ルーナマジック6
今日が金曜日で良かった。
マジで思う。
挙げ句、クリスマスパーティーをしようと色々買い込んでいた食材に万歳だ。
「そう言えば何故このルーナマジックをやろうと思ったの?」
スバルの何気ない質問に思わず本当の事を言ってしまうコウ。
「丁度社会人になった時にこのゲームが始まったのですが、何分仕事を覚えるのに忙しくって、社会人三年目になり少し余裕が出来てきたと言うか……」
嘘である。
建前である。
「へ~。じゃあコウは今年25歳とか?」
コウはスバルが名前を呼び捨てにいている事も、また、誘導尋問にも気付かず頷く。
「そうか、コウは年下だったのか」
マシロはいきなり呼び捨てにし、コウの隣へとやって来る。
さっきまで『コウさん』と言ってもいたのに……まぁ、会社でも身分的に上なのだから致し方ない。
コウはそう思って諦めた。
「所でコウの明日の予定は?」
スバルさんが優しく聞いて来る。
「特には、予定では今夜友人が来て朝までクリスマスパーティーのはずでしたので」
思わずポロリと出た本音にマシロが飛びつく。
「何?お前約束すっぽかされたのか?」
痛い所をついて来るなと思った。
「約束していた友人達がクリスマス前に恋人が出来たのでキャンセルされました」
コウはそう言うと
「くーっ何が悲しくってこんな事を申請しなきゃならないのか」
真面目に思ってしまった事を言っていた。
「それは御愁傷様、その代わり俺達が朝まで付き合うよ」
マシロは楽しそうにそう言って来る。
「ゲームをですよね。ありがとうございます」
コウは取り敢えず礼を言っておいた。
「あっコウ。そこ右ね、宝箱あるから」
スバルがそう解説してくれる。
「ボスを倒した後に宝箱回収するとレア率上がるんだ。ボス戦ボーナスみたいな物なんだが、以外と知られていないらしい」
マシロの説明に「何!!」と思ってしまった。
「このゲームは色々なポイント制が多いからね」
スバルが苦笑しながらそう言う。
「まぁ、取り敢えず次の階もサクサクと宝箱回収しようか」
そう言って来る。
因みに宝箱は一人一人出る物が違うらしい。
レベルにもよるようだけどね。
「そう言えばマシロさんとスバルさんは職業レベルカンストしていますよね。転職とかはしないのですか?」
取り敢えず聞いて見る。
「全職業カンストしたから、お気に入りの職業にしているんだ。経験値事態はカウント上限ないからね」
マシロのそのセリフにもしやと思う。
「もしかして、職業レベルの上限上げる予定ですか?それとも……」
そう問い掛けていた。
コウの質問にマシロが難色を示す。
「それについては会社の方とのやり取りもあり難航している」
「つまりね、予算の問題。今の収益では開発費用を取れるか?と言う感じかな」
スバルが空かさず説明してくれる。
『案外社長の懐刀と言われても、好きには出来ないんだ』とコウは思った。
「だから、その為にも何か打開策を考えていたんだよ」
「因みにですよ。上限上げるとしたら何レベル位を考えていますか?」
『始めたばかりのペイペイの質問にマシロは真面目に答える。
「999レベル」
と、顔は真面目なのに答えが不真面目である。
いきなり増900レベルとかあり得ない。
「取り敢えず、増100位までにしておくとか……でも、そうすると敵が弱くなりますよね」
だって99で倒していた敵だよ。
倍のレベルだったら楽勝じゃないか。
「それについても、上級者様の島を考えていたんだ」
あぁ。
だから開発費用なのか、そう納得してしまう。
「じゃあ、どうやって収益を得るかだよね……」
思わず考えてしまう。
昔のオタク友達は何を言っていたっけ?
そう思考を巡らす。
「そうか、コミケ」
「「はっ?」」
突然のコウの声に二人がハモる。
「熱烈なファンはコミケでレイヤーですよ。きっとグッズも売れるし、楽しそう」
ウキウキと話すコウにマシロが唖然とする。
「コミケ?レイヤー?」
全うな男子の発言に『これだから……』と内心思ってしまう。
「いいですか。レイヤー市場を甘く見ない事ですよ。自作、既製品なんでもござれで凄い活気になるはずです。特に若い世代のゲットにもなりますよ」
そう指摘しておく。
「若いっていいな。発想が若い」
マシロはしげしげとそう言った。
確か真城課長って30位じゃなかったかな?
そんなに老けてないよね。
それに、この二人はまだ独身だったはず、なに老け込んでいるのだか……。
コウはそう思い二人を眺めた。
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