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町の外の世界

まったり書いていくつもりです。これからもよろしくお願いしますm(_ _)m

豪華絢爛と言っても良い、協会の門を抜けると異世界モノでよくある中世ヨーロッパのような光景が広がっていた。


灰色の石畳に、その上をガタガタ揺れながら走る馬車。白い2階建ての建物が立ち並び、あちこちに干された洗濯物が風を受けてバタバタと煽られる。

屋台も沢山出ており、肉の焼けた良い匂いをそこら中にばらまいている。


地球と違うのは衛生面と『魔法』だろうか。地球では糞尿を窓から捨てていたため、もの凄い臭いがしていたらしいが、此処では全く臭わない。さらに、排気ガスなども無いため、思わず深呼吸してしまう程空気が綺麗だ。


さらに町の中に水路が引かれているらしく、あちこちで太陽の光を反射して輝く水が見える。


『魔法』については町の中を探索して、町の中心にある広場に行った時に気づいた。勿論、僕は追われてる身らしいから探索する為に中級魔法『ハイド』を使ったよ!


因みに『ハイド』は制限時間30分程度の魔法で、他人に見えにくくする魔法だよ。あくまで、「見えにくくする」だけだから本気で探されたら見つかる程度の魔法だけど、まだ追っ手も見てないし、多分大丈夫だろうって思ったんだ。


まぁ、それは置いといて広場の事。水路が最終的に集まって泉みたいになっている。そしてその水が『魔法』で浮いて建物の中に運ばれていってる。しかも塊の状態じゃなくて竜みたいに細長く伸びて飛んでいくからとても綺麗だ。


暫く町の中をうろうろして、武器屋を少し覗く。


両手剣、片手剣、両手槌、盾、弓、魔銃、杖…などなど、沢山の武器があった。ちなみに魔銃は魔法で弾を飛ばす…らしい。


ただ、僕の欲しかった刀は無かった。ま、お金無いから買えないけど…。でもやっぱり憧れるよね!日本刀!


そうして武器屋を離れて歩き出してから少し後、後ろから慌ただしい足跡が聞こえて


「そこだ!追えっ!」


うえっ!?もうバレたの!?

そう思って恐る恐る後ろを振り返ってみると真っ直ぐ此方に向かってくる完全武装した兵隊さん。


僕は迷わずダッシュした。走りながら『自己強化魔法』の詠唱を開始、発動する。兵士達も使っているけど、幸い重い防具のせいで足は遅い。『自己強化魔法』を使う前の僕よりも遅いくらいだ。だから差はどんどん開き、混雑してる城門の人垣の上を飛び越えて、僕はあの町(名前知らない)を飛び出した。




城門を抜けた先は草原だった。商人達の馬車によって踏み固められた道を暫く走る。兵士達はもう追ってきてないけど、念の為だ。灰色の城門が薄い霧に紛れて見えなくなる程度まで走ると、息を整えながら『自己強化魔法』を解除し、町の中では隠していたレラを肩に乗せる。


「真昼なのに霧かぁ…レラ、魔物がいたら知らせてね。ここらへんは弱いって聞こえたんだけど…。」


そう、魔物は場所によって強さが違う。同じスライムでも、弱い所は踏み潰すだけで魔素に還るのに対して、強い所は『物理攻撃無効』『毒無効』『火系魔法無効』『闇系魔法無効』などと頭おかしいことになってるのだ。


また、魔物が強い所は魔素が強く、それが原因で一日中霧がかかるという特徴もある。


ただ、残念ながら僕は追われてる身。町に近寄るわけには行かない。しかも、食料や水が無いのでそれらを探して移動しなければいけない。


気を引き締めて歩き出す。遠くに魔物らしき影が見えるけど無視。ひたすら前に進む。3時間程歩いただろうか、何故か今まで歩いてきた道が途切れた。

いや、正確には一歩先からの霧が濃すぎて、先が全く見えなくなった。


ただ、前から川のせせらぎが聞こえてくる。3時間歩いた後の僕は、怪しさ満載の霧の中に足を踏み入れた。



一歩、それだけで世界が変わった。踏み入れる前は太陽の光輝く青色の草原だったのが、濃い霧と豪雨、そして雷鳴の荒野になっていた。そして、そこを流れる川は黒く、所々に魔物が見える。


「引き返すよ、レラ。案内頼める?」


「ちゅぅ」


さすがにあの川の水を飲むわけにはいかない。レラに案内を頼み、安全な所を通って引き返す為に走り出す。一歩だけ踏み入れたはずの荒野だけど、遥か後ろにかすかに草原の光が見える。


巨大な魔物の股をくぐり、小さい芋虫のような魔物を踏んで倒して、走りつづける。止まったら即捕まる。後ろから魔物が沢山追ってきているのだ。


「はぁ、ここでも追われるのか…」


ため息をつきながら『自己強化魔法』の効果がきれたので掛け直す。


だいぶ草原の光が近付いた頃、魔物達が止まった。


いや、止められた。圧倒的に強い魔物によって。その魔物が黒い、オーラのようなものを体から出しただけで、魔物達は散り散りに逃げていき、僕は恐怖で息が出来なくなったような錯覚を覚えた。


その魔物がゆっくりと此方を向く。トロルだ。圧倒的な筋力と魔力。ミノタウロスと並ぶくらいの強力な魔物。武器は棍棒で、その筋力で振り回されたそれは岩すら砕く、と言われている。


ちなみにこの情報は強そうな冒険者さんが言ってたから多分正しいのだと思う。


そんな事を考えているうちに、僕はいつの間にか近づいていたトロルに殴られた。レラが僕の服の中に潜り込むのを感じ、それに安心して僕は意識を失った。















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