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神様のおでまし  作者: 東雲しの
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怒れる大神4

大神様はみことの脚を、お持ちになられた。

みことは陶酔し上気して、紅色に染まった顔を大神様に向けた。

愛しくて可愛くて仕方ないみことが、露な姿で妖しく誘いかける。

今までに見せた事のないみことの姿に、大神様は熱り立って 一番妖しく誘う唇に吸いついた。

これでもかという程に吸い合った、そして唇を離した瞬間その唇が小さく動いた。


「……………」


大神様はみことを凝視した。

只ジッと食い入るように……。

そしてみことは、それは妖艶な瞳を向ける。


大神様はみことの脚を放し、酔い痴れるみことを覗き込まれた。


「一時凌ぎに私を満足させる気か?それで済ますつもりなのか?」


「え?」


夢現つであったみことは、我に返って大神様を見た。

大神様はみことを、まじまじと凝視された。


「其方私を籠絡致すつもりか?」


「………………」


「其方の色香に惑い、言いなりになると思うてか?」


そして激しくお顔を歪められると、激怒されてみことから身を引かれた。


「……もうよい! 」


そう言われると、呆然とするみことを残し寝所を後にされた。


「如何なさいました?」


激しい勢いで飛び出された、大神様に青孤が聞く。


「みことを望み通り帰せ」


「しかしながら……」


慌てる青孤を尻目に


「二度と目通りは、叶わぬと伝えよ」


吐き捨てるように言われた。


……火山の噴火どころではない……


ご誕生の砌より存じ上げているが、これ程の剣幕は初めてだ。

青孤は大慌てで、寝所に飛び込んだ。

みことは大神様の剣幕を他所に、身支度を整えていた。

再び青孤は、慌てて後ろを向いた。


「何を申した?」


「何も……ただ帰して欲しいと」


「大神様は其方の縁者の加護を、お約束くだされておる。我らを信じられぬか?」


「そうじゃありません。私は只自分だけ、安全な場所にいるのが嫌なんです。だったらやめてくれればいい」


「そう言ったのか?」


「いいえ」


青孤は、天を仰ぐ様にして目を閉じた。


「思ったか?心を読まれたのか?」


青孤は振り向いて、みことを直視した。


「……お読みになれないはず?嘘をつかれたの?」


「嘘ではない。再びお読みになれる様になられたのだ。だが、愛する者の心中は読む物でないと、今までお読みにならなかった……。それをお読みになられたのだ……。何故だ?何故全てを大神様にお任せになれぬ?愛する其方の大事な者達を、悪く致すはずはなかろう?……よいか?いずれは起こさねばならぬ事なのだ。そうしなくては全て失くす……。いいかみこと、大神様がしなければ天意……天意の地球が全てを排除する。そうなれば本当に全てが無くなるぞ……天意は恩情も慈愛などないのだ。全てだ、全てを〝無〟としてそれから新たに始める……それを避ける為に、大神様が存在しておるのだ」


「解ってる!解ってるけど、私だけ此処に居るのは違う」


「とにかく詫びろ。今なら間に合うかもしれん、平身低頭詫びて此処に残ると申すのだ。大神様のお側に居させて欲しいと懇願せよ」


しかしみことは蒼白い顔面を、青孤に向けたきり返事を拒んだ。


「お前達全てが失くなるやもしれんぞ……みこと!神を侮るでない。神はお優しいばかりでは無いのだ、みこと!」


青孤はみことを怒鳴りつけたが、みことは返事をしなかった。

騒ぎを聞きつけた青女が飛んで来た。


「……青孤は大神様の元に……」


「ああ……私が行った所で……だが……」


青孤は飛び出す様に姿を消した。


「お怒りを鎮めるには、みことが誠心誠意愛情を捧げなければ、もはや治まらん」


みことは青女の言葉に、震える唇を動かした。


「この身を捧げるくらい愛してます」


「ならお捧げ致せ」


「…………」


「其方が誠心誠意お捧げすれば、事は治まる」


「それ程にお怒りに?」


「其方何を思って、それを読まれたのだ?」


「ただ帰りたいと……。でなければ、やめて欲しいと……」


「それであそこまで怒られるか?」


「身を捧げるのが、それを得る手段としていると思われたのだと……」


「愛を感じられなかったのか?捧げる事に?」


「たぶん……」


「大神様ともあろうお方が、大人気ない」


青女はみことを見つめてため息を吐いた。


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