↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
11/41

⑩

訪問者はエミリオ殿下の近衛兵の一人だった。

いつもの近衛の制服では無く砦の制服を着ていてるが、王都からかなり馬を飛ばして来たのか汚れてる。

「何があった?」

「申し上げます。今回の魔物騒動の主犯としてエミリオ殿下が軟禁されました。また、レナード様にも関与の疑い有りとして兵がこちらに向かってます」

「はあ?なんでそうなるんですか?!」

ザガートを含め隊員達が騒ぎ始めたのを、手を挙げて制す。

「何故そうなった?」

「レナード様が魔物騒動の時にいらっしゃら無かったのと、魔物を一撃で倒したのが魔物を従えて無ければ難しいと疑いが掛かったのです」

確かに従えてたら、強い魔物に見せ掛けて倒す事が簡単だ。

「無実だ。偶然居合わせ無かっただけだ」

おかしい。王宮の件はともかく砦《こちら》の事はまだ報告して無いのだから、知ってる訳が無い。

敵が邪魔な自分達を排除しようと動いたのだろう。

「なら、エミリオ殿下も無実…」

「当たり前です!殿下は魔物が出た際に真っ先に魔物に立ち向かったんですよ‼」

悔しそうに顔を歪ませる。

「…失礼しました。勿論私も無実は信じてます。なので殿下からの伝言を伝えます」


伝言は必ず無実を証明するから抵抗せず拘束されて欲しい。

暴れれば逆に疑われて無実を証明するのが難しくなるから辛抱してくれっとの事だった。


「わかった。知らせてくれて感謝する。今から全指揮権はザガートに委譲する」

「畏まりました。我らも絶対無実を証明させます」

ザガートの言葉に、その場にいた隊員全てがレナードを見て首肯く。

「頼りにしている」


そのやり取りをした直後に、イルミオ殿下と衛兵が砦に着いた。

「レナード・ディファル・ヴィ・ミルジュ。魔物騒動をエミリオ王子と企て関与した疑いがあるので、拘束させて貰う」

「何を仰ってるのか分かりません?」

知らない振りをして聞いてみるが、答える気は無いようだ。

「衛兵、拘束しろ‼」

レナードの周りを数人の衛兵が拘束するために囲んだ。

「暴れはしない。何処に拘束されるのでしょう?」

「王宮の地下牢だ」

拘束されるのは構わないが、王宮の地下牢だと女とバレる可能性が高くなるので嬉しくない。

「牢ならこの砦でも構わないでしょう?わざわざ移動する必要があるのですか?」

「お前が部下を使う可能性があるから駄目だ!」

これ以上、話してもムダだろう。何とかバレ無いようにするしか無いだろうと覚悟をきめる。


「それならラシア城の牢を使えば良いのでは?ここから近いですし、監視者には私がなりましょう」

いつの間にか来ていたウィルが、イルミオ殿下に提案している。

こちらの話を聞く気が無い王子が、何故かウィルには強く言えないのかラシア城の牢に拘束される事になった。

面白く無さそうな顔で睨んでるが、ウィルはどこ吹く風で受け流している。


腕を拘束されているので馬車に乗せられラシア城に連れて行かれた。

地下牢に入れられるのかと思ったら、塔の上層階に作られている王族や貴賓用の牢に入れられた。

「ここから先は私に任せて貰いましょう。塔ならば外からでも見張れるでしょう?」

「わかった。中は任せるが、外はこちらの兵を見張らせるからな」

牢に通じる入り口に見張りを立たせ、外にも見張りを巡回させる念の入れようだった。


「一旦私も中に入って、中の説明をしてあげますよ」

ウィルを中に入れた状態で施錠される。

「ウィルあなたは一体…」

「説明は後です。さあ、行きますよ?」

牢の中は入り口と窓に鉄格子があるだけで普通の部屋になっており、流石は王族用の牢なだけあって豪奢な作りだった。

ウィルに椅子に座るように促される。

「さて何から説明しましょうか?」

普段は見せる事がない優雅な仕草で指を組ながらウィルは聞いてくる。

「貴方は一体…」

「一応、王弟になります」

「!!!王弟殿下だったのですか!?」

非礼を詫びようとすると、その必要は無いと制される。

「他の方には内緒ですよ?あと今まで通りに接して下さい」

ウィルの本当の名前は、ウィリアム・ダルグ・ユラシア・ユーザレス。

王の弟なのに身分を隠して、砦に来ていたと言う。

「では、今まで変態の振りをしてたのは身分を隠すためだったんですね」

「違います、それは素です」

身分など本来なら隠して置きたかったのですが、頼まれているので仕方無かったと言う。

「王宮の地下牢だと女性だとバレて大変でしょう?」

「女性?バレる?何を言ってるか分かりません?」

「貴方の母ソフィアから頼まれてるので秘密を知ってますよ」

ウィルとソフィアはいとこ同士で交流があり、レナードが隊長として着任した時にお願いされたと言う。

油断させるための罠の可能性を疑って何も話さずにいると、母の筆跡の手紙が渡され書かれている内容から本当の事だとわかった。


「そうだったのですか。知りませんでした…」

「隠してましたからね。だからここに連れてきたのです」

バレ無いように気を使ってくれたのかと思ってると否定された。

「砦が大変な時に何もしないつもりですか?」

「ですが、動く事は出来ません」

「拘束されてるのはレナードだ。レイティアは動けるだろう」

付いて来なさいと移動を始める。


こちらにと案内され付いて行くと本棚の前で立ち止まり、何ヵ所か本を押すと階段が現れた。

ウィルが改造して作ったので誰も知らない隠し通路だ。

「これなら、見付からずに外に出られます。今回の騒動について、隊長の考えを聞かせて貰いましょう」

「国内で内乱をさせるのが目的かと。犯人の中にはイルミオ殿下も含まれるでしょうが、誰かに使われている様な気がします」

「黒幕は別にいると?」

首肯くと、ウィルも同じ意見だと言ってきた。

「エミリオだけ拘束ならイルミオが主犯でしょうが、黒幕に辿り着かせたく無いから貴方を拘束させたのだと思います」

何故自分がいると不味いのか分からないが、何か有るのだろう。

「行きなさい。出た先に馬を用意したから砦に戻れます」


化粧や着替えをすませ階段を下りると、長い通路が現れた。

走り難いドレスを捲り挙げ、通路を急ぐ。

「着替えは後からで良かったかも。でも、着替える場所なんて無いって言われたし…、でも走り難い…」

文句を言いながら何処に出るんだろうと考えながら進むと、上に続く階段見えてくる。

出た場所は、砦の側の森だった。

「こんな場所に出るとは思わなかった」

言われた通り、近くに馬が繋いであったので砦に向かう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。