第九十三話 「精霊王とヒカル」
ーーー俺達がエルフ達に聞いた話では精霊王様に会えるのは一部の限られた者だけで、更に精霊王様の住む場所には神聖な結界が張られていて簡単には入れないらしい。だが諦めきれない俺はとりあえずエルフ達に言い伝えられている精霊王様が住むと言われる〝カリャカリャミサマの森〟ってところにヒロコと向かう事にした…
「空気が澄んでて気持ちが良くなるなぁ〜♪」
「ココヲ越エタラ カリャカリャミサマノ森 ダ…」
「結構距離あるなぁ もう三日は歩いてるし…」
「ナァ…ヒカル……ヤッパリ会ウノヤメナイ?」
「なんだよ急に?」
「アタシノ不安ガ…ヨリ強クナルノヨ……」
「またそれかよ 大丈夫ダッテ!」
「………」
ヒロコは何を不安に感じているんだ?
やっぱりアレか?正式に精霊王に許可を得てしまうと俺を独り占め出来ない的な!?………いや違うか。
でも心配してくれるのは少し嬉しいなぁ
やっぱ転移前の世界ではそんな人居なかったしなぁ
母ちゃんぐらいか……
今夜はヒロコの好きなものでも食べさせてあげようかな、感謝の気持ちって事で……。
「ヒカル…ココカラ先ガ…カリャカリャミサマノ森ヨ」
「おっ! やっと着いたか」
そこは幻想的な雰囲気漂う森であった…辺りにはチラホラと妖精も飛んでいる、ここは正しく神聖な土地なのだろう。俺とヒロコは森に入り、近くを飛んでいる妖精に話しかけた……
「あのぉ〜妖精さんお尋ねしたい事があるのですが…」
「ッ!!! えっ? 何? 貴方私達が見えてるの?」
驚く妖精にヒカルは、とある妖精さんに以前妖精の村アグネス近くの森にある聖なる泉に連れて行ってもらった事を説明すると……
「なるほどねぇ〜 それでかぁ〜」
納得してもらった様なので俺は妖精に精霊王様に会いたい事を伝えた。すると妖精は空を見上げ目を瞑り始めた………
「…ふふふっ お許しが出たわ お会いになるそうよ」
「本当に!? うわぁ ありがとう!」
テレパシーでも使ってたのかな?
「着いてらっしゃい」
そういうと妖精は俺達を森の奥へと案内しだした。
目の前はいくら行っても森が続いていたが、ある境界線を越えた瞬間…さっきまでは無かった それはそれは巨大な大木が聳え立っていた。
「こっ、ここが…精霊王の住まう土地……」
「あの木の中で精霊王様がお待ちよ」
「ありがとう妖精さん」
「ふふふっ どう致しまして!」
妖精の案内によりやっと辿り着いた俺達は
神聖なる土地〝精霊大樹〟!の中へ入って行った…だがその中には何故かまた森が広がっていた。
「ようこそ 異世界の迷い人よ——」
「ッ!!!」
「妾がこの世界が誕生した時より生きておる精霊王…エスターニャです」
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名前:エスターニャ♀
種族:大精霊(精霊王)
職業:精霊界の王
レベル5000
HP-------------/-------------
MP-------------/-------------
称号:世界自然の管理者
スキル:
●光属性(極)
●聖属性(極)
●瞬間移動(極)
●????
ユニークスキル:
●千里心眼
●潜在能力解放
●精霊召喚
●神聖結界魔法
●不老不死
●????
「あっ、貴方様が…精霊王様……」
きっ、規格外にデカイ美女ッ! いやっ女神様ッ!!
ヤバイ美し過ぎて…惚れてまうやろぉぉぉ!!!
「ふふふっ ありがとう 異世界の迷い人ヒカル」
「ッ!!! 心が読めるのですか!!?」
「えぇ 貴方がここへ何しに来たのかも心を読めば解りますよ ふふふっ…ハーレムですか?」
はっ、恥ずかしいぃぃぃぃぃぃぃッ!!!
「ふふふっ もちろん貴方が娶った民達を幸せにして頂けるのであれば許可しますよヒカル」
「あっ、ありがとうございます! これで心置きなくプロポーズに邁進出来るというものです!!」
「ふふっ 貴方は面白い方ね」
「ところで…精霊王様の情報を見てしまったのですがHPとMPが表示されないのですが…やはり俺の鑑定スキルがレベル不足って事なんでしょうか?」
「エスターニャで構いませんよヒカル …そうですね それは妾が世界自然の管理者だからでしょう」
「…???」
「つまり世界の自然が生き続ける限り無限に近いHPとMPが妾にはあるという事です」
「なんとぉぉ…では世界が完全に消滅するまで精霊王さ……エスターニャ様は亡くならないという解釈ですか?」
「えぇそうです」
「凄いですね…でも逆に悲しい……」
「悲しい…ですか?」
「貴女様は言わば世界の母という事でしょ? ならば世界に生きる者達は皆…貴女様の子供……可愛い子供達の方が先に寿命を全うするのは実に悲しい事ですから……」
「純粋で優しいのですねヒカル」
「いえ…俺は前世で母を遺し死んでこちらへ来ましたから…エスターニャ様を母と重ねてしまっただけです あははっ…」
「……ヒカル アナタニハ私ガ居ル!」
ヒロコ… あははっ… らしくねぇな!
そうだ俺にはお前と未来の沢山の美女な嫁達が待っているんだから!!
ガッハッハッハッーー