第百四話 「魔王継承」
ーーー突然の報せに魔界中に居た各界の民達は当然という気持ちで〝七界王信長〟の襲名を喜んだ!!
それはまさに他種族間に境界線など無いと言わんばかりの喜びようであった…誰が始めようと言ったわけでもなくいつの間にか開催された他界・他種族による〝七界大宴会〟は魔界全域で開催された。二度と見れないかもしれない…まさに奇跡の光景!
魔族に人間、妖精にエルフにドワーフ、獣人に仙人、幻獣に天界人…はたまた魔物や魔獣まで参加する程の奇跡的大宴会ッ!!!
そんな中…主役の七界王信長はキリを呼び出し魔守城に居た。
「この度は七界王襲名…おめでとうございます」
玉座に座する信長の前に中座するキリ。
「キリよ…其方と出会った頃が懐かしいなぁ…」
「………」
「どうじゃ? 成ってみせたぞ七界王に!!」
「………ふふふっ あはははははははっ!! 誠になるとは畏れ入った あれから色々と経験させてもらい実に楽しかったがこんなにも早く七界王となるとは…」
「まだ死にたいか? キリよ…」
「……そんな事言ってましたなぁ」
「まだ儂の隣で生きてゆくのならば其方に…新たな役職を与える!」
「ほぉ?今度は英雄から悪党にでもなりますか?」
「悪か…近いが少し違う!」
「…近い?というと?」
「其方には我が魔王の座に就いてもらう!!」
「ッ!!! 魔王!? この私が?」
「あぁ…冒険者〝幻影のキリ〟を引退し〝魔王キリ〟となるのじゃ!!!」
「ワッハッハッハッハッハッ 誠に次から次に面白い男じゃな ワッハッハッハッハッハッ」
「受けてくれるか?」
「………受けましょう!」
「同時に裏魔王軍も継続してお主に任せる! それとこれをお主に授ける…儂からの祝いじゃ」
キリは魔王の座に就く事が決まり信長から過去に取得していたヤマトタケルの遺産のひとつ八尺瓊勾玉を与えられ装備した。
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●八尺瓊勾玉
闇属性が宿りし装飾品
装備効果:闇属性所持者のUS負担無効化
装備条件:所有者のレベルが4500以上か闇属性スキルレベルが900以上の者に限る
そして魔王を継承したキリのフルプレートは見る見るうちに漆黒の光沢を輝かせだし地獄の炎のような真紅のマントを靡かせ新魔王へと姿を変貌させていった。
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名前:キリ(性別不明)
種族:古代霧魔族(魔王)
職業:裏魔王軍総統 兼 魔界の王
レベル5000
HP150758000/168500000
MP400478500/407560000
称号:古代魔王の元配下 魔王信長の現配下 暗殺者
裏魔王軍総統 元英雄冒険者 魔界を統べる者
スキル:
●自己再生回復(Lv960)
●隠蔽(極)
●変幻(極)
●水属性(極)
●闇属性(極)
●闇魔法無効化(Lv725)
●通常攻撃無効化(Lv884)
ユニークスキル:
●粒子崩壊
〝気体や人体の粒子を崩す事が出来る脅威系ユニークスキルのひとつ 対象物にもよるが使用者も反動でHPとMPを50%から最大90%消費する 但し状態異常無効化スキル持ちには効果無し〟
●霧魔法
〝両属性を極めし者へランダムに最も適したスキルが選ばれるランダム系ユニークスキルのひとつ 但し強力な魔法の為使用時に魔力を5千万から1億消費する〟
●神隠士
〝霧魔法獲得と隠蔽と変幻スキルが極みに達した為、US神隠士を獲得…自分自身を未来へと転移出来る神系ユニークスキルのひとつ 但し残存MP1になるまで消費し、行き先の未来は選べず過去には戻れない〟
「ほぉ出会った当時は儂の鑑定レベルが低かった為確認出来なかったがなかなか凄いじゃないか キリよ」
「ハッハッハッ 私も魔王成りした事でスキルもステータスもレベルアップしましたわ!当時はユニークスキルなど所持していませんでしたが…」
「うむっ 中でも恐ろしいのがそのUS粒子崩壊とかいうやつじゃな…もはや細菌兵器ではないか!」
「ハッハッハッ たった今習得したスキル故 破壊力など皆無でございますが…確かに凄そうですな♪しかもこの八尺瓊勾玉の装備効果のお陰でUSの負担は無効化されるようなので使い放題ですわ」
「おいおいっ…無闇に使うでないぞ!」
「ハッハッハッ 冗談ですよ冗談ッ」
「それともっと気になるUSがあるのぉ…神隠士?何々……ほほぉ! 未来へ行ける神系スキルとあるぞ?」
「もはや何でも有りですね ハッハッハッ」
「しかし未来しか行けぬとある……戻れぬのであれば使えぬスキルじゃな………」
「ですね…我が命が危機的状況の時にでも使いますわ」
「そうじゃな…死ぬよりはマシか! はっはっはっ」
こうして二人だけの魔王継承式は七界大宴会の中ひっそりと魔守城にて執り行われ、後日大々的に発表されたーー