第4話 生と死
「とりあえずはこれで大丈夫だと思うよ」
「いや~ホント助かりました」
路加は嬉しそうに笑った。
「そう言ってもらえると嬉しいよ。そういえば、ヤマトは残ってこの事件について一緒に調べるみたいだから、ここに残るってさ」
「そうですか、・・来てくれたら心強かったけど・・・」
「仕方ないよ。本当に、ありがとう。ルーク」
信司達はコンテナを出た。空は皮肉なほど青い。
「えぇっと・・・どないしたらええやろ。ウチんちちょっと遠いから、ジュンの家行った方がええんちゃう?」
「あぁ、でもいいのか?」
「ええって。まだ近いんやろ?ほんなら先確認してまおうな。えぇっと・・・シンの家って・・・」
信司はしれっと答えた。
「祖父母が」
それを聞いて淳吾がフフッと笑った。
「何でちょっと丁寧に言ったんだよ?」
「なおさらそっち先の方がええやん。お年寄りて感染しやすいし。ほら、行こ!」
結果を言うと、この時俺と淳吾は家の様子を確認できなかった。原因のわからない瓦礫の山が道路を塞いでいた。行こうと思えばできたかも知れないが、動物に殺された人の遺体が転がっていたので、先に進みたくなかった。
「クッソー!ここまで来てこれかよ!!」
淳吾が悔しそうに叫んだ。
「どうしてこんなに瓦礫が?」
「動物がやったんと違うん?」
「いや、それはないだろう」
淳吾が冷静さを取り戻していった。
「これ、鉄筋もコンクリートも使われてる。・・いくら動物が強くったって、こんなに壊す事ができるんだろうか?」
「これ以上進むのは無理だ。心配だけど、諦めて海女の家に行ったほうがいいよ」
「ああ、そうだな」
こちらは辿り着くことができた。ただ、
「何で・何で家が倒れてるん・・・」
家は壁であるべきものが床になり、天井と床は壁になっていた。
「そんなこと言ってる場合か!?両親を捜さなきゃなんないだろ!?」
海女はすぐに正気を取り戻して家に入っていった。
しかし、すぐに戻ってきて悲しそうな表情をした。
「おれへんかった。家に」
「よかったな」
信司は微笑んで言った。
「え・・あ、そうか。家におれへんゆうことは生きてるってことやんな。ごめん。あんたらは生きてるかもわかれへんのに・・・」
「気にすんなって!・・あ、俺達ってさ、もう、やることなくなっちまったよな」
淳吾は悲しそうに言った。
「そんなことないよ」
海女はワケが分からないという表情をして信司を見た。
「何があったのか、調べよう。俺達の手で」
2人の顔に希望が灯った。
「もちろんやん!」
「おう!・・あ、でもさ、またこれって戻んなきゃ・・・」
気まずい沈黙が流れる。
「明日は筋肉痛だな・・」
3人はまた歩き始めた。