序章
あの日から、俺はけだものになった。人間を支配し、痛めつける。そんな俺に今日、一通のメールが届いた。
差出人 西野 吹雪
件名 宣戦布告
貴方は、元はそんな人間でなかった。
今の貴方は悪の帝王というところでしょう。人々を支配し、痛めつけ、酷く殺す。
誰も貴方を止められない。それならば、私が貴方を倒しましょう。
俺はいつの日か、貴方よりも強くなり、貴方の前に現れましょう。
その時が貴方の死する日です。
俺は、貴方を許せない。
西野吹雪。この少年とは10年前共に戦った。あの時は死に怯え、それからただ逃げ続けていた。あの少年が成長し、青年となり、これほども立派になったことに安堵する。俺を殺すという文面なのに、安心を覚えた。
今の俺は、誰がどう見ても、闇の帝王だ。昔の友人さえ、痛めつける。そんな俺に心がないわけじゃない。俺がまだ成人していなかった頃、帝王がいた。そいつは言った。俺達に向かって。
「光があればまた闇もある。光だけの世界も、闇だけの世界も存在しない。お前が俺から世を奪い返しても、また闇の帝王は現れるだろう。それが、世界の運命だからだ。」
と。
俺は孤独だった。俺は、俺は一体何なんだ?俺は何をしたいんだ?全てがわからない。友もいない。いるのは下僕としてしか見る事ができない人間だけ。
さようなら。世界よ。
さようなら。友よ。
さようなら。俺。