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眠り姫は異世界を謳歌する  作者: 狂った機械仕掛け
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第3話  ぼくの日常

 ぼくの朝は早い。朝6時、ぼくより早起きなメイドさんに起こされたあと、顔を洗い、歯を磨き、メイドさんたちに着せ替え人形にされる。今日は白を基調とした甘ロリ系ミニドレスみたいだ。ちなみにメイドさんの趣味みたいだ。

 人間慣れって怖いね、昔はコスプレ感覚だったのがもう普通の服装にしか思えなくなってる。

 朝7時すぎ、家族と食事をし、その後父様は仕事へ、兄様三人はグラムさんと剣の特訓へ、母様とメアはその様子を見るようだ。

 そしてぼくは2年前から作り始めたバラ園へ。ちなみにぼくのバラ園はぼく一人で作っている。理由は前世から一人で育てていたことと、もしかしたら何かの魔法に使えるかもしれないからだ。つまり、バラ園と言うよりはバラ畑と言った方がいいかもしれない。もちろんメイドさんたちもやりたがっていたけど、前世と同じように科学がある世界ではぼく一人でも問題なく管理できているから断っている。


 午前10時ごろ、本格的に兄たちの剣がぶつかるような金属の音が聞こえてくる。

 その音をBGMにぼくはバラ園の一角にあるお昼寝スペースで一度目の昼寝をする。起きてから三時間しか経ってないのに寝る理由は、一言で言えば昔からの癖みたいなものだったりする。もちろん最大五時間は起きていられるけど、MP切れで寝てしまうと全快するまで起きれないことも理由にあったりする。

 寝る前に昨日もらったステータスを確認すると今のMPは最大MPの約4割になっていたから、一時間で2割ずつ減っていく計算になる。結構シビアな呪いだけど、昔と比べたらましな方なのだろうか。


 12時前になるとメイドさんに起こされ、昼食をとる。そして今日から午後の時間はぼくの夢への研究時間になるのだ。

 昼食を食べ終わるとすぐに書庫に向かう。目的は魔法について書かれた本だ。

 書庫につき、扉を開けると本の整理をしているメイドさんたちがいた。そのうちの一人がぼくを見つけて近づき話しかけてくる。


「イブさま、申し訳ございません。ただいま本の整理中でございまして、本日はなるべく書庫にはお入りいただかない方がよろしいかと」

「あ、じゃあ魔法についての教科書みたいな本か、研究書ってある?」

「わかりました、少々お待ちください」


 メイドさんはまだ本棚に入れてない本の山から、4冊ほど抜き取りぼくに持ってきてくれた。


「えっと、この4冊が一番わかりやすいと思います」

「ありがとう!」

「っ!」


 なぜかお礼を言ったら、そそくさと本の整理に戻ってしまった。何か変なことでもしただろうか。

とりあえず、今日はこの四冊を読んでしまおう。読書は生きがいだ!

 ぼくはバラ園のお昼寝スペースでさっそく読むことにした。3冊のタイトルは『誰でもできる!魔法の習得法』『魔法の種類と違い』『基礎魔法・魔術入門書』『魔力が上がる方法 ~国際魔法研究機関発行~』だ。まずは『誰でもできる!魔法の習得法』からやっていこう。


「えっと、なになに。まずは魔力が出す感覚をつかむために・・・これは今使っちゃだめだよね」


 とりあえず最後まで読んでみたけど、ほとんど実践だったからこれは1年後にまた読むとしよう。さて次は。


「『魔法の種類と違い』か・・・」


 内容をまとめるとこんな感じ、”魔法”とは魔法、魔術、魔導の3つに大きく分かれているものをまとめて”魔法”と呼んでいる。基本的に魔法は詠唱して体内の魔力を外へ使うもの、魔術は魔方陣と言葉によって空気中にある魔力を使うもの。

 例外として、魔法だと無詠唱と言うものがあり、魔術は贄も使うものがある。そして魔導はそのどちらよりも強力で一部が異なるものという解釈のようだ。

 あと魔法と魔術は初級・下級・中級・上級・最上級(戦略級)があるらしい。

 さらに魔法と魔術は細かく分かれるみたいだけど、あまり変わらない気がする。違いと言えば、魔術には錬金術や召喚術と言った特殊なものがあるくらいだろう。ちなみに魔導は珍しく、今まで発見されたもので12種類しかないらしく、魔導を使う人はその12種類のどれかに限られるみたいだ。

 魔導についてはまだ解明されてないらしく、偶然使えるようになり、ステータスの所持技能の欄に表示されるらしい。ちなみに剣術とかもここに表示されるらしい。


「とりあえず、二冊読み終わって今の時間は・・・14時半か。一応寝といたほうがいいけど、どうしようかな」


 ステータスを確認すると、残りMPは約5割になっているから寝といたほうがいいのだろうけど。


「楽しみを前にしておいて、我慢できるだろうか。いやできない!」


 ということで、『初級魔法・魔術入門書』を読み始める。


「う~ん、これも実践が必要になりそうだけど、一応詠唱とか乗ってるから覚えとくかな」


 ぼくは約1時間かけて本に載っている詠唱や魔方陣、魔法の効果を覚え、あとは一年後に父様が使っていいと言ったらすぐにでも使える状態になった。いや~記憶力がいいのは特だね、前世でもテスト前とかに大活躍だったし。


「ん~、さてと、そろそろ二度目の昼寝をしておかないといけない時間か~、残りMPも一割に届き始めてるし、寝ようかな」


 ぼくは大きく伸びをし、横になるが、ついつい『魔力が上がる方法』を読み始めてしまう。

国際魔法研究所ってところが書いたものみたいだけど、内容のほとんどが科学への愚痴や魔法の素晴らしさを書いたものだった。

 唯一収穫があったのは、魔法を使うことで魔法の練度とともに魔力も上がるらしく、特に幼少期のころに魔法を使うのが一番上がるらしい。そして最後の一文に魔力漏出がある子の魔力は強力になるみたいだ。つまり、魔法を使う=魔力を消費するということだろう。そしてぼくはチートキャラになれるかもしれないということだ。

 あと他にも、魔力の籠ったものを食べたりするという方法もあった。魔力回復薬とかがいい例だと思う。

 そして、気になる言葉があった。


「『LVボーナス』?そんなのあったかな?」


 ステータスを開いて確認する。


=====================================

名前:イブ・クラウン  性別:女  職業:魔王  年齢:6才 

種族:純血の吸血姫  


身長:102㎝  体重:18㎏  視力:2.0・2.0  スリーサイズ:55・45・54


HP30/30  MP840/38660  属性・闇

筋力:9  体力:36  速さ:18  近接武器攻撃力:0  中距離武器攻撃力:0

遠距離武器攻撃力:0  物理防御力:5

魔力:3866  魔力制御:0  詠唱速度:1  

火属性適正:999  水属性適正:999  土属性適正:999  風属性適正:999

雷属性適正:999  木属性適正:999  光属性適正:999  闇属性適正:999

無属性適正:999  神属性適正:999

火属性攻撃力:0  水属性攻撃力:0  土属性攻撃力:0  風属性攻撃力:0  

雷属性攻撃力:0  木属性攻撃力:0  光属性攻撃力:0  闇属性攻撃力:0  

無属性攻撃力:0  神属性攻撃力:0

火属性防御力:0  水属性防御力:5  土属性防御力:2  風属性防御力:2

雷属性防御力:0  木属性防御力:5  光属性防御力:5  闇属性防御力:1

無属性防御力:5  神属性防御力:0

精神力:40  知力:177  幸運:500  魅力:888

毒耐性:0  麻痺耐性:0  石化耐性:0  催眠耐性:0  呪い耐性:0  

ステータスダウン耐性:0  魅了耐性:0  恐怖耐性:0  拘束耐性:0  

封印耐性:0  混乱耐性:10  命令耐性:10  暗闇耐性:1  

痛み耐性:1  狂気耐性:10  快楽耐性:1  悪臭耐性:0

音耐性:0  病気耐性:1  洗脳耐性:0  


状態:良好・呪い


呪い:魔力漏出・・・体内のマナが体外に漏出する現象


ユニークスキル:<魔法・魔術適正最上>・・・全属性適正が最大になる。

        <眠り姫の秘密>・・・眠っている間以下の三つの効果を得る、①すべての自然回復力が上昇。②魔力の増加。③最大MPの超過分を体内に蓄積。 特定の条件を満たしたときこのスキルは進化する。


所持技能:<初級火属性魔法・魔術> <初級水属性魔法・魔術> <初級土属性魔法・魔術> <初級風属性魔法・魔術> <初級雷属性魔法・魔術> <初級木属性魔法・魔術> <初級光属性魔法・魔術><初級闇属性魔法・魔術> <初級無属性魔法・魔術> <創造:クレイゴーレム>

=====================================


 所持技能が増えているけど、LVはない。う~ん、明日はステータスについて調べる必要があるかな?てかMPが1000切ってるから早く寝なくては。

 ぼくはステータスを閉じ、本を枕にして二度目の昼寝を始める。


夜七時すぎ、夕食の時間になりメイドさんに起こされ、家族と夕食をとる。あと父様が帰ってくるのと一緒にギギさんとオネエもうちに来たらしく、二人も一緒に夕食を食べていた。なんでも次の日曜日にある食事会の打ち合わせも兼ねているらしい。

 しばらくして夕食が終わり、父様が話し始める。


「さて、軽い打ち合わせをするとしようか。ギギ。3日後の食事会だが、我々の他に誰が来るんだ?」

「確か我ら魔族の国の中小貴族がたくさん、隣の国々の貴族が数人に王族だな。あとは学園とかのお偉いさん方だな」

「ふむ、やはり次期魔王の発表となるとそのぐらいになるか」

「30年前の我々の時もそうだったからな」

「そうだったな」

「それで移動用の馬車だが、4人用の馬車を2つでいいか」

「ああ、それで問題ない。アリアとメアは確かギギの家に遊びに行くんだったね」

「ええ、ルルとお茶会をする予定ですよ」


 ルルさんはオネエの母親で母様の学生時代からの友人だそうだ。それにしても馬車を二台用意するってことは・・・

 あ、なんか嫌な予感がする。たぶんぼくも行くことになりそうな予感が。いつもは父様と兄三人だけだったのになー。あとローレンス兄様がにやにやしてるのは放っておこう。


「ところでセバス、イブとマルス君の衣装は用意できてるか?」

「はい、旦那様。すでに用意できております」

「なら二人を連れて衣装の確認をしてくれ」

「かしこまりました。ではイブ様、マルス様、どうぞこちらへ」


 あ、うん。知ってた。強制参加ですね、わかります。そしてぼくとオネエはセバスさんに連れられ、衣装室に向かった。衣装室は男女別になっているので入る前にオネエと別れ、ぼくは女性用の方に入った。

 中に入ると目を輝かせた4人のメイドさんがすぐさまぼくを取り囲んだ。


「それではイブ様、始めさせていただきますね」

「あの、目が怖いんだけど」

「気のせいです」


 10分後、衣装室にはテレビとかでしか見たことないような豪華なドレスに身を包んだぼくがいた。うん、自分のことだけどかわいいと思う。前世で居たら間違いなく告ってた。実際メイドさんたちがうっとりしてるから女性から見てもかわいいのだろう。決してメイドさんたちがロリコンなわけではない、はず。


「イブ様、どこかきつかったりゆるいとこはございませんか?」

「えっと、大丈夫だと思うよ」

「それはよかったです」


 そんな風にメイドさんとドレスの確認をしていると、扉がノックされ、タキシード姿のオネエが入ってきた。


「イブ~入るわよ。あら~かわいいわね。よかったじゃないの」

「あ、うん。オネエもかっこいいよ」

「ありがとう。でも私もドレスの方がよかったわ~」

「う~ん、オネエはそっちの方が似合うと思うんだけどなー」

「ふふっ、ありがとう」

「イブ様、そろそろご入浴のお時間ですのでお着替えを」

「わかったよ」

「それじゃあ、私も着替えてくるわ。あ、そうそう、今日はイブの部屋に泊まらせてもらうから」

「えっ!?」


 オネエが爆弾発言をして部屋から出ていったあと、ぼくはドレスからさっき来ていた服に着替える。その後お風呂に入り、寝るために自分の寝室に戻ったのだが。


「遅かったわね」

「あれ冗談じゃなかったんだね」


 パジャマ姿のオネエがいた。


「あら、イブは私と一緒に寝るの嫌だったのかしら」

「いや、一応ぼく女の子だからさ」

「知ってるわ、別に変なことなんてしないわよ。私の恋愛対象知ってるでしょ」

「あ~、うん」

「なら問題ないわね」

「なんか理由になってない気がするんだけど」

「ところで明日ユリウスお兄様たちと一緒にグラムさんから剣術を習うのだけど、イブは参加するのかしら?」

「う~ん・・・」


 午前中はバラの世話があるし、あとステータスについて調べたいからな~。


「えっと、午後からなら参加しようかな」

「わかったわ、明日グラムさんに言っとくわね」

「うん」


 そしてしばらくオネエと話をしたあと、二人でぼくのベッドに入る。なんかこの時点でおかしい気がするけど、気にしたら色々とダメな気がするから考えないようにしよう。


「おやすみなさい、イブ」

「おやすみ・・・」


 あとぼくが寝るまで頭を撫でられていたりするのだけど、些細なことだろう。

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