独眼竜、伊達政宗
第三章「独眼竜、伊達政宗」
「片倉様、あの女を座敷牢に入れてから、4ヵ月経ちます。」
ゆづが小十郎に詰め寄っていた。
「そろそろ、座敷牢から少しでも外に出して頂けないでしょうか?ここ4ヵ月、怪しい行動はしておりません!」
そこに、いちごが来た。
「僕も、ずーと監視していましたが、一度も妙な動きはしていません。」
小十郎は、「わかった。ただし、城からは出すな。そして、男の格好をさせろ!」
小十郎は細かく、ゆづといちごに指示を出した。
二人は「御意。」と答え、頭を下げた。
私は今日も座敷牢で、
正座をしていた。
そこへ、ゆづといちごが
現れた。
「片倉様から、少しでも外の空気を吸わせろ。と、お許しが出た。」
ゆづが淡々と話した。
私は、やっと外に出られると喜んだ。
「あっ有難うございます!」
深々と頭を下げた。
しかし、ゆづは険しい顔をしていた。
「なっ何か、気に触る事を言いましたでしょうか?」
「これから、俺が言う事を全て実行してくれ。」
そう言うと、上下、蒼い着物と袴を差し出した。
「まずは、男の格好をしてくれ。そして、自分を俺か僕かゆえと呼ぶんだ。決して、女の歩き方はするな。最後に…政宗様にお会いしたら、必ず膝まずけ。政宗様のお言葉を一つ一つ確実に聞き取り、実行しろ。」
私は、「はい。」と頷いた。
外に出られる喜び。
私は着物なんか着たことない。
ただ、ゆづといちごを待たせるわけにはいかないと
急いで着替えた。
外に出た。外は太陽が眩しく光っていた。
空は、どこまでも青く透き通っている。
「お待たせしました。」
軽く頭を下げた。
いちごが、ブッと笑い出した。
すかさず、ゆづが
「それでは、死人だ。着物が裏返しだ。着方がまるで間違っている。」
私は、じーと、二人の着方を見た。
完全に間違えだらけだ。
「すっすみません!すぐに直します!」
私は近くの木に隠れて、
着なおした。
私達、三人は、
綺麗な庭を歩いた。
「凄く素敵なお庭ですね!」
様々な木々が綺麗に植えてあり、
大きな池もある。
池には鯉が泳いでいる。
ゆづといちごが誇らしげに。
「派手さはないが品があり、そこに政宗様の心が現れている。」
「そうそう!この庭は政宗様のお気に入りだしね☆」
二人は政宗の話になると
夢中になる。
私達、三人はぐるっと
時間をかけて、
様々なところを歩いた。
そこへ、小十郎を連れた。
〝伊達政宗〟が現れた。
私は、ついに会って話せる!と思っていた…
ゆづといちごが膝まずき、
私も二人の後に続くように
膝まずいた。
政宗は、上は白の着物に
袴は蒼、水色の羽織を肩にかけ、背中には月の刺繍がしてある。
そして、右目には〝隻眼〟。
右目を隠すように、
右目だけの前髪が長い。
髪は黒く肩まで髪がのびている。
年齢は大体、19歳。
私は、声を出そうとした瞬間。
鋭い目つきと凄まじい殺気。
ゆづといちごとは、全く違う…
目つき、殺気。
まるで〝人を信じるか。俺に近寄るな〟と言わんばかりだ。
私は、声が出なくなっていた。
政宗と小十郎がスーと
通りすぎようとした時、
政宗が立ち止まった。
「ゆづ、いちご、そいつは誰だ?伊達の兵で見たことねぇーが…」
わざとだ。わざと知ってて言っている。
「それに、そいつは刀も持ってねぇみたいだが…」
左目がさらに鋭くなった。
ゆづが(やはりこうなったか…)と険しい顔をしていた。
「伊達軍に志願でもする気か?見た感じじゃ、刀は振るえねぇ。馬にも乗れねぇ。ただの、ただ飯食らいか。」
ズバズバ突き刺さる言葉を話す。
私は、段々、
頭に血が上っていった。
私が知る、伊達政宗象とは全然違う!
大河ドラマや漫画、小説には、格好いい伊達男…ー
ゆづが私の顔を見て、
頭に血が上っているのに気がつき。
「政宗様、この者は、まだ未熟。少しお時間を頂けないでしょうか?」
「時間?時間なんざねぇよ。」
捨て台詞をはいて立ち去った。
私は、ある決意をしたー…
きっと、私の決意は
普通なら考えられない方法だろう。
ただ、あの冷たい目つきの
男、伊達政宗に負けたくなかった!