【詩】少女の神話
はたはたと
蝶は花へとまった。
漆黒のアゲハ蝶は、
純白に輝く花へとまる。
色は違えど、
その輝きと魂を映す。
海が空を映すように、
蝶は花を映して美しい。
新しいままの朝に
鳥は囀っている。
やわらかな小鳥の中に
流れる美しい旋律。
仄かな美しさは儚くて、
強い光に隠れてしまう。
夜に輝く星のように、
目を閉じて輝くもの。
土の匂いの昇っていく。
空の大きさを測るもの。
雨音は雲の語るこえ。
耳濡れて思いは沈む。
かなしみは突き抜けた痕。
吹き抜ける冷めた風の音。
暮れて消えゆく海の光。
風に乗る少女のこころ。
素足に履いた
サンダルに花びら。
白く輝く、
ほっそりとした少女の足。
大人になることは、
何かを失うこと。
季節に時が潜むように、
少女には神話が潜む。
お読み頂き、ありがとうございます。
まだ少女の我が娘らを見ていると、いつまでもそのままで輝いていてほしいと思うのです。少年や少女は、いつも小さなかなしみを抱えているような気がします。そのかなしみが美しく滲み出て、純粋な可愛らしさと輝きをもたらしているように思います。そのかなしみのもとは、生まれ落ちたかなしみであり、それは誰もが逃れえないかなしみなのです。いつか強く生きて、そのかなしみを踏み越えたとき、大人になってしまうのでしょうか。だから、どうかそのときまでは、そのままでいて欲しいのです。