心して仕えよ12
「何を二人でこそこそ致しておる」
大神様が赤獺と鹿静を見て言った。
その後母と叔母は寿司だの天婦羅だの煮物だの、流石主婦というべき要領の良さで、出前や買い出しを駆使してお客様をおもてなしした。
「さすがおばさんパワー」
みことよりも、客の鈴音の方が関心している。
お神酒というくらいだから、と叔母が酒屋から酒を買って来て出したが、大神様はビールを一口含むと、その感触に感激されたようだ。
「この爽やかな喉越しは如何なるものか?」
さっき鹿静と赤獺が小声で話していたが、地獄耳の乙女達には筒抜けだ。
特に気になり始めた人?神?の事となったら尚更だ。
「ちょっと変わってるって本当かも?」
「神様がビールに天婦羅とか、マジ笑える」
鈴音がみことに耳打ちすると、隣で畏まっている鹿静にポンと頭を叩かれた。
「罰当たりな……」
「罰をお与えにならない神様なんでしょ?」
鹿静は大真面目な顔を作って顔を横に振った。
鈴音はちょっと首をすくめて、恥じらうように鹿静を見つめた。
「マジ二人は恋人なんだ?」
「当たり前じゃない、嘘だったらそれこそ罰当たりだわよ」
「そ、そうだけど……」
みことがつくづく二人を見ていると
「みこと何やってんの?手伝いなさい!」
母に叱責されて慌てて立ち上がった。
「どんどん運んで……」
母と叔母に尻を叩かれた。
大神様が料理に箸を付けられて、お食べになられるのは意外だったが、赤獺が大食いなのは納得だ。
「神使いもご飯とか食べんのね?」
「出された物は食べるのよ。とは言っても、私たちみたいに、食べないと死んじゃうものじゃないみたい。鹿静は私と一緒だと食べるけど、別に執着はないみたいよ」
「へえ?って、鹿静さんは何をしてんの?神使いって給料出なさそうだけど……」
「お金なくても何でも手に入るみたい。普通の人間の生活水準を基準にね。それ以上だと目立つからね」
「えっ?働いてないのに?」
「神使いだもん。特に鹿静は大神様の使いだから、かなりのレベル。大神様はお力がおありになるの」
「えっマジで?じゃ鈴音ちゃんラッキーだね」
「へへ……」