第六話 「籠絡」
交渉?脅し?ともかく無事思惑通りにアルベルコという販路及び協力者を得た信長は次にこの街の領主に会う事にした。
大商人の一人であるアルベルコの紹介状を手に織田信長の異世界初権力者との面会である。
「ここか…」
屋敷の前には武士の如き風格を持つ執事が立っていた。執事へ紹介状を提示し信長は領主邸へと足を踏み入れたのだった。
「この執事中々のやり手とみた…ステータスオープン」
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名前:アルフォート♂
種族:獣人族
職業:デーモニア領主執事
レベル593
HP2113/2205
MP528/650
称号:なし
スキル: 獣体術(Lv179)
「ほう 今まで出会った中で初の高レベルだ、ん?魔族ではなく獣人族?」
「こちらでお待ち下さいませ」
通された客室には煌びやかな装飾のされた自画像らしき絵画や骨董品などが並べられていた。
「この領主は傲慢な気質が伺えるな…」
信長が部屋の中でボソリと呟くと同時にガチャっと扉が開く。
「おぉ、お待たせ致した…私がデーモニア領領主デーモニア・ファンデ伯爵である」
「…ステータス」
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名前:デーモニア・ファンデ♂
種族:魔族
職業:伯爵
レベル211
HP1530/1545
MP405/410
称号:西方領(デーモニア領主)
スキル:貴族の嗜み
少し偉そうな態度で信長に近づくデーモニア伯爵にイラッとしたのか、信長はいきなり少しだけオーラを解放し名を名乗った。
「儂は織田信長…魔界を統べる為転生した魔王である」
「なっ!?」
その瞬間後ろに控えていた執事がデーモニア伯爵の前に回り込み盾となり信長に構えた。
「ふふふっ 良き臣下をお持ちのようだ」
信長はその執事の対応に免じてこの場を納めた。
「信長殿…貴方は何をしに我が領へ来られたのですかな?」
さすがは領主といったところである。
信長の凶器とも言えるオーラをその身に感じて尚毅然たる態度で問いかけてきた。
「儂は何の因果か魔王としてこの世界に転生させられたのだ…この世界の神とかいう存在にな」
「神?」
「儂はまだこちらの世界に来て日が浅い故、こちらの礼儀はまったく知らんので気を悪くしたら許せ」
「…それで …信長殿の目的はデーモニア領の制圧ですかな?」
「ハハハハハッ まさかその様な気なら既にこの街は血の海となっておるわ」
信長は高笑いを上げその問いを一蹴した。
「では信長殿は何を求めて我がデーモニア邸へ?」
「目的か…とりあえず欲しいものがあってな、有れば都合してくれ 」
「欲しいものとは何でしょう?」
「うむっ この世界の地図及び現在の世界の情報じゃよ」
「地図と情報…ですか」
「デーモニア伯爵よ…儂は近々この世界を統一するつもりじゃ」
「統一?この魔界をですかな?」
「魔界だけではない世界の全てだ!」
信長は声を荒げ、それと同時に少しだけ出していたオーラが更に吹き上げた。
「ウゥ…」
デーモニア伯爵は信長のオーラを正面から浴び身の毛がよだった。
「デーモニア伯爵よ お主儂の臣下と成れ」
「なっ!!!」
「そしてまずはこの魔界を共に統治してみんか」
魔力…いや魅力と言った方が合点がいく。
信長の持って生まれたカリスマ性は魔族すら魅了してしまうようだ、出会っておよそ5分程度であったがデーモニア伯爵は既に信長に憧れを抱いていた。
「つっ、つっ…謹んで…お受け致します」
「ふふふっ…ハハハハハッ…ハァーハハハハッ」
この瞬間デーモニア領は信長に堕ちたーー