第五話 「圧倒」
「さて信長さんは何を卸してくれるんだい?」
腰掛け様にアルベルコは信長へ問いかけた。
「これだ」
一言信長が呟くと超級薬草(極)を一つだけテーブルへと置いた。
「これは!」
と言うとアルベルコは目をひん剥き、両手をテーブルにドンッと置き、まじまじとテーブルに置かれた超級薬草(極)を舐め回すように見る…
「こっ…これを何処で?」
キタッ!!!と思った信長であったが冷静な眼差しでアルベルコをジッと見ながらこう答えた。
「それは申せぬ…申せぬが… お主が欲しければ幾らでも用意してやろう」
「!!! …いっ、いくらでもだってぇ?」
「儂はのぉ〜アルベルコよ… お主を儂の専属商人に推挙したいのじゃ」
「なっ!!!」
信長は考えた…
《この薬草を売れば大金は手に入る…手に入るがそれ止まり… 儂は魔族を統一せねばならぬ ならば様々な商会へ売り歩き数を出せばいずれ価格は値崩れし価値を失う… そんな薬草をただ卸すのではなく価値ある物を価値ある者に与え全てを手中に収めるが必須! その足がかりがまずこの大商人アルベルコよ。》
またアルベルコも思考する…
《この伝説級素材をいくらでもだと…この男食えぬ… くっ食えぬが商人としての勘が何かを訴えかけてくる… この男の目…佇まい…そして言葉…どれをとっても隙が無い…隙が無いが… 魅力がある!!!》
どれぐらい時間が流れたであろう…
両者共に睨み合うだけの静寂が続いた。
「……条件を聞くわ」
先に折れたのはアルベルコだった。
畳み掛けるように信長はオーラを少しだけ解放し不敵に笑みを浮かべこう言った。
「儂はこの先近いうち… この魔界を統べる者じゃ」
「!!!!!!」
信長の畏怖するオーラにアルベルコは一瞬で血の気が引き声が出せない程のプレッシャーを感じた。
「儂の者となれ さすればお主に魔界の商人を全て統べさせてやろう」
「……」
圧倒的であった…
場の雰囲気は一変し信長の空気に完全に呑まれたのだ
「わっ、わかったわ」
そう答えたアルベルコの額には汗が吹き出ていたーー