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戦国外伝~時の間の姫~  作者: よしえ
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騙しあい

第二章「騙しあい」


朝ー…


ゆえがゆっくりと

目を覚ました…


ゆえは、暗い部屋の中にいた。


「えっ…ここどこ?」


訳がわからない、

頭がパニック状態だ。


「私は、自分の部屋にいたはず…」


ゆえは、自分自身に冷静になれ!

落ち着け、私!

深呼吸をした。


「ふー…。あの、誰かいませんか?」


と、ゆっくりと話しかけた。


数分経った頃、

人の気配がした。


ゆづが姿を見せた。


「あの、ここはどこですか?」

私は山程、聞きたい事があったが…

落ち着いてゆっくりとした口調で話しかけた。


ゆづが

「ここは、奥州、伊達領の伊達政宗様の城だ。」

ゆづは、ゆっくりと答えた。


でも、冷たく鋭い目つきをしていた。


私は、さらにパニックになりそうになった…


(奥州?伊達領?伊達政宗?それは、戦国時代の話!大昔の話だ。)


ゆづが

「どこの国の者だ?」

と私に質問をはじめた。


私は、正直に話すべきか迷った。

絶対に信じてもらえないからだ。


私がオロオロする姿を見た。

ゆづが

「どこかの国の忍びか、曲者か?」


また、冷たく鋭い目つきが突き刺さる。


私は、信じてもらえなくてもいい。

真実を話そう。と決意した。

だって、この青年は、

私を殺す気でいるからだ。

殺気が漂っている。


私は一呼吸して…

正座をして、まっすぐ、ゆづを見た。

「信じて頂けるかは、わかりませんが。私は、平成の時代からきました。この時代より遥か未来です。」


ゆづは、黙って聞いていた。

私の瞳の奥の心を読むかのように…


「嘘では。なさそうだな。」

そう、一言言って私の元から去っていった。


ゆづが小十郎に報告した。


小十郎は、険しい顔をしていた

「あの女は、真実を話していると言うんだな。」


「はい。冷静に話をし、俺の瞳を真っ直ぐ見て言いました。」


小十郎はフゥーと、

ため息をついた。


ゆづは、人を見る目が、

ずば抜けている。

心を見透かす力をもっているからだ。


「政宗様には報告しますか?」


「いや…政宗様に話したところで、信じまい。」


「確かに…そうですね。」


「今は、誰があの女を監視している?」


「はい。今は、いちごが監視をしています。」


小十郎はまた、ため息をついた。


ー座敷牢ー


私は、ただ正座をして

冷静に分析をはじめた。


(私は、戦国時代にいる。そして、ここは奥州…

伊達政宗の城の座敷牢の中。)

(私は、歴史を少しずつ整理していった…

まずは、伊達政宗に会うしか話が進まない。

どうにかして、伊達政宗に会わないと…)


(私は未来に帰る!こんなところで死なない!生きる!)


「ねぇ…ねぇ…僕の声聞こえてますか~??」


色々、考えていたせいか、

人がいる事に気がつかなかった。


「申し訳ありません。考え事をしていて、気づきませんでした。」


私は深々と頭を下げた。


「ふーん。まっ、僕には関係ないかっ♪」

ニコニコしながら、

いちごが言った。


私は、すぐにわかった。

ニコニコしているこの青年は、

私が座敷牢から抜け出すのを待っている。

そうすれば「曲者」として、私を切れるからだ。


(まるで、騙しあいだ。どちらが我慢できなくなるか…だ。)


私は、正座をしたまま。

時を待っていた。

(必ず!伊達政宗に会う機会があるはず!)


いちごが、つまらなさそうにしていた。


「暇すぎ…。ねぇ、アンタの名前何て言うの?」


「私の名は、ゆえと申します。」


「ふーん。ゆえちゃんねぇ~。アンタ、未来からきたとか言ったみたいだね~。

ゆづ君と片倉様から聞いたよ☆」


「はい。」


「きっと、未来の国のお姫様なんだね♪」

ニコニコしながら、

皮肉たっぷりに言った。


「私は、お姫様ではありません!」


私が否定をしたら、

いちごが急に鋭い目つきに変わった。


「アンタ、戦国の世を…まるでわかってないね。

アンタは、肌のツヤはいい。髪もフサフサで輝いてる。体は、ふくよか。

戦国の世を生きている農民や民を見なよ!!

アンタみたいに恵まれた人間なんて、一人もいない!

片倉様の命令がなければ、すぐに殺してるよ!」

いちごがイライラしながら、立ち去った。


私は、返す言葉がなかった。

(戦国時代の事をまるで、わかっていなかったからだ。)


私は一言つぶやいた。

「私は、恵まれすぎですね…。」


ゆづが、朝、夕、ご飯を

持ってきてくれる。


おにぎり一個に水。


私は、それだけでも嬉しかった。


ご飯を食べられる幸せ。


平成にいた頃は、

お肉に魚にケーキに…

沢山、美味しい食べ物を

食べていた。


今は、おにぎり一個でも

美味しくてたまらない。


ゆづが皿を下げにやってきた。


「あの!毎日、美味しい

おにぎりを有難うございます!握って頂いた方に、お礼を一言言って頂けないでしょうか?」

私は心から感謝の笑みを浮かべた。


ゆづの瞳が丸くなった。

戸惑っているようにもみえる。


ゆづは「必ず、伝えよう。」

と言い去った。


私が座敷牢に入れられてから

何ヵ月経つのだろうか…


毎日、私は正座をしていた。


(必ず!時がやってくると信じて)

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