第六十六話 「天王と会う魔王」
ーーー信長が天界に来て五日の時が流れた…。
「そろそろか…」
あれから秘密工作員の洗脳部隊を更に10名追加して送り込んでいた信長は仮住まいで部隊からの報告を待っていた。
「主人 …表に客だ」
「客?」
表にタナティーナが困った様子で信長を訪ねて来た。
「おぉ タナティーナか まだ作戦は準備中じゃが…」
「いえ 今日は…」
「どうした?」
「…魔王様に天王様と会って頂きたくて! その… 作戦の事を話したら天王様が怒っちゃって…」
「…ふむっ 分かった 連れて行け!」
「オワリはここで儂の代わりに連絡を待っておれ」
「分かった 待っていよう」
ーーー天界 天集街〜王城スタァキャッスル〜
「この城よ」
「ほぉ 随分古い城じゃな?」
「そうね… 無理もないわ ここは前の天王様が15000年以上も前に築かれたお城だもの」
「なんと! そりゃ年代物じゃな ハハハッ」
「さぁ着いたわ この部屋よ」
コンッコンッ…
「はい…」
「タナティーナです! 入ります!」
ガチャッ… キィィ…
中には白銀の長い髪をしたリフィーシャが
凛とした姿で立っていた…
胸は豊満、スタイルは抜群… そしてまさに
全てを包み込むような優しい瞳をしていた。
「リフィーシャ様 失礼します! …? 魔王様?」
「美しい… まさに女神だな」
「信長様 お初にお目にかかります 私は天界を統べる王… 天王リフィーシャです」
「うむっ 儂は魔界の王…織田信長じゃ」
「信長様… 話はタナティーナから聞いております… 作戦の事も… しかしせっかく遠い所からわざわざお越し頂いたのですがお帰り願いたいのです!」
「……」
「これは 天界の問題…」
「………」
「ただでさえ我が天界は鎖界をしておりますので他所の方に入られては困るのです!!」
「そうか… 天王の力だけで今の情勢を解決できると?」
「えぇ…」
「今にも内戦が始まりそうな状況を覆せると?」
「!!! それは……」
「いやいや少し意地悪が過ぎたな… 許せ…」
「いえ…」
「お主がこれまで天界の復興の為、どれだけ心血を注いできたかは伝え聞いておる…」
「……」
「しかしのリフィーシャよ… タナティーナが儂の所まで来るという事が、お主の限界を物語っておるのじゃないか?」
「ッ!!!」
「頑張り過ぎは毒じゃ!」
「良い方向に進んだ試しは無い!!」
「人には時期と出会いがある…」
「人それぞれじゃが、身を滅ぼす時期や出会いもあれば逆に救われる時期や出会いがある」
「……それが 今で …信長だと?」
「さて…お主はどちらだと思う?」
「……」
「ときに 想いは力と成り、人をも動かす!!」
「タナティーナの想いが、儂を動かしたように…」
「!!!」
「……まぁ良い」
「お主が嫌がっても儂は計画通りやるぞ」
「しかし…それは…」
「儂はタナティーナの お主を〝思う想い〟に動かされたのでな!」
「………」
「では… 失礼…」
そう言い残しリフィーシャとタナティーナの前から消えていった信長であったーー