第百二十二話 「恐怖の前のひと時」
ーーーーーあの天界大決戦から五年が過ぎ平和だったのも束の間…魔王キリの報せにより再びエンジスタァの目覚めを恐れた各王達はそれぞれが新たな戦力を育て上げ、来たるべき〝その時〟の為に準備をしていた。そして更に…それから十年———。
義経率いる遮那王隊は伝説魔宮150回目のクリアを終え、クァナグラ帝国の宿屋〝夕焼小焼亭〟に戻って来ていた。
「やぁ義経さん おかえりなさい」
「あぁ ただいま女将さん」
「今回もどこかの魔宮に行って来たのかい?」
「まぁね 女将さん 仲間達にご飯をお願いします」
「ふふふっ そろそろだと思ってね もう用意は出来てるよ」
「ありがとう よく分かりましたね?」
「ウチの宿を義経さん達に使ってもらって、もう七年が経つからね さすがに感覚的に分かるわよ」
前までは各地を転々としながら伝説魔宮に挑んでいたが、この七年間…僕は仲間達とこのクァナグラ帝国の宿屋を拠点としている。
「そういえば明日グランプァーザ王国で有名な甘味処の主人がこの帝都の公爵家に招待されてくるそうよ」
「甘味屋が公爵家に? …何でまた?」
「何でも十年程前にグランプァーザの宿屋〝月夜の丘亭〟さんで今まで食べたことのない料理を、公爵家の方にお出ししたんですって! それ以来、年に一度公爵家がその主人を招待して料理を作ってもらっているそうなの」
「へぇ 食べたことのない料理かぁ…一度食べてみたいなぁ」
「それならラッキーね義経さん 明々後日は公爵家の次女…マカニカ様のお誕生日で、そのお祝いに帝都の人達も参加出来る立食パーティーが開かれるそうなのよ その時の食事の中にその主人が作った物も並ぶそうだから、食べれるかもよ」
「うわぁ♪ そりゃあ楽しみだッ!」
僕は遮那王隊の仲間達と食事を済ませ、二日間の休養を命じた。
「義経様 私に休息は要りませんわ」
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名前:シズ♀
種族:幻獣 ラミア
レベル:3699
HP65854600/65924000
MP35628000/36060000
称号:義経の眷属
スキル:
●念力(Lv666)
●剛力(Lv783)
●洗脳幻覚(Lv359)
●状態異常軽減(Lv785)
「我ハ休ミ 水浴ビニデモ 興ジヨウ」
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名前:ヤギマル♂
種族:幻獣 エアレー
職業:遮那王隊メンバー
レベル3867
HP89652360/89950000
MP52360000/58960000
称号:義経の眷属
スキル:
●闇魔法(Lv897)
●水魔法(Lv953)
●高速移動(Lv941)
●魔法攻撃軽減(Lv813)
ユニークスキル
●角武技 (Lv855)
〝エレアー特有のUSで44㎝以上の角を自在に操る武技〟
「オイラはこの休みで沢山飯食って寝るぞォ♪」
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名前:ビクタァ♂
種族:獣人族
職業:遮那王隊メンバー
レベル4529
HP83569850/84159000
MP50893051/51000000
称号:孤高の人狼剣士
スキル:
●獣体術(Lv586)
●獣剣術(極)
●風魔法(極)
●通常攻撃軽減(Lv896)
ユニークスキル:
●獣颯剣技
〝獣剣術と風魔法を極めた者が習得するUS〟
「ワシはゆっくり酒でも戴こうかのぉ」
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名前:フォクシィ♂
種族:仙人(元聖翼族)
職業:遮那王隊メンバー
レベル4700
HP90569850/95984000
MP88305100/89600000
称号:仙人修行者 元聖天使
スキル:
●仙人術(Lv895)
●剣術(Lv986)
●光魔法(Lv881)
●聖魔法(Lv784)
〝回復魔法系の中でも超高位の魔法である〟
●身体強化(Lv899)
●通常攻撃軽減(Lv896)
ユニークスキル:
●千里眼
●飛行超速移動
「義経さんあの二人はどこ行ったんだ?」
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名前:ドウゾーン♂
種族:ドワーフ
職業:遮那王隊メンバー
レベル4869
HP74528890/78524000
MP86580000/97000000
称号:大地の守護者
スキル:
●土魔法(極)
●火魔法(極)
●体術(Lv759)
●鍛治(Lv900)
●魔法攻撃軽減(Lv951)
ユニークスキル:
●熔岩化
〝土と火の魔法を極めし者が取得するUS…自身の身体を熔岩化してしまう自然系ユニークスキルのひとつである〟
「あの二人はスキルレベルアップの為、別のダンジョンに行かせている 丁度明々後日には合流出来るんじゃないかな?」
「そうか…では俺は鍛治スキルで皆の武器や防具の手入れをしておこう 皆、部屋に置いておいてくれ———。」
僕らはそれぞれ休息を取り残りの仲間を待つ事にした…
そして三日後…パンッ! パンッ! と朝から帝都に
花火が鳴り響き住民達がマカニカ様の生誕を祝う為
広場へと集まっていた、折角なので僕も遮那王隊の
皆と一緒に参加し美味しい料理に舌鼓を打つ事にしよう。
集まった人々の顔には笑顔が溢れ、子供も大人も
男も女も皆それは幸せそうな顔をしていた。
恋人同士の男女もいれば、仲睦まじい親子もいた…
しかし数時間後……人々のこの笑顔が絶望へと変わる事を
僕らはまだ知る由もなかったのだ。ーー