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魔王転生〜異世界に蘇りし魔王信長〜  作者: チェック
第12章 〜外伝編〜
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第百十九話 「タナティーナ」

 

 私は天王リフィーシャ様の副官タナティーナ!天界復興に勤しんでいるリフィーシャ様を手助けするのが私の役目。リフィーシャ様は今日も朝から書類と戦っておられる…忙しそうだ。天界の民達の衣・食・住も整うように全て手配し面倒見られている…こんな事、王自ら進んでやられる方はリフィーシャ様ぐらい。



「今日も朝からいい天気だわぁ… そうだッ! こんな日はラブド様とお散歩に行ってらしては如何ですか?」


「ふふふっ ラブドはさっきオワリとランマルを引き連れて幻獣界に冒険に行ったわよ それに精霊界に居る民達と幻獣界に居る民達の食料問題に取りかからなきゃならないから」


「たまには親娘おやこのお時間も取って下さいね」


「えぇ ありがとうタナティーナ」



 リフィーシャ様を少しでも楽にさせれたらなぁ…

私が渡り廊下でそんな事をボソッと呟いていると

目の前に居た魔王キリ様にぶつかってしまった。


ドンッ! 「きゃッ」 ドテッ… 「いててててっ」


「すまない 大丈夫か?」


「いえ こちらこそ 余所見していて申し訳ございません」


「タナティーナよ さっきから探しているのだが…今日はラブド様はおられぬのか?」


「はい 先程リフィーシャ様が仰られていましたが、今日は何でもオワリとランマルと共に幻獣界へ遊びに行かれたそうです」


「そうか… わかった また顔を出そう」


「はい 失礼します……」



 あぁぁ…怖かった…キリ様の漆黒の鎧姿はカッコイイんだけど表情が見えない分 なんか怖いのよねぇ〜


「〝タナティーナァッ!!〟」


「ん?リフィーシャ様 どうなさいましたか?」


「ごめんなさいね この書類を急ぎ人間界のグランプァーザ王へ渡しに行ってくれないかしら?」


「畏まりました グランプァーザ王にですね」


「お願いね♪」



 やった人間界に出張だわッ! あそこは食事が美味しいから丁度行きたかったのよねぇ〜… 王様へ書類を渡したら食べに行っちゃお〜っと♪





 ーーーー 人間界 〜グランプァーザ王国 王都〜



 私は急ぎグランプァーザ王に書類を届けて都に居た。

「ふぅ パッパッと書類も渡したし何食べよっかなぁ」

「これ美味しそぉぉぉッ あっ!これもッ!!」

「こっちもいいなぁぁぁ♪」…モグモグッ———。



「プププッ…」


「ん?」


「何やってるんだ? タナティーナ」



ゲッ!!! 獣王様だッ… 嫌なとこ見られたわ…

モグモグッ… ゴックン…


「どうも獣王様 お一人ですか?」


「ん…あぁ…やっと解放されてな……」


「解放?」


「いやいや…何でもない それよりどうだ?俺も食い直したかったんだ! 一緒に飯に行こうッ!!」


「いっ、いえ私は公務中ですので……」


「公務ゥゥ? あんな馬鹿食いがか?」


「いやッ… そのぉ〜… あはははッ……」


「何だ?行かぬのか? そうか残念だ…うーむ実に残念ッ 折角美味しい甘味処を見つけたのになぁ〜」


「行きますッ!!!」


「ヌオッ! 食い気味で来たな ガハハハハッ」



 こうしてバツが悪いタイミングで獣王様と出会ってしまったが、甘味処と聞いては逃せない。私は獣王様と共にスイーツを堪能することにした♪



「ここだッ!」


「甘味処…トヤマ? なんか変わった名前ですね」


「味は保証するぞッ ガッハッハッハッ」


「そう…ですか」



 ガラガラガラッと扉を開き中に入ると、とても落ち着いた雰囲気の店内…これは以前信長様が語られていた〝和〟というのに近い感じだわ……見た事ないけど。


「いらっしゃいませ 2名様ですか?」


「あぁ 店主 俺は昨日食べた物を3つ頼む タナティーナはどうする? 何か食べたい物はあるか?」


「いえ…こういう所に来るのは初めてなもので…」


「ではコイツにも俺と同じ物をひとつ出してくれ」


「はい では座敷に腰をお掛けになっていて下さい」


「あぁ」



 獣王様は来慣れている感じだわ…



「タナティーナ 実はな此処は以前信長より教えてもらった所なんだ 俺はそれ以来人間界に来るたびに寄っておる」


「へぇ 信長様に?」


「あぁ何でも此処の店主は異世界人らしい」


「えっ!異世界人ッ!?」


「だが信長 いわく此処の店主は異世界人特有の力というか、そういうのが無いそうなんだ」


「ええっ?何でまた?」


「うむっ それは……」


「それは?」


「……分からんッ!」


ズゴォォォォッッッ!!!


「いててっ… 何なんですかそれは」


「信長も以前人間界に来た時に、鑑定スキルとか言うスキルで確認したらしいのだが まったく力は弱く…スキルすら所持しとらんかったらしい」


「へぇ〜 異世界人なのに?」


「あぁ その後信長が店主に聞いたのだが本人にも分からんらしくてな…元居た世界では和菓子の職人をしていたそうだから とりあえずこっちに来てもその腕を使い生計を成り立たせておるらしい」


「異世界の人でもそういう人も居るんですね」


「あぁ そうだな 大変だと思うぞ」



「お待たせ致しました こちらが水羊羹みずようかんきな粉がけ———でございます」


「うわぁ〜 綺麗ぇ…」


「オォッ! これこれッ♪ いただきまーす」


「いただきます?」


「あぁこれは異世界人が元居た世界で何かを食す時に発する言葉らしいからな 俺もそのならわしを真似ておるのだ」


「成る程… いただきます」————パクッ…

「んーんッ 美味しいぃぃ 甘過ぎずどこか上品な感じがする」


バクバクッ… モグモグッ… 「店主おかわりぃ!」


「早ッ! もっと味わいましょうよ獣王様」


「ガッハッハッハッ 俺なりに味わっておるわッ!」






 しかし異世界人の中にも大変な方はいるのね…何の特別もなく、こんな知らない世界で生き抜かなければならないなんて……でも美味しいッ♪こっちの世界に来てくれてありがとう店主様ッーー

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