第四十六話 「謁見と称号と解決策」
ーーーーグランプァーザ王国 〜城内王座の間〜
「冒険者の諸君! 我々は感謝している!」
「良くぞやってくれた!」
先日の魔族軍討伐の功績を称え、冒険者の代表が数名お城へと招集された。
「中でも 皆の士気を上げ、魔族軍首領を見事討伐した Sランク冒険者〝幻影のキリ〟殿」
「貴殿には国王様より勲章が授与される事となる!」
「…幻影のキリ、謹んで 承ろう」
「〝〝国王様の御成ぁぁぁりぃぃぃ!!〟〟」
ーーー国王が入場し、集まった者達は皆 平伏した。
「…皆の者 表を上げよ」
「…さて幻影のキリ殿」
「私はグランプァーザ王国第三十六代国王 ストロノフ・グランプァーザである」
「私はSランク冒険者の幻影のキリと申します…」
「うむっ 此度の働き誠に大儀であった」
「その功績の証として勲章を授与し、魔族軍討伐者として〝英雄〟の称号を与えるものとする」
「英雄ですか… 有り難く承ります…」
「うむっ…では…」
「この場を借りて是非…国王陛下にひとつ申したき事が御座います」
「ほう?…申してみよ」
「現在 巷で流行っている〝疫病〟に関してでございます」
「何ッ!!? …それでどんな話じゃ?」
「ハイッ…その疫病の解決策があるという情報が御座います」
「なっ! 誠か!!?」
「…国王様 私如き冒険者が〝英雄〟の称号を授かるなど身に余る光栄… 少しでもこの国の為になればと思いお話させて頂いております!」
「正直ワシもこの問題には頭を痛めておった… 助けてくれぬか?」
「それではこちらをどうぞ… お納めください…」
「ん?なんじゃこれは? 回復薬か?」
「そのアイテムは〝信者長生薬〟という魔界の神話級回復アイテムにございます」
「魔界だと!!!?」
ザワザワッ… 王座の間に響めきが走る。
「そちらは過去に私が魔界へ討伐依頼で行った先で数本手に入れたものの一本でございます…」
「ふむっ 討伐依頼でか…」
「私がまだAランク冒険者に成り立ての頃に訪れた地方で疫病に悩む一人の村人がおりました」
「今にも死にそうな村人にそのアイテムを与えたところ…見事に治ったのでございます」
「おぉッ! 誠か!」
「まさかと思い、その1本以外も試しに他の疫病を患っている者に使用したところ同じように治っておりました…」
「なんと…素晴らしい! しかしこの1本しか残っていないとは……」
「国王陛下! 私は 直に疫病に苦しむ人々を目の当たりにして参りました… そしてこの苦しみから解放してあげたいと思っております」
「うむっ まったくじゃ ワシもそう思う!」
「そこで私がお話ししたき解決策ですが…」
「申してみよっ!」
「その前に……お選び下さいませ国王陛下」
「国がこのまま滅ぶのを指を咥えて見ているか、例え悪魔に縋ろうとも民を助けるか……どうかお選びを!」
「貴様国王陛下に向かってなんたる事を!悪魔に縋るだと!!!」
「黙れ者共! ワシは今キリ殿と話しておるのだ」
「ハッ!……」
「さてキリ殿…貴殿の申される解決策とはそこまで危険を 伴うやもしれぬという事かな?」
「その通りでございます!」
「ふむっ……ワシは民の為なら悪魔に縋るぞ!」
「ッ!!!」
城内は国王の返答に言葉を呑んだ……。
「では… 申し上げます」
「解決策は…魔界の王〝魔王信長〟であります!」
「!!!!!!」 ザワザワッ…
「キリ殿……魔界の…王とな!?」
「はい 魔王信長はどんな病いでも治せる薬が生成出来ると聞き及んでおります…… そして何を隠そうその神話級回復薬〝信者長生薬〟はその魔王が創った物!」
「うむっ…この魔王の薬が無ければこの先 国が滅ぶか…」
「キリ殿! 一度魔界へ行かれた其方に至急依頼したきクエストがある… 直ちに魔界へ向かい魔王との会談の場を設けてくれ!」
国王の決断は早かった…民を思う気持ちか否か
キリは国王の依頼を二つ返事で受け付けたーー