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Why Don’t You Fight?  作者: 吉本 光
2st Day 混乱の日
7/7

第4話 生と死

 「とりあえずはこれで大丈夫だと思うよ」

「いや~ホント助かりました」

路加は嬉しそうに笑った。

「そう言ってもらえると嬉しいよ。そういえば、ヤマトは残ってこの事件について一緒に調べるみたいだから、ここに残るってさ」

「そうですか、・・来てくれたら心強かったけど・・・」

「仕方ないよ。本当に、ありがとう。ルーク」


 信司達はコンテナを出た。空は皮肉なほど青い。

「えぇっと・・・どないしたらええやろ。ウチんちちょっと遠いから、ジュンの家行った方がええんちゃう?」

「あぁ、でもいいのか?」

「ええって。まだ近いんやろ?ほんなら先確認してまおうな。えぇっと・・・シンの家って・・・」

信司はしれっと答えた。

「祖父母が」

それを聞いて淳吾がフフッと笑った。

「何でちょっと丁寧に言ったんだよ?」

「なおさらそっち先の方がええやん。お年寄りて感染しやすいし。ほら、行こ!」


 結果を言うと、この時俺と淳吾は家の様子を確認できなかった。原因のわからない瓦礫の山が道路を塞いでいた。行こうと思えばできたかも知れないが、動物に殺された人の遺体が転がっていたので、先に進みたくなかった。

「クッソー!ここまで来てこれかよ!!」

淳吾が悔しそうに叫んだ。

「どうしてこんなに瓦礫が?」

「動物がやったんと違うん?」

「いや、それはないだろう」

淳吾が冷静さを取り戻していった。

「これ、鉄筋もコンクリートも使われてる。・・いくら動物が強くったって、こんなに壊す事ができるんだろうか?」

「これ以上進むのは無理だ。心配だけど、諦めて海女の家に行ったほうがいいよ」

「ああ、そうだな」


 こちらは辿り着くことができた。ただ、

「何で・何で家が倒れてるん・・・」

家は壁であるべきものが床になり、天井と床は壁になっていた。

「そんなこと言ってる場合か!?両親を捜さなきゃなんないだろ!?」

海女はすぐに正気を取り戻して家に入っていった。

しかし、すぐに戻ってきて悲しそうな表情をした。

「おれへんかった。家に」

「よかったな」

信司は微笑んで言った。

「え・・あ、そうか。家におれへんゆうことは生きてるってことやんな。ごめん。あんたらは生きてるかもわかれへんのに・・・」

「気にすんなって!・・あ、俺達ってさ、もう、やることなくなっちまったよな」

淳吾は悲しそうに言った。

「そんなことないよ」

海女はワケが分からないという表情をして信司を見た。

「何があったのか、調べよう。俺達の手で」

2人の顔に希望が灯った。

「もちろんやん!」

「おう!・・あ、でもさ、またこれって戻んなきゃ・・・」

気まずい沈黙が流れる。

「明日は筋肉痛だな・・」

3人はまた歩き始めた。

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