表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様のおでまし  作者: 東雲しの
6/100

心して仕えよ6

「イケメンとやらは、何かしらにつけ便利なもののようだな」


叔母とみことの様子を見た大神様は、伏し目がちの表情のまま言った。


「……あ、はい。凄く便利です」


「まずおばさんは、優しくします」


「なるほど」


叔母とみことを交互に見て大神様は言った。


「では、現生におる間はそのように致そう」


「……どう言う意味ですか?」


「実態がないので、勝手に見て取られるのだが、しばし此処に滞在致すのだから、いろいろなものに見えては不便と思い、その方達といるのに都合のよい形でおろうと思っておるのだ」


「それって……」


「故に候補はイケメンと猫男爵となるのだが……」


「イケメンでお願いします。このわたしが見ているお姿が、みんなにも同じ様に見えるという事ですよね?」


「いかにも……だが赤獺はそうはいかぬが、どうしてもと申せば如何様にもなるが?」


「え?この人はそうはいかないんですか?」


「使いは実態が有るゆえ……」


「えー?青孤さんはイケメンなのに、神使いにも不細工なのはいるんですね?……って事は、青孤さんは正真正銘のイケメンなんだ……」


みことの顔面がだらし無くニヤけている。


「はん。あの眷属は美形なのだ」


赤獺が吐き捨てるように言った。


「赤獺残念であった。青孤に負けぬくらいのイケメンにいたそうと思うたが……」


大神様が不満顔の赤獺を見て言われた時


「大神様にあられますか?」


叔母は崇め奉るような格好を作って、大神様の御前にひれ伏した。


「確かに大神はわたしだが……?」


大神様はみことを見ながら言った。


「叔母です。わが一族の中で一番〝持ってる〟と称されてます」


「ああ、その方が……」


大神様は納得されたように叔母を見た。


「初めてお目もじ頂きます」


「いや……たぶん人間は全て初めてであろう」


大神様はそう言うと、恐縮極まりない格好の叔母に言い聞かせるようにした。


「そのように(かしこま)られると、わたしも型を外せぬようになる」


「は……?」


「此度は鹿静の婚儀につき、わたしもその方達の事をいろいろと知りたいと思い立ち、こうして()を運んで参ったのだ」


「鹿静さんって、青孤さんと同じ神使ですよね?」


「そうだ」


赤獺が即座に言った。


「……って事は、青孤さんも人間と一緒になれるんですか?」


大神様はとても綺麗なお顔をみことに向けた。


「如何にも……」


()()()()がその気になれば……の話だ」


赤獺が突き放すように言った。


「種族が違う故、いろいろな条件はあるが……。まあ、お互いの想いによるところが第一であろうな」


「えっ?愛があれば乗り越えられちゃうんですか?神様のお使いですよ?尊い神様のお使いと人間?」


「ふふ……尊い人間と神使い……と言わぬだけ誉めてつかわそう」


「有り難き幸せにございます」


何故か叔母がひれ伏して言った。


「その方達はかなり傲慢であると思っておったが、それ程でもないようだ」


「傲慢……だなんて。確かに傲慢な人はいますけど、遙一族に傲慢な者はいませんよ」


「なるほど……。太古の昔より、種族を超えた婚姻は数えきれぬほどある」


「人間界なんて、立場や出生で反対されたりするのに、威厳がありそうな神界の方が、 愛さえあれば……的考えなんてびっくりです」


「……遡れば名だたる神が人間と婚姻しておるではないか。立場出生など何の意味があろう……」


「神様がやってれば、使者はOKなんですね」


「何をとやかくと……。青孤に淡い期待を致しても、如何ともならんぞ」


赤獺が意地悪く言った。


「べ……べつに青孤さんとどうにかなろうなんて……」


「よいよい……。互いの想いが深ければ、わたしは叶わぬぞ?」


「大神様この様な者に、何をお言葉をお合わせになられます?」


「赤獺よ。みことが本気であれば、わたしは許すと申しておるは真実である」


みことは大神様が呼び捨てにしたその声音に、大きな胸の高鳴りをおぼえた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ