第三十八話 「冒険者 幻影のキリ」
なんとかオワリの件は村人に納得してもらったが
まだ何処か警戒されている感じだった……
まぁ無理もない…
伝説級のフェンリルがすぐ側にいるのだから警戒しない方が逆に変というもの、これ以上の騒ぎを避ける為信長は村娘に納屋を借りオワリと共にキリ達を待つ事にした。
「オワリよ 周辺の様子は如何であった?」
「この村以外は草原と森、そして川ぐらいしか無かったし大した奴も居なかった」
「ここの村人達のレベルは5〜13程度だ…」
「オワリ達と共におるせいか、儂がバケモノなのか、はたまた感覚が麻痺しておるのか…」
「人間がここまで非力な者とはな…」
「主人よ それが我ら 異界の者よ」
「だが人間の中にも稀に強き者が生まれておる」
「ガッカリせずとも強き者には、いつか会えるさ」
コンコンッ…
「ん?村娘か どうした?」
「ハイッ…お食事を…大した物はありませんが」
「うむっ 有り難く頂くとしよう」
「あと… この子達がそちらのフェンリル様にと木の実を持って来たのですが、お召し上がりますでしょうか?」
コソコソと村娘の後ろに子供達がこちらを覗き込んでいた。
「主人… 我は森にて獣でも狩ってくるが…」
「良いではないか、頂いておけオワリ」
「 ふふっ 童がオワリを一目見ようと付いてきたか 何だか懐かしいのぉ 遠い昔…似たような事があった気がする…」
「…おい娘よ」
「ハッ、ハイッ」
「これをくれてやろう」
「これは?」
「儂が創った 特殊薬じゃ これから先…この村に病人が出た時に使うが良い 近い将来必ず必要となるであろう」
「こんな高価な物を本当にいいのですか?」
「あぁ… だが良いか? これはこの村以外の者には絶対に与えるでないぞ!」
「ハイッ 約束致します! ありがとうございます」
信長はこの懐かしさを感じさせる村を
えらく気に入った様だった。
しかし近い将来必ず…とは……
娘達が信長達の納屋から立ち去って暫くして
キリ達が村を訪ねてきた。
コンコンコンッ…
「あの…信長様…」
「また村娘か…どうした?」
「信長様のお連れの方と申される鎧の方が村にお見えなのですが」
「そうか こちらまで案内して来てもらえるか?」
「ハイッ」
キィィィッ… とキリは納屋の扉を開け入ってきた。
「御苦労であったなキリ 首尾はどうじゃ?」
「計画通り近くの街の冒険者ギルドへ行ってきた」
「一応ランマルを眷属として契約してあると人間共に説明し、我と共にランマルも冒険者登録をして来たぞ」
「あとランマルは目立つので森で待機させてある」
「そうか…キリよ これから忙しくなるぞ 」
「ワッハハハッ 何千年も部屋に篭って暇しておったんだ 少しくらい忙しい方が丁度良いわ」
人間界に来た信長の計画とは…
はたして村娘に渡した特殊薬と関係があるのかーー




