第三十三話 「思わぬ昇格」
貴族にはギルマスが何とか話を付けてくれ、俺はギルマスと冒険者ギルドへ戻り相談する事にした。
「大変だったなヒカル君」
「いやぁ助かりましたよ 先程はありがとうございました」
「所でヒカル君 先程軽く相談したい事があると言っていたが何かな?」
「それがですね… 実は……」
俺はギルマスに鑑定スキルの事は伏せつつ、あの貴族の護衛について話した。
「また魔族か……」
「はい、また魔族です」
「実はなヒカル君 これはまだ秘密なのだがクァナグラ帝国に魔族と繋がりを持つ貴族がいるという情報が入っているのだよ」
「あぁそれならガイルに聞きました」
「そうか、ならば話が早い その件で我が王国から各冒険者ギルドへ秘密裏に召集命令が下っているんだ」
「召集命令ですか?」
「あぁ、各冒険者ギルドに所属しているCランク〜Sランクの冒険者達を王都へ召集せよだってさ」
「なんでまた秘密裏なんですか?」
「今両国共に和平を模索している大事な時期なんだ、もし魔族のせいで御破算にでもなればまた戦争を繰り返さなければならなくなるだろ」
「成る程…」
政治的な外交問題が関与している為に表沙汰には出来ない召集命令か……
まぁ気になる所はランクC〜Sの冒険者って所かな、集めるにしてもかなりの人数が対象になっている。
それだけ必要な程の 高レベルの 魔族がいるのか、または思った以上に魔族の大軍がクァナグラ帝国に味方しているのかだな…
「まぁ俺はDランクの冒険者ですからその召集命令には該当しませんね」
「その事なんだが、前回の調査クエストで上位魔族相手に無事帰還した事や今までの君の功績を考え1ランク昇格させようって事になったんだ」
「えっ?」
えええぇぇぇぇ!!!
なんてバッドタイミング…… はっ!さては
この 親父 俺を死地へ向かわす気か!
「生きて帰って来てくれよヒカル君」
「なっ……」
この微笑みに殺意を覚える俺だった……ーー