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神様のおでまし  作者: 東雲しの
18/100

心して仕えよ18

「この様になられるとは……」

 

 青孤が眉間を寄せて言った。


「水が合わぬやもしれぬ……」


「これ程になられる程に、水における影響は深刻な状態という事か?」


 鹿静が深刻な面持ちで、青孤を凝視した。


「とにかく神祠に……」


 青孤が言うと、鹿静も大きく頷いた。


「赤獺はみことを、きちんと送り届けるのだぞ」


「えっ?俺がか?」


「お前しかおらんだろう?みことになにかあらば、大神様のお怒りは免れぬ故、心して致せよ」


 何とも格好良く言い残すと、サッと鹿静と青孤は大神様を支えたまま姿を消した。


「大神様大丈夫なんですか?」


「余り大丈夫でもなさそうだ」


 イケメン大好きみことを、快く思っていない赤獺がムッとして言った。


「神様ってお酒が苦手なんですか?……でも、お神酒ってありまよね?……日本酒じゃないとダメだとか?清酒の極上じゃないとダメなのかな?高貴なお方だから?そうだ、この間もちゃんぽんで呑んでたもんなぁ……人間だって、ちゃんぽんは酔いが早く回るとか聞くし……」


「何をぐちぐち申しておるのか……」


 みことなりに心配して言っているのに、赤獺は吐き捨てる様に言った。


「一応心配してるんです」


「お前如きが心配して、如何ともならんわ」


「それはそうでしょうけど……」


 赤獺はみことが、しおらしく口をつぐんだので、大きく溜息を吐いた。

 

「神々様はお酒を好まれる。故に決してお酔いになる事はない。我ら眷属は多少酔いがまわる事があるが、神々様はかなりお召しになられても、仄かにご陽気になられるくらいだ。大神様はまだお若いし、意外とお好きなのであの様になられる事はない」


「……でも……」


「この間其方の家でも正体を失われかけた。今回はそれ以上だ。これは何かしら理由があるとしか思えん」


「はいはい」


 みことは大きく頷いて言った。


「大神様は現世の均整を保たれる、重要なお役目を課せられておいでになられる。つまり均整の綻びは、直ぐにご察知になられるのだが、それが他の方々よりも敏感に反応される」


「え?」


「つまりは現世の危機が、大神様の反応を大きいものと致していると、青孤は危惧しておるようだ」

 

「現世の危機?」


「まあ、その方の分かりやすく申せば、現世の汚れが大神様に影響を、お与えになっておると言う事だ」


「汚れ?」


「ああ!もうよい。じっくりと帰ってから考えよ。私も大神様が心配だ」


 赤獺はそう言い放つとパッと、大きく手を振り払った。


 …………………。


 瞬時みことは意識が遠のいて……、気がつくと我が家の、自分の部屋の中に立っていた。


「え?」


 真っ暗な部屋の中で、みことは窓の外に大きく光る月を見つめた。


「大神様大丈夫かなぁ……」




 翌朝みことは、心配で起きた事がない程の早起きで、裏の林の中の木祠にやって来た。

 昨夜余り寝ないでいろいろと考えてみたのだが、地球がみこと達人間によって汚染されてきているから、人間が思っている以上に危険な状態にあって、その影響を諸に受けてしまう体質の大神様が、体調を崩してしまうという事らしい。

 まあ、人間だってアレルギー体質の人は年々増えてて、それこそ今に食べる事もままならない時代が来そうな勢いだから、大神様もそれ?


 ……大神様もアレルギーがあるのかしら?いや待てよ、実体が無いのにアレルギーってありかな?……


 なんて、赤獺に知られたら、凄く凄く蔑視されそうだ。

 あいつら心を読むから気をつけねば……。


 なんて本当にくだらない事を考えながら、木祠の前に立っていると


「おや、みことちゃん早起きだね」


「あっおじさん。おはようございます」


 この木祠を毎日掃除している、山本のおじさんに挨拶する。


 山本のおじさんは定年後、ずっと木祠の周りと木祠を掃除するのを日課にしている。

 その前には小宮さんその前は……。

 と、不思議と絶える事なく木祠のお守り役がいるのは、大神様のご意思だろうか。





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