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眠り姫は異世界を謳歌する  作者: 狂った機械仕掛け
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第5話  七大魔王と次期魔王お披露目会

 日が傾き始め、窓から見える外が夕日に染まるころ、ぼくとオネエ、ユリ兄たちはお城のメイドさんにパーティー会場に案内される。会場にはすでに100人ぐらいの人がいて、いかにも貴族の立食パーティーって感じだ。会場がすごく広い所為か大人数が集まってもそこまでの窮屈さはないから少し安心したかな。父様とギギさんはどうやら奥の方にいるらしい。来ている人はほとんどは大人だけど子供も来ていて、ぼくよりも小さい子やユリ兄たちと同じぐらいの年の子も来ているみたいだ。

 ちなみにぼくたちが会場に入るときに一斉に貴族たちの視線が集まったの気のせいだろう。もちろんユリ兄とアル兄はすでにどっかの貴族の娘に連れて行かれている。


「さてと、イブ。私たちはどうしましょうか」

「とりあえず何か食べに行こうか。なるべく大人が少ないところがいいな」

「そうね、それじゃあ向こうに行きましょうか」

「うん」


 ぼくとオネエは端のあまり人が少ないところに来た。少ないと言っても比較的子供が多くいるからあまり大人が来ないだけだけど。

 そしてしばらくの間、食事を楽しんだ。特に旬のフルーツを使ったケーキとかのデザートがおいしかったから家に帰ったら再現しようと思う。食事をしている間に外はすっかり暗くなり、来た時よりも人が増えたみたいだ。

 そして今は特にすることもなくなり、暇な時間になっている。オネエは近くにいた女の子となぜか女子トークをし始めたからぼくはそっとその場を離れ、壁際においてあるソファで少し居眠りをしている。


「おい、おまえ・・・おい!」

「・・・んー、なんですか?」


 なぜか同じぐらいの男の子に起こされた。なんか見るからに偉そうな態度で威張ってるし、後ろにこの子の友達三人がくすくす笑ってこっち見てるな。あれだ、小学生のノリかな。


「おい、おまえ。俺様の女にしてやる」

「・・・は?」


 うん、前世ぶりにナンパ(?)されたね。前世男だった気がするけども。あれ、なんでナンパされたんだろう、今でもわからないな。まあ前世と同じように断ればいいか、結構きつめだけど。


「おい、何無視してんだよ」

「ん?ああ、少し考え事してただけだから。それで返事なんだけども」

「もちろん俺様の女に」

「君にどうしても興味が持てそうにないのでごめんなさい」

「なんだと!おまえ俺様が誰だと思ってるんだ!」


 あ~こういう人でしたか。二次元でよくいる小物さんでしたかー。


「俺様はベルゲン伯爵家の長男、ガゼル=ベルゲンだぞ!」

「えっと、伯爵って上から何番目だっけ?」

「上から二番目だ!」


 違います、三番目ですよ。って教えてもいいけど関係なさそうだな~てか三番目なのか。適当にあしらってもいいのだろうか。後ろの三人組はなぜかじゃんけんし始めてる。あれかぼくにちょっかいかける順番決めかな?かわいいって罪だね・・・自分で言うのは変な気がするけど。


「どうだ、すごいだろう」

「スゴイデスネー、ではぼくはこれで」

「なっ!おい待て!」


 とりあえずこの場から離れよう。こういうのはしつこいから逃げるのが一番。ぼくが立ち上がり、その場から離れようとすると腕をつかまれた。


「あの、放してくれますか?」

「おまえは俺様の女にすると言ってるだろう!もう決定事項だからな!」

「・・・いやなので、放してください」

「いやだ」


 ・・・どうしようか、たぶん振りほどけると思うけどその後どうなるかが不安だな。


「あら?イブちゃんじゃないの」

「あ、クリス姉」


 ガゼル=ベルゲン君の対応に困ってると、オネエのお姉さんであるクリス姉がぼくのところに来てくれた。ナイスタイミングだよクリス姉。


「ああ、もうイブちゃんかわいいわね。今日の夜は一緒に寝ましょうね」

「えっ!あ、ちょっと抱きしめないで。苦しい・・・」


 クリス姉のおかげでガゼル君からは解放されたけど、悪化したような。


「おい、おまえはその子の何なんだ!」

「そうね、未来の姉かしら」

「・・・クリス姉早く放してください」

「あら、ごめんなさいね」

「・・・ん」


 やっと解放されたけど、未来の姉って・・・


「それで君は誰なのかしら」

「俺様はベルゼン伯爵家の長男、ガゼル=ベルゼンだ!」

「そう。それで伯爵家長男さんが私のイブちゃんに何の用だったのかしら」

「いや、クリス姉のじゃないから」

「細かいことは気にしちゃだめよ」

「そういうものなのかな?」

「そういうものよ」


 まあ、いいか。そういえば取り巻き三人組みは・・・あ、まだ傍観してる。


「ところでガゼル君」

「なんだ?」

「あそこの三人のところに戻らなくていいの?」

「あ、ちょっと待ってろ」


 そう言ってガゼル君は三人組のところに戻って、四人で騒ぎ始めた。さてと・・・


「クリス姉はどうしてこっちに?ユリ兄たちのところにはいかなかったの?」

「この後行くわよ。でもその前にお父様たちからイブちゃんとマルスを呼んでくるよう頼まれたのよ」

「あ、そうなんだ。オネエならそこにいるよ」

「わかったわ。ちょっと待っててね」


 クリス姉はオネエの近くに行き、オネエの首根っこをつかんでこっちに戻って来た。え、なんで強制連行してるの?オネエは何か慣れてるっぽいし。


「それじゃあお父様たちのところに行きましょうか、イブちゃん」

「う、うん。それよりオネエは大丈夫なの?」

「大丈夫よ、イブ。いつものことだもの慣れたわ」

「そうなんだ・・・」


 ぼくはオネエをつかんだままのクリス姉について行った。もちろんガゼル君たち四人組は放置済み。

 人が多すぎて何度か転びかけて何とか父様たちのところに着いた。もちろん周りはどっかの王様みたいな人や、豪華な装飾をしている貴族たちに囲まれている。さすが魔王と言っていいのか、それともこれが普通なのかな。そんなことを思っているとクリス姉がギギさんに話しかけたみたいだ。


「お父様、連れてきましたわ」

「ありがとうクリス。さてサタンよ、主役はそろったぞ」

「そうか、了解した」


 ギギさんがサタンと呼んだ人は大きなコウモリっぽい羽を生やし、大きな羊の角がある身長二メートル越えの悪魔系の魔族の人だ。如何にも魔王サタンって感じを出してる気がする。あとサタンさんの近くにはギギさんと父様以外に4人ほど周りの人たちとはちがうオーラを出している魔族がいるから、その人たちが他の魔王なんだろう。確か七大魔王って呼ばれていて、それぞれ七つの大罪を冠してるんだっけ。憤怒の魔王、○○みたいな感じに。父様は何の魔王なんだろう。

 ぼくが魔王について考えているとサタンさんがステージの上に立ち、演説を始めた。


「えーゴホン。まずは本日こんなにも大勢の人が集まってくれたことを魔王を代表して感謝しよう。さて今回集まってもらったのはすでに聞いていると思うが、改めて言わせてもらおう。今から10年後の次期魔王となるであろう候補を我々現魔王が紹介するためである。」


 辺りが静まり、ステージに注目が集まる。・・・うん、やっぱりぼくも紹介されるみたいだね。てかぼくは魔王は向かないしコミュ症だからユリ兄かアル兄に魔王になってもらおう。


「さて、毎回同じようにここで紹介するのもいいが、今回は少し趣向を変えることにした。そう、あえて発表はしない。ここにいる各々が見て、誰が次期魔王か見極めろ。そして候補の子らは人を引き付けるカリスマ性が必要だ。ああ、別に自分が次期魔王だ。とか言っても一向に構わないぞ」


 ・・・なぜに発表しない、まあぼくは助かるけど。でもそうなると継承者争いが活発しそうな気がするんだけどもそこらへんは大丈夫なのかな。


「さて我が言うことはもうなくなったから演説はここまでにしよう。さあここにいる者たちよ、我々を楽しませろ!次期魔王となるもののためにありとあらゆる策を用いるがいい。候補の者たちはまあ、頑張れ。ではこれで我の演説を締めさせてもらおう。引き続きこの夜会を楽しんでくれ」


 たくさんの拍手の中サタンさんは一礼したあとステージから降壇した。てかサタンさんたちが楽しむためにこんな回りくどい方法なんてとったのか、ぼくは助かったけど。それと支援者が何してくるかわからないのが怖いくらいかな、とりあえず関わらなければ大丈夫かな。

 そう思い、ぼくはそっと父様たち魔王のそばから離れ、壁際から様子を見ることにした。ぼくが離れたのと同じぐらいの時にユリ兄やオネエたちのところに貴族が一斉に群がり始めていた、早めに退散してよかったかもしれない。あとはぼくが父様の娘ってばれなければ何とかなるかな。


「そこのお嬢さん、少しわしと話をしないかのう?」


 そんなことを思っていたのも束の間、いかにも魔法使いっぽいローブを身に着け、白いお髭に長い白髪のおじいさんが話しかけてきた。よく見れば耳がとがっている・・・


「エルフ?」

「おや、お嬢さんはエルフを見るのは初めてかね」

「うん・・・」

「そうかそうか、わしはライマン・フォレストじゃよ。よろしく頼むぞい」

「えっと、イブです。よろしくお願いします」


 ライマンさんが握手を求めてきたのでこちらも握り返す。確かエルフってあまり交流的じゃないはずだけどこの人は違うみたいだ。それになんとなく落ち着くような雰囲気を出してる気がする。


「イブちゃんじゃな。ところでセーラーとブレザーだとどっちが好きじゃ?」

「えっ?」

「わしのおすすめはブレザーじゃの、それにケープを羽織ってじゃな」

「えっといきなり何の話になってるんですか?」

「いや何、かわいい子を見つけると聞かずにはいられないのじゃよ。特にイブちゃんのように小さい子にはのう」

「・・・」


 あ、この人変な人だ。それもロリコンだ。とりあえずここから離れよう、この人は危ない。


「あの、ぼくはこれで失礼しますね」

「なんじゃ、まだ話は終わってないのにのう。まあ仕方あるまい、今度じっくり話をしようかの」

「ははは・・・それではまた」


 そう言ってぼくは人混みをかき分け、会場を後にする。

 さてと、この後は特にやることもないから用意された部屋に戻ろうかな。そう思いぼくは部屋に戻る。


「えっと、今の時間は・・・8時すぎか。もう寝ようかな」


 MPはまだ2割は残ってるけど寝よう。なんかここ数年ですっかり早寝が身についた気がする。まあ寝る子は育つって言うし、将来モデルみたいに成れるのだろうか。前世ではよく寝ていたけど背が低かった気がするけど現世は違うといいな。

 その後部屋に用意された寝間着に着替え、ベッドに入る。


「ふぁぁ、そういえばあの後会場はどうなったんだろうか。まあ別にいいかな」


 そんな独り言をつぶやき、ぼくは眠りにつくのだった。

エルフ(ロリコン)が出ましたが、この人実はすごい人です(いろんな意味で)

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