表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様のおでまし  作者: 東雲しの
61/100

もう一人の大神

 朝何時もの様に珈琲を入れて木祠の前に、テーブルを用意していると


「…………」


 みことは木祠から出て来た、それはそれは美しい女性(ひと)に釘付けになった。


「大神よ、あれが其方の〝あれ〟か?」


 それはそれは美しい女性(ひと)は、大神様にとても馴れ馴れしく言っている。


「ああ、みことである」


「ほう……」


 みことを値踏みするように、上から下まで視線を送る。


「大神様、どなた様ですか?凄く綺麗な女性ですが?」


 みこともそれはそれは美しい女性を、ガン見して聞いた。


「大神様、それはそれは美しい()()だそうで……」


 大神様は、含みを持たせて言われた。


「え?此方も大神様なんですか?えー!お姉様?」


 みことが驚いた様に言った。


「お、お姉様?」


 もう一人の大神様は、いきり立つ様に言い返された。


()()()()。みことがその様に申すのです。その様に……」


 大神様は笑いを堪えられずに、顔を綻ばせながら言われた。


「お姉君様?」


「みこと、お姉君様の大神様である」


 大神様は、それはそれは朗らかに紹介された。


「はい……」


 みことは惚れ惚れとして見て、目が輝いている。


「共にコーヒーを飲みたいので用意致せ」


「あ、はい只今」


 大急ぎで店に戻って行った。


「大神よ。如何してあのような者が良いのだ?」


 もう一人の大神様は、呆れ果てる様に言われた。

 

「気に入ってしまったのだから致仕方ない。貴方様にはお解りになるまいが……しかしながら、大神を女神と見るとは……」


「確かに其方と違い、私は美しくできておるからな」

 

「同じく実体はないはず……」


 大神様は至極真顔で突っ込まれた。


「実体はないが、基礎となる物が、其方とは大違いである」


 もう一人の大神様は、天を指差して言われた。


「なるほど……。しかしながら、何故に女神なのだ?そろそろ女神の登場を、期待しておったか?」


 考え込まれる様に呟かれた。



「お母さん凄いよ凄い」


 みことは興奮して、朝食を取っている母親に言った。


「また何?どうせ大神様でしょ?」


「そうそう。大神様のお姉さんが来た」


「ええ?」


 母親も流石に吃驚仰天だ。


「凄い美女……。ヴィーナス様?美の女神様?」


「それって、私だったら猫令嬢に見えるって、ヤツじゃないの?」


「あ?」


 みことは、色ボケってヤツにハマっているから、すっかり忘れているが、母親は年の功ってやつか凄く冷めている。


「そういう事か……」


 今更ながら思い至った。


「また神様が来たのね。失礼のない様にね……」


「神様じゃないよ。〝大〟神様!」


「神様に違いないでしょ?」


 母親はいつの間にか〝神様〟のスペシャリスト、みたいな態度になっている。

 あの大神様のお出ましの際に、大騒ぎしたのはいったいいつの事?


「さっさとお茶でも、お出ししなさい」


 ……大神様に子供を授けて頂いたくらいだから、態度も横柄なのかい?……


 みことは大急ぎで、それは美しい女神様に飲んで頂く、美味しい珈琲を入れた。


「全く遙の家系も出世したもんだわ。神のご神託どころか、大神様が降臨する家系だなんて……」


 自分の撒いた種とは、思いもよらない母親は、忙しげなみことを尻目に呑気な事を言っている。


「叔母さんにはもう一人来た事は黙ってよう、妬まれたら大変だわ……くわばらくわばら……」




「大神様がお出でなのか?」


 木祠の前で後片付けをしていると、青孤が慌てた様子でやって来た。


「お姉君様の事?」


「お姉君様?」


「凄く綺麗な……。美の女神ヴィーナスなの?」


「何を申しておるのか?」


「大神様が素敵なんだから、お姉さんだったら美女で当然だけど、大神様は私の理想が実体化したものじゃないですか?……って事は、お姉さんのあの美貌はなんだろう?」


 青孤はどんな状況なのか、先にみことに確認を取ろうとしていた自分を、愚かだと思った。


「お二人は、仲良くしておいでであったか?」


「なんか、お互いに棘のある言い方してました」


「やはりそうであったか……」


 青孤は残念そうに言った。


「お二人は仲がお悪いんですか?」


「見たままだ。何故其方はお姉君様だと思ったのだ?」


「大神様が……ちょっと、含みのある言い方っていうか……」


「なるほど……」


「大神様がそう呼ばれたんです」


「なんと!」


 青孤は大慌てで、木祠の中に消えて行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ