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神様のおでまし  作者: 東雲しの
7/100

心して仕えよ7

「赤獺よ、そなたであってもだ」


大神様は端正なお顔を、真顔で赤獺に向けて言った。


「種族は違えど同じ星に誕生した兄弟達である。お互いを思い合う心が有るのならば、それでよいではないか?……確かに青孤の気持ちが一番ではあるが……」


大神様は口元を綻ばせてみことを見た。


「その方と青孤の気持ちが一番である……」


「いえ……。青孤さんとは全然……」


「そうですよね?」


平伏していた叔母が急に話しに入ってきた。


「……みことが本気で好きになったのなら、お許し頂けます?」


「それは勿論」


「だから、大神様はみことを選ばれたんですね?青孤さんと縁を結ぶおつもりで……つまり……もう一人の神使みたいに、人間を当てがおうと思われて……」


「言っている意味がわからぬが、()()()な」


大神様は真剣な表情の叔母に、真摯に向き合われて言われた。

とても律儀な神様()()()


「えっ?じゃあ、どうして?」


叔母は不服気に呟いた。


「なにやら不服気であるな」


「はい。私はずっと合点がいかずにいたんです」


「はて?」


「大神様のお使いの青孤さんが、みことの所に来てからずっとです」


「なるほど……」


大神様は大きく頷くと叔母を直視した。

切れ長の大きく黒い瞳が、とても美しく()()()()()()()()


「どうしてその方ではないか……という事であろう?」


「そう、そうです。私はずっとみことより〝有る〟と自負しているんです。それなのに……」


「うーん?その方がみことより〝有る〟という意味も不明だが、その方の不服は理解しておる」


みことは再び大神様の〝みこと〟発言に胸キュンなのだが、そんな事はお構いなしの赤獺が


「な、なんと不届きな事を申す輩でござりましょう」


凄い剣幕で叔母を見た。


「いえ。それは私も同感です」


母まで大神様に詰め寄って言った。


「えっ?お母さんまで?」


「……って、一番あんたが不思議でしょう?霊感すら持って無いのに……」


「お、お前ら霊感と一緒にするとは不届きな」


赤獺がさっきより増して怒りを露わにして、無知な人間共を睨みつけた。


「ははは……霊感と〝これ〟とは、全くの別物だが……。まあよい。憤慨しておるが、赤獺すら怪訝に思っておる事で有るから……そうであろう?赤獺」


もの凄い形相を作っていた赤獺は、大神様に言われて気恥ずかし気に顔を伏せた。


「ええ?」


異口同音でびっくりの三人。


「偉そうに私たちを罵ってたわよね?」


「そうそう」


正真正銘のおばさん二人は、決して突っ込みを忘れない。


「……では、やっとわたしは思う所に出向ける事となった……」


大神様はそう言われると、長身の身を起こされて佇まわれた。

そして飄々としたご様子で店を出た。

大神様が本当に飄々とされているのか、それともみことの好みでそう見えるのかは、全くもって解らないが、ただその仕草佇まいは、みことをドキドキさせるものだった。



……ヤバイじゃんこれって……


ってやつだが、この思いさえ筒抜けって事もあるから、神様相手はとても怖い。

まあ、みことの好みになっている訳だから、好きになっても仕方ない……って事か。

いやいや大神様たるもの、一介の人間を魅了するなど当たり前って事か。

そうだ全ての人間は、神様の僕って事か。


「みことよくだらぬ事を考えるでない」


大神様はみことを見る事もなく呟かれた。

同行しているおばさん二人と赤獺は、意味を介せずにみことを見たが、みことは恥じらうように頬を染めた。


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