両親です」


声が声にならなくなった。

大きく息を吸って呼吸を整えた。


「……ああ、やっとお鎮まりになられたんだなって……」


やっとの思いで絞り出して言葉にした。


「そしたら、私の事も許してくださるかな?……って……」


「……………」


大神様はみことの腕を掴んで引き寄せられ、きつくきつく抱きしめられた。





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