表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/48

出会う者

お久しぶりです。

タニシは軽快な足取りで階段を駆け上がっていた。

新調した布の靴は、徐々に足に馴染んでくる。


しばらく進んむと、階段は土の坂に変わっていく。


(靴がよごれるなあ。坂だし余計に。・・・階段作ったれ。)


両手を坂に付けると岩の階段を出現させる。

そのままの姿勢で昇りながら一段づつ形成し、終点へたどり着いた。


(ふう。踊り場ついたわ。


・・・勢いで此処もいじるかな。

まあ、どうせ誰も来ないんでしょうけど。

自己満、自己満!)


清太郎は岩のタイルを出現させると、床に隙間なく敷き詰める。


不規則な形の壁をレーザービームで削り、タイルで装飾する。

接着剤は樹皮の成分を、砕いた岩石に混ぜて生成した。


自身の体の下半身を3つ足に変形させ、蛸の足を模すと壁にひっついて天井をアレンジし始めた。

まるで熟練の内装職人のようなフットワークである。


天井の中央に岩石のシンプルなシャンデリアをつける。

シャンデリアを支えるチェーンの代わりに、強化した繊維で太い縄を作り、括り付けた。


最後に蝋燭をシャンデリアに置いて終了である。

少し殺風景だったので、オマケにベンチを二つほど設置した。


(ふう・・・。気が済んだ。

出来栄えが完璧なんだが。流石俺。

さあて、お次は出入り口だな。)


清太郎はジャングルへの入り口を見つめる。


前回通過した際に出来たドリルの穴がしっかり空いているが、それ以外は岩石の瓦礫だった。


(ガッツリ塞がってるな、相変わらず。

よし!いっちょ退かしますか!)


両眼から最大出力のレーザービームを放つ。

熱光線が持つ魔力エネルギーが岩石に命中し、爆ぜる。


ビッ。ジュドオオン。ビッ。ジュドオオン。

ガラガラガラガラ。


岩石は粉々に砕けていき、徐々に隙間から日が差し込む。


僅かな時間で瓦礫を綺麗さっぱり粉砕する。

粉々になった岩石の山が出来上がった。


清太郎は人型を解くと、自身を大きな風呂敷のように変形させた。


瓦礫の山を風呂敷ボディで覆うと、マジックショーのように一瞬にして消した。


(じゃじゃーん!種も仕掛けもありまーす!


必殺、風呂敷包みで一気食い、出来たな。

思いつきでやったけど。

これは時短にいいな。

ダイ◯ン吸引で食べてると、地味に時間かかるし。)


清太郎は“風呂敷包み一気食い”を数回使い、瓦礫を吸収し終える。


階段の踊り場とジャングルを結ぶ道が開通した。


(祝!開通!これで緊急避難時も安心。


そうだ、記念に入り口もちょっとだけ作り込もうかな。)


清太郎はジャングルへ一歩出ると、振り返って岩壁を眺める。


前回のゴーレム戦で被弾した跡が生々しく残っていた。

横一線のビーム痕が岩壁に深々と切れ込みを入れ、断層と化している。


断層のすぐ真下が、出入り口の穴であった。


(これ以上の落盤を防ぐためにも、だな。

地震とかあったら崩れそうだし。

柱っぽいもので支えて、上下補強すりゃいっか。)


清太郎はまず、断層を支える為のガッシリとした柱を出現させ、入り口の両サイドに設置した。


更に補強として、数十本の柱を出現させ、次々に断層を支えさせる。


床と天井は、それぞれ真っ平らにならす。

加えて、柱を強化する為の厚みや形状を丁寧に取り付ける。


最後に、入り口を照らす灯篭を二つ制作し、両サイドに設置した。



入り口は瞬く間に線対称シンメトリーな柱群に囲まれた。



(ヤバい俺天才かも。

我ながら、とても・・・ふつくしい佇まいだ

古代ギリシャ建築のような風合。

左右対称にすると大体綺麗にまとまるんだな・・・。


って俺なにしてんの?

飯食いにきた筈なのに、気付いたら建築ゴッコに夢中になってたわ。

なんか始めるとすぐ周り見えなくなっちゃうからなあ。

さて・・・。

気をとりなおして飯探そう。

どうかゴーレムのような強敵に会いませんように。)


清太郎は人型の形状に気合いを入れた。


全身の形が少し引き締まる。

現在の体長は120cm程だ。

この大きさが最も俊敏にアクション出来、且つ視線もギリギリ見やすい高さだった。

危険を察知する為、視線はある程度の高さを確保したいのだ。



清太郎は油断無く歩む。


ゴーレムとの戦場跡を抜け、溶解液を掛けまくり草木を食べ尽くしたエリアを抜ける。


何者にも出会わないまま、草木溢れる未踏の場所へ足を踏み入れた。


前回と同様に、魔物の気配は少ない。

初めて訪れた時の、命溢れるジャングルは一体何処へ行ったのかという程、静かだった。


(・・・明らかにおかしくね?

めっちゃ静かなんですけど。

虫一匹すら居ないとか。

何がどうなってんの?)


清太郎は周囲を見渡す。


木々の葉の間から何か光るものが見えた。

と、思った瞬間。


バシュン!!


カキーン!!


清太郎の巻貝に何かががクリーンヒットする。


(痛ってええええ!!

何!?何!?敵??!)


清太郎は、足元に落ちた矢を見つけた。


(うわ!これって矢だよね!?


人間!?人間がいるの!


俺狙われてる!?


ちょっと、俺は敵じゃありませーん!

敵意ないでーす!)


ビュシッ!


ドスッ!!


(あ痛っ!!ちょ!腹に刺っ・・・。

ってない。痛かっただけだ。


ちょっとー!俺マジで敵じゃないってば!


頼むから止めて出てきて下さいよぉー!)


清太郎は身振り手振りで敵意がないことをアピールする。


清太郎がしばらくハンズアップと土下座を繰り返していると、木々の間からガサガサと音がした。


(おお!出てきてくれるかな?


頼む!頼むから、出てきて!俺も元人間なんだよ〜。仲間、ナカマ、なか・・・。)


木々の間から出てきたものは、人型ではあるが、おおよそ人間と呼べる存在ではなかった。


滑らかな樹皮の肌に、長い手足。

筋肉の筋に沿って、何本もの枝やつるが体を構成している。

先端は枝分かれし、指というより無数の枝だ。

その枝を変形させ弓を形作っているようだった。こちらに矢を向け、何時でも放てるように構えている。


ゆっくりと清太郎に向かって歩み寄ってくる。


(え・・・人間・・・じゃなかった?

木っぽい人?

と、とにかくこの通り!

俺はメシ探してる唯のタニシだぜ!)


清太郎は両手をシュビッと天に伸ばすと、首を激しく振った。


謎の木人間は敵意と動揺が混じった顔をしていた。

顔の作りは殆ど人間と同じだが、耳はなく、頭髪の代わりに葉が生い茂っている。


(あっ・・・。わかってくれたかな?

よく見るとかなり美人なお顔されてますね。


おっと!撃たないで。落ち着いて。すいませんでした。)


清太郎は土下座しつつ相手の出方を伺った。


「オマエ・・・意志アル魔物ナノカ?」


木人間が清太郎に話かける。清太郎は言葉を掛けられた事に大歓喜した。


(おおお!!言葉通じる!!わかる!

そうです!ワタシ、魔物!

意志・・・ていうか自我あるよ!

オレはオレダヨー!)


清太郎は高速で首を縦に振った。


「ソウカ・・・此処デ何ヲシテイル?」


(飯食おうと!メシ!イートです!モグモグ。わかる?)


両手で草を掴み、口を即席で作ってその中に入れる。噛む動作を見せつけた。


「!!草ヲ食ウノカ。・・・口ガ無イト思ッタガ、アルノダナ。」


コクコクと頷く清太郎。


「ワカッタ。意志アル魔物ナラ、忠告スル。

我ラ“トレンティアマーシュ”ハ、敵ニハ容赦シナイ。オマエハ敵カ?」


清太郎は力強く首を横に振った。


「ヨシ。意志アル魔物同士、良キ隣人トナロウ。

・・・オマエハ私ノ矢ヲ防イダ。

中々強ソウダナ。名前ハ何トイウ?」


トレンティアマーシュは弓の構えを解いた。


清太郎が珍しいようで、まじまじと姿を観察している。


名を尋ねられた清太郎は、地面に“タカハシ”と書いたが、トレンティアマーシュには全く伝わらなかった。


「ムウ・・・。コレハ文字トイウ物カ?スマナイ。我等ハニハナイ文化ダ。オマエハ言葉ヲ話セヌノカ?」


(文字わかんなかったかー。

てか話せないよー!!話したいのに!


・・・うん?でも声って声帯作って口作ればなんとか出来るかな?

空気の出し入れで声出すだけだもんな。)


清太郎は自身の顔にしっかりした口と顎、喉の奥には声帯を形成した。

かなりなんとなく作ったので、いきなり喋るのは至難の技だった。


「ア・・・アア・・・エ・・・ウアアイ・・・」


全く言葉になっていなかった。


その様子を興味有り気に観察していたトレンティアマーシュは、思わず吹き出した。


「アッハハハ!面白イヤツダ!オマエノヨウナ魔物ハ初メテ見タ。何処カラ来タ?コノ森ノ生マレカ?」


「イ・・・イア・・・オイア・・・」


(下!下の階。って言いたいのに、言えねー!まあ来た道指差せば分かるかな?)


清太郎は遥か遠くに見える岩壁を指差す。


「彼処ハ、森ノ終ワリダゾ。森ノ独裁者“ダイアゴア・グロトマスト”ガ支配スル場所ダ。


オマエモ彼処カラ逃ゲテキタノカ?」


清太郎は首を横に振る。


「タオイタ・・・オエ・・・オイウ・・・」


(倒した。俺、ソイツ。って言えねえ。でも僅かーにコツが見えてきた・・・ような気がしただけだな。あーもどかしい!)


清太郎はトレンティアマーシュの手を取ると、ゴーレムとの戦場跡に向けて歩き始めた。


トレンティアマーシュはすっかり警戒を解いているようで、素直について来る。


二体の魔物は静かなジャングルを進んでいった。


次回、トレンティアマーシュさん「何このタニシキモすぎワロエナイ」

ドン引きします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ