ゆえの決意
第四章「ゆえの決意」
政宗が立ち去った後、
私は、ゆづといちごにある頼みをした。
二人は「正気?!」と、
戸惑っていた。
私は、何度も頭を下げた。
二人は
「わかった。ただし、命の保証はない。手加減はしない。」
そう言った。
私の決意、それは、体術、護身術を身につけて、馬に乗る事ー…
「じゃ、刀をー…」
と、いちごが刀を探しに行こうとした。
「刀はいりません!私は、人を切りません!自分の身は自分で守ります!」
私の気迫にビックリしたのか、
いちごが「何か怖いよ~」
と、つぶやいた。
「早速!教えて下さい!」
ゆづがゆっくり私の前に立った。
ゆづが足を開き腰をおとして、独特の構え方をした。
「ゆづくーん…まさか〝気〟を教える気?」
「ああ。ゆえの瞳は真剣。
決して、揺るがない意思だ。
俺達がお遊びで教え込むのは仁義に反する。」
いちごが、フーと息をはいた。
「そうだね。僕も真剣に教え込むよ!」
私は二人に感謝した。
「体術と護身術、両方を同時に教え込む。
俺が今からやる方法は、俺が編み出した技の一つだ。
まずは、見ていろ。」
ゆづが独特の構えのまま、手の甲をフッとついた。
あっという間に、
木々がバキバキと音を立てて数十メートル以上倒れていった。
「やっぱり、凄いねぇ~ゆづ君の〝気〟は!でも、加減してるでしょ!
ゆづ君が本気を出したら、
ここら辺、一体、吹き飛ぶもんね☆」
ニコニコしながら感心している。いちご。
「じゃ☆僕も軽く、やりますかねぇ」
いちごは、手のひらをポンッと大木に押し当てた。
大木は、もの凄い音を立てて、跡形もなくなった。
「お前も加減してるではないか。」
私は、それをジッと見つめていた。
これを身につける!絶対に!
普通なら驚いて、キャーとか騒ぐだろうが、私は生きる為!未来に帰る為と…
あの男〝伊達政宗〟に認めさせたいという思いが強かった。
私の特訓が始まった。
私は、ゆづに向かって手の甲をブンと当てたが…
ゆづは無表情で交す。
何百回、何万回やったか、わからない。
ゆづは無表情のまま交すだけ。
「〝気〟について詳しく話すべきだったか…。
〝気〟は手に自然の力を蓄えて、一気に放つ。
自然と一体になり、自然を感じとれ!」
私なりに自然を感じようと必死になったが、全然、上手くいかず…
時間だけが流れる。
私は、自然を感じとろうと必死になりすぎているように思えた…
私は、フッと目を閉じ思い出した。
私の家は農家で木々が沢山あり、森もある。
自然に沢山、触れ合った記憶をたどった。
そう、風が流れる感触…
土の匂い、木々の声…風の動き…
全てが重なり始めたー…
〝無の心〟になった瞬間。
ゆづに向かいフッと手の甲を向けたー…
ゆづは「まずいな。」と、つぶやき。
私から距離をとって、離れた。
私は、目を開いたー…
そこには、小さい木だったが、5本折れていた。
「まだ、小さい木ですが…出来ました!」
私は、汗をダラダラ流しながら笑顔で微笑んだ。
本当に嬉しかったからだ!
「今の感覚を忘れるな。」
ゆづは、いつも通り無表情だったが
私には「よく、やったな。」の表情に見えた。
いちごがこちらに歩いてくる。
「見廻り、完了☆」
ニコニコしている。
「いちご、ゆえは〝気〟を会得した。
次は護身術だ。護身術は、いちご、お前の方が上手だ。
だが、今日はもう、やめるべきだな。」
ゆづは、ゆえが限界を超えている事をわかっていた。
「夕食作らないと~」
いちごは、知ってか知らずか、
夕食の準備の話をし始めた。
「今日の当番、僕なんだよね~
めんどくさいからサボっちゃおうかな~」
ブツブツ文句を言い始めた。
「当番制は決まりだ。責任を持ってやれ。」
ゆづは、怒り心頭だ。
それを聞いていた…
私は、夕食のお手伝いをしたくなった。
だって、ゆづは私に休みなく教えてくれた。
二人の間に割り込むように
「夕食の準備をお手伝いさせて下さい!」
頭を下げた。
いちごは、待ってましたと言わんばかりに、
「ゆえちゃ~ん、僕の分も頑張って夕食の準備、宜しくねっ☆」
「お前もちゃんと準備しろ!」
ゆづは怒り心頭のままだ。