ルーナマジック8
一晩中ゲームをしていて思ったのは。
PC熱持ってるな。
だろうか。
色々カスタマイズしてしまっているので仕方ないのだが。
「あの、そろそろログアウトしたいのですが」
気弱にそう申請するとマシロとスバルが「もうそんな時間か?」
と問い掛けて来る。
「はい。朝の10時です。少し寝たいので」
そう話しておく。
もう正直疲れた。
二人は「じゃあ今晩7時に」と勝手に約束を取り付けるとログアウトして行った。
「兎に角疲れた」
光はそう言うやパソコンを落としてそのままモゾモゾとベッドへと潜り込む。
取り敢えず「おやすみなさい」
*******
トントントン。
規制正しい音と共に良い匂いが漂って来る。
『これってシチューかな』
ボンヤリとそんな事を考えていた。
楽しそうな鼻歌に「オギャア」と言う赤ちゃんの声。
思わず覚醒してしまう。
「誰?」
そう問い掛けると
「おっ。光起きたな」
と聞き覚えのある声が聞こえて来た。
言わずもか私の姉である。
「優愛姉」ガバリと起き上がり第一声が
「義兄さんは?」
だ。
「あの人の事は今は言わないで」
プンスカそう言うや調理を再開させる。
また喧嘩でもしたのか……光はそう思いため息を吐いた。
優愛姉は昔から喧嘩早い所がある。
自分を曲げないと言えば聞こえは良いが、単なる強情なのだ。
光はチラリと時計を確認すると5時を過ぎた所である。
「優愛姉、私7時に約束があるんだけど」
「何?出かけるの?」
出かけるか否か。
「うん。ちょっとネトゲの世界へ」
ドタドタと凄い勢いで現れた優愛姉はまさかのエプロン持参である。
「あんた、とうとう解禁したの?」
優愛は凄い剣幕で聞いて来た。
光が昔色々やっていた事を知っているし、大学時代の黒歴史には優愛も一枚かんでいる。
だから驚いているのだ。
「光が好きな事をまた始められるなら、お姉ちゃん協力するよ」
そう言って来た。
「で、因みに何をやっているの?」
興味津々と聞いて来る優愛姉。
「ルーナマジック」
光はボソリとそう言った。
「あ~あれね」
優愛姉は何か考えながらそう呟く。
「7時に約束って事はフレンドだよね。後で見せてよ」
楽しそうにそう言うと
「夕飯早めに食べよう」
とバタバタと料理をお皿に分け始めた。
今日の夕飯は大根サラダとハムエッグ、メインに優愛姉直伝のシチューライスだ。
「ドリアだと思って食べれば良いでしょう」
そう言って良く大学時代家に来て作ってくれたっけ。
単に皿を洗うのを一枚減らしたいからだと言うのを光は知っていた。
「「頂きます」」
二人でそう言うとスプーンを取る。
因みに赤ちゃんは愛良ちゃんでまだ5ヶ月の赤ちゃんだ。
「ところで、今度は何で喧嘩したの?」
どうせいつものくだらない理由だろうと思うが一応聞いておく。
何せ、この後この姉に頼み事があるのだから。
「聞いてよ光。修ちゃんったらね愛良にフェイの服を着せたら『止めてくれ』と言うのよ。熊ちゃんは良くて何故フェイは駄目なの?」
因みに修ちゃんとは姉優愛の旦那の修一さんの事である。
そして、愛良ちゃんを良く見ると今流行りのアニメキャラメルのフェイのコスプレをしていた。
義兄さん、これくらい許してやろうよ。
そう思ってしまった。
お読み頂きありがとうございます。
続きになるストックがなくなりましたので、書き次第更新して行きます。
また読んで頂けたら幸いです。