第2章 銀の翼を広げて
やっと2話書けました!
久々のスカワの世界、ご覧下さい!
早く、早く行かなきゃ。
それだけを頭の中で何度も繰り返しながら、エマは町中を走り続けた。
たまに、赤く染まった空を見ながら。
エマが立ち止まってハァハァと息を切らして膝をついた頃には、辺りは暗くなり始めていた。
「あぁ〜もう…母さんの馬鹿ぁ…」
涙目になりながらもエマは、大きな倉庫の方へ歩いて行く。
「―よし!」
ガチャ、と音を立て、錆び付いたシャッターの鍵を開ける。
「本当は青い空の中を飛びたかったなぁー…」
ブツブツと文句を言いながらも、その顔はワクワクして堪らない、と告げていた。
「遅くなってゴメン、…さ、飛ぼう」
ゆっくりとシャッターを上げると共に見えてきたのは、日の光を浴びて光る、
「……ウィル」
銀色の、飛空機だった。
機体を外に出し、乗り込み、ゴーグルとシートベルトをしっかりと装着する。
安全確認を行なった後、深呼吸をして。
「…行くよ」
一瞬目を閉じ、また開き。
空を見据えて、そして…―
高く、飛び上がった。
それは、浮上る様に、風に運ばれた様にして、飛ぶ。
まるで魔法みたいに、鉄の塊が空を飛び、回り、駆ける。
実際、魔法なのかも知れない。
人の意志に応え、機体が浮くだなんて、化学とか何とかでは解明出来ない事だ。
そう、魔法みたいに、鳥の様に。
「―気持ち良い…なぁ…」
ただ、飛びたいという心を、強い意志を乗せて。
何処までも続く広い空を、世界を、少女は飛んでいた。
一方、空の下では。
「ねぇ、あの飛空機って…」
少女の様な、高めの声が言う。
「…ああ、もしかしたら、あの娘は…」
青年らしい声の男が、銀の鳥が飛ぶ空を見て。
「ジルさんの、…」
青年の声は、ウィルが巻起こす風に消えていった。
手を大きく振った。
と、近くに居た"管理人"の字が入った腕章を腕に着けた男が、エマに小さく手を振った。
「エマちゃーん!今日はもう終わりだよ」
男の声に、エマが
「え」と声を出す。
「もう6時」
只今、死ぬ気で次話を執筆中。