怒れる大神10
みことは青孤の元に引き取られたが、青女に教えてもらいながら、洞窟に住む事にした。
青孤は得意のポポンで、立派な家を建ててくれるつもりでいたようだが
「大神様がお怒りの身の自分が、立派な家に住んだりしたら、又罰が当たります」
とかなんとか言って、健気にも洞窟を毎日掘っている。
その様は罪人が重労働を、科せられているようだ。
カコーンカコーンと、毎日洞窟堀りの音が響く。
「しかしながら、憐れと思し召しもないのか?」
神使達の同情も買うほどだが、悲惨に生きて死んだ所為か、ちょっとメランコリー気味なみことは、カコーンカコーンに明け暮れる。
そんなカコーンなある日。
「あ、居た居た」
何時もの如くカコーンをしていると、背後で聞き慣れた声がした。
「鈴音ちゃん?」
「みこちゃん」
二人は抱き合って再会を喜んだ。
「元気だった?」
一応テーブルも椅子もあるから、其処に座って話し込む。
「元気だった?もないか……。死んじゃったんだもんね」
みことが申し訳なさそうに言った。
「いやぁ、元気だっだよー。死んでから直ぐに、神山に来るお許しが頂けて……。神山ってそんなに直ぐに、人間が来れる所じゃないんだよ。青女さんみたく称号を頂いた人間ならまだしも、たかが私如きがそう簡単に、鹿静の元に永遠に嫁げる訳がないんだけど、直ぐにお許しが出て所帯を持てたの」
「えっ?此処に?」
「此処からはちょっとあるんだけど……。人間界で言う所の、隣町とか県みたいな?」
「へえ?」
「此処は青孤さん達孤神の住む所なの、鹿静は鹿神だから彼方の方……」
鈴音は東を指差して言った。
「因みに鹿静も、眷属神のお許しを頂いたんだ」
鈴音は流石上手い事、自慢話しを入れてくる。
「それは良かったね?そう言えば、鈴音ちゃんちょっと痩せた?めちゃ綺麗になってる」
「あー。私もいろいろあって、一皮剥けたからね」
「一皮剥けた?そう言えば、鹿静さんと海外出張に行ってたでしょ?其処って日焼けする所だったの?ハワイとかグアムとか?」
「うーん。常夏的ではあったけどね……」
「へえ……」
「みこちゃん、大変だったらこっちにおいでよ」
「別に大変じゃないから大丈夫。鈴音ちゃんは、かなり豪邸に住んでそうだよー」
みことは身を竦めて言った。
「鹿静は力あるからね」
鈴音は相変わらずな事を言う。
「まだ、大神様にお許し頂けないの?」
「まだ……っていうか、ずっとかも?」
メランコリーみことがメランコリーに言う。
「そう言えば、おじさんおばさんは、極楽浄土でまったりしてるらしいよ」
「極楽に居るの?」
「極楽極楽って言ってるって……」
「鹿静さんが?」
「そうそう。大神様のご命で、あの時死んだ者達の様子は、見に行ってるんですって」
「そうなんだ?鈴音ちゃんまで巻き込んじゃったから、本当にごめんね」
「そんな事ないって、今の方が幸せだし。みこちゃんも幸せになってほしい」
「私は無理……」
メランコリーみことが涙を溜めた。
「そう言えば、もう一人大神様って居るじゃない?」
「女神様?大神様のお姉君様の?」
「お姉君様だったの?あの方良い方よ、言い方とかやり方凄いけど……。やっぱ女神様なのか。大神様が駄目だったら、彼方に乗り換えればいいと思ってたのに……」
「凄く綺麗な方でしょ?美の女神様だと思う」
「余りに凄いから、凄く綺麗な大神様かな?とも思ったのよね」
「大女神様だよ」
「やっぱ?残念。冷たい大神様は諦めて、神使だっていいじゃない?青孤さん最初に、一目惚れしたんだから」
「一目惚れじゃないよ。美貌には釘付けになったけど……」
今となってみれば、あんなの一目惚れとかではない事くらい解ってる。
そんな事言ったら、今まで熱を上げた男なんて皆んなそうだ。
恋なんて知らないから、熱を上げて騒いでいただけだと、つくづく己の愚かさに気づかさられる。




